
人材紹介とは?仕組み・サービスの種類・活用ポイントを解説

人材紹介は、企業が必要な人材を効率的に確保するためのサポートを提供しています。人材紹介会社が企業のニーズに応じた適切な人材を紹介し、採用にかかる労力とコストを削減できます。本記事では、人材紹介の仕組みや導入メリットについて解説し、企業の採用戦略における活用方法を紹介します。
目次
人材紹介とは

人材紹介サービスは採用活動をしている企業に対して、採用要件に適した人材を紹介する仕組みです。サービスを提供する人材紹介会社は、厚生労働大臣から許可を受けた有料職業紹介所です。ここでは、人材紹介が注目される背景や人材紹介サービスの仕組みを解説します。
注目される背景
近年、企業規模や業種によって採用格差が生じており、企業が人材を確保するには市場動向を踏まえた採用戦略と自社にマッチした人材へのアプローチが求められます。人材紹介会社は、採用したい企業と求職者を仲介する役割を担っています。
企業側に求められる要件も多様化しており、採用候補者のニーズと擦り合わせをおこないます。人材紹介サービスは、求人広告などの一般的な採用手法では採用が難しい高度なスキルを持つ専門職やハイクラス人材を採用する手法としても有効です。
人材紹介サービスの仕組み
人材紹介サービスは、企業と人材紹介会社の間で基本契約を締結し、採用要件に合致する候補者の仲介をおこないます。雇用契約は採用企業と求職者の間で締結され、人材紹介会社は採用活動の仲介をします。
ほかにも求人票の作成、採用条件に合致する候補者の選定、面談日程の調整、応募者への合否連絡やフォロー、条件交渉なども業務範囲です。採用候補者が入社してはじめてコストが発生する成功報酬型が多く、企業は初期コストを抑えながら、通年で効率的に採用募集ができるメリットがあります。
料金について
企業が人材紹介サービスを利用して入社が決まった場合には、一般的に採用された人材の想定年収30~35%の紹介手数料が発生します。専門性の高い職種やエグゼクティブ層など、採用が難しい人材の場合は、手数料率が通常より高くなることも珍しくありません。
料金は成功報酬型以外にも、契約開始時の着手金や選考段階ごとの手数料がかかるケースがあります。
人材紹介サービスの種類

人材紹介サービスには、人材紹介会社のデータベースから候補者を選定する「一般紹介・登録型」、SNSやビジネスネットワークなどを活用して幅広く候補者を探す「スカウト・サーチ型」、そして企業の人員整理にともなう「再就職支援型」の3つがあります。各サービスの特徴や活用方法を解説します。
一般紹介・登録型
一般紹介・登録型は人材紹介会社が保有するデータベースに登録された人から、条件に合った候補者を選定して紹介するサービスを指します。候補者を広く集められるのがメリットで、業界内でよく知られている手法です。
多様な職種や業種を扱う総合型、エンジニアやデザイナーなど特定の業種や職種に特化した専門型などがあります。
スカウト・サーチ型
スカウト・サーチ型は人材会社が保有しているデータベースのほか、SNSや独自の情報網をはじめ多様な採用候補者を探すサービスです。役員や社長候補などのエグゼクティブ層や特殊な専門スキルが求められるポジションなど、あらかじめ採用候補者が絞られている時に使います。この手法は一般的にエグゼクティブサーチやヘッドハンティングと呼ばれています。
一般に人材紹介サービスは成功報酬型ですが、一定期間継続したコンサルティング業務をおこなうリテーナー契約をすれば、成果にかかわらず着手金が発生します。
再就職支援型
再就職支援型はリストラなどによる人材整理を検討する企業が多く利用するサービスです。雇用継続が困難になった企業の社員が再就職できるよう、解雇に伴う手続きや労使紛争の処理、解雇する社員への教育研修や求人の紹介を代行します。企業には法的な知見にもとづき労働組合や個別ケースに対応したアドバイスやサポートをおこないます。
サービスの費用負担をするのはリストラをおこなう企業で、退職者を受け入れる採用企業は費用負担なく人材を確保できます。
人材紹介サービスのメリット

