職務手当とは?
職務手当は、多くの人にとって、一度は見聞きしたことのある単語ではないでしょうか。
職務手当に法的な定義はなく会社が任意で支給する手当の一つですが、その詳細や意味を理解している人は少ないかもしれません。
本記事では、職務手当の概要や他の手当との違いを解説します。会社から支給される手当にどのようなものがあるか知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
職務手当の概要
職務手当とは、特定の職務や仕事内容に対して支払われる手当のことです。
ある職務に伴う責任や負担に対し、報酬を支払うことで補償する役割を持っています。一般的に、職務手当は会社の就業規則や給与規定に具体的な内容が記載されており、これらを読めば支給対象業務や支給額の決定方法、支給額などの詳細が分かります。
「職務手当はこうあるべき」という法律上の決まりはありません。そのため、会社によっては、職務手当に残業代の性質を含めて支給している場合もあります。一方で、残業代を含まないケースも少なくなく、会社によって支給内容が異なっているのが現状です。職務手当の詳細が気になる人は、自社の規程を確認しましょう。
職務手当と他の手当との違い
職務手当に似た用語として、職能手当などを思い浮かべる人もいるかもしれません。混同しがちな両者ですが、厳密に述べると異なる点が存在します。ここでは「職務手当」と「職能手当」「役職手当」などとの違いを説明します。
職務手当と職能手当の違い
職務手当と職能手当は、どちらも職場での負担に対する報酬を指していますが、それぞれ異なる側面に焦点を当てています。職能手当は、従業員の職務を遂行する能力に対して支払われる報酬で、年齢や勤続年数と比例して増額される傾向があります。そのため、従来の日本の年功序列の給与体系を支えてきた報酬とも言われます。
職務手当と役職手当の違い
役職手当は、特定の役職や職位に関連して支払われます。前述の通り、職務手当は具体的な仕事に対する報酬であるため、特定の職務を担っている労働者であれば、役職に関係なく支給対象となるのが一般的です。一方の役職手当は、組織内での立場に基づく役割や責任に対して支払われるものであるという点が異なります。
職務手当と業務手当との違い
業務手当は、職務手当と混同されやすい用語のひとつです。業務手当は特定の業務や作業に対して発生する報酬です。例えば、危険を伴う高所作業の業務を行った場合に支給されるなど、特定の業務を行う毎に支払われるケースもあります。その点では、職務の責任や負担に対して支払われる職務手当とはニュアンスが異なっています。
職務手当を支給するメリット
職務手当は企業が任意で支給する手当ですが、支給することで会社と従業員双方にメリットがあります。本章では職務手当を支給するメリットを以下の2つ紹介します。
・ 従業員のモチベーションアップ
・ 定着率の向上
詳しく解説していきます。
従業員のモチベーションアップ
職務手当が支給されることで、従業員のモチベーションアップに貢献します。また、職務への正当な対価が支払われることは、成長意欲の高まりにも繋がります。
定着率の向上
従業員の仕事に対し、会社としてきちんとした制度を設け、報酬を支払うということは、結果として優秀な従業員の定着にも繋がります。
最近は、転職も一般的になり、一つの会社に一生在籍する時代ではなくなりました。少子高齢化の影響で、人手不足に悩む会社も少なくありません。職務手当といった従業員一人ひとりの仕事内容に対する報酬制度があることは、人材流出を防ぐ一手となり得るでしょう。
まとめ
職務手当とは、特定の仕事内容に対して支払われる手当を指します。近年では、成果主義を評価の中心に置く会社も多いため、職務手当という用語を見聞きする機会が増えたかもしれません。ひと口に「職務手当」と言っても、会社によって内容はさまざまで、一概に決まっているものではないため、気になる人はご自身の給与明細や就業規則等を確認してみると良いでしょう。
《ライタープロフィール》
西本 結喜(監修兼ライター)
一般企業の人事職7年目。金融業界や製造業界を経験し、業界ごとの慣習や社風の違いを目の当たりにしてきた。現場で得た知識を深めたいと社会保険労務士試験に挑戦し、令和元年度合格。現在は小売業の人事職に従事しながら、独立開業に向けた準備を進めている。