人材紹介サービスは、企業に多くのメリットをもたらします。直接雇用による長期的な人材育成が可能なほか、効率的な採用活動の実現、非公開での採用活動、初期費用なしでの採用、そして専門性の高い人材の確保などが挙げられます。
直接雇用による長期雇用が可能
人材紹介サービスで仲介される求職者は、企業との直接雇用が前提です。企業と求職者の合意により、正社員や契約社員など長期的に働く雇用形態での採用が中心です。
長期雇用が可能なため、企業は人材の育成や業務ノウハウの蓄積などが期待できます。
採用活動の効率化
企業が無計画に人材募集をかけるよりも、提示した採用条件から候補者を探すため、効率よく精度の高い採用活動が可能です。欠員補充や組織拡大などの採用の背景、求める人物像をあらかじめ人材紹介会社へ伝えておきましょう。マッチングの精度が高くなり、選考にのみ注力できるため、採用担当者側の業務負担も減らせます。
また、採用活動に知見がない企業でも、社内になかった新しい発想が得られたり、人材紹介会社が培ったノウハウを活用できたりするメリットもあります。
非公開で採用活動ができる
人材紹介サービスは、以下のような情報流出を避けたい場合の採用にも有効です。
● 企業内部の人事状況を知られたくない
● 新規プロジェクトに伴う人材募集で競合他社に動向を知られたくない
人材紹介サービスは公開求人広告とは異なり、非公開でも求人募集をおこないます。対象となる人材だけを紹介してくれる仕組みで、採用業務の負担軽減をしたい非公開求人にも最適です。
初期費用がかからないケースが多い
人材紹介サービスは一般的に成功報酬型で、初期費用がかからないケースが多くあります。報酬は候補者の入社日を起算して発生するため、採用コストを抑えられます。
契約条件によって異なりますが、入社した社員が早期に退職すれば、企業側が支払った手数料を返金してもらえることが可能です。人材紹介サービスは採用が決定するまでコストが発生しないため、通年で募集をかけられるメリットがあります。
専門性の高い人材を確保できる
一般的な求人サイトと比較し、エンジニアやクリエイターなどの専門職を集めやすいのが人材紹介サービスのメリットです。特定の分野に特化したサービスも存在し、専門性の高い人材を確保したい場合に活用を検討してみましょう。
人材紹介会社が保有するデータベースから幅広く声がけをして、今まで企業の存在を知らなかった求職者にも認知してもらえるチャンスがあります。さらに、業界に特化した採用のプロフェッショナルから、求人票の作成アドバイスが得られるため、採用ノウハウがない企業でも求める人材をみつけやすく、採用の母集団を大きくできる点が特徴です。
人材紹介サービスのデメリット・注意点

人材紹介サービスにはコストが高額になる可能性や、採用ノウハウが社内に蓄積されにくいといった課題があります。また、人数に応じて紹介手数料が発生するため、大人数の採用には向いていない特徴もあります。人材紹介サービスを利用する際の課題と注意点を解説します。
コストが高額になる可能性がある
人材紹介サービスを活用すれば、労力が軽減され、採用までの期間が短縮される一方で、一人あたりの採用コストが自社で採用活動するよりも高額になる可能性があります。
人材紹介サービスを活用した場合、採用人数に応じて、一人あたり人材の想定年収の35%程度の手数料が発生します。さらにハイクラス人材の場合は、紹介手数料の料率が高くなります。
一方、求人広告のような大人数の採用ができる媒体であれば、一人あたりの採用コストも削減できるため効果的です。採用にかかる労力やコストのバランスを考慮しながら、人材紹介サービスを活用してください。
採用ナレッジやノウハウが社内に蓄積しにくい
人材紹介サービスは、採用候補者の選定から面談日程の調整、条件交渉までを一括して代行します。ただし、代行された業務のノウハウは社内に蓄積されにくいのがデメリットです。
社内にノウハウを蓄積したい場合は、人材紹介会社の採用活動を通して、採用結果の要因分析とフィードバックを受け、社内で振り返りや分析をおこなうことが大切です。求職者の直近の動向や面談前後の反応などを調査するとともに、代行業務のノウハウを得られるように人材紹介会社と密に連携を図りましょう。
大人数の採用には向いていない
自社の要件に合う人材を紹介するため、質の高いマッチングが期待できる一方で、人材紹介サービスは採用人数に応じて料金がかかり、多くの人材を採用したい場合には適していません。
未経験層の大量採用をおこなう際は、求人広告や転職イベントなどを利用して、一人あたりの採用コストを抑えるための工夫も有効です。人材紹介サービスを利用する場合は、採用人数を明確にし、利用すべきか検討しましょう。
人材紹介サービスの活用が向いているケース

人材紹介サービスは、専門性の高い人材やマネジメント層の採用、即戦力となる人材の確保、はじめて募集する職種の採用など、特定のケースで効果を発揮します。効率的な採用活動をおこなうためにも、人材会社のデータベースや専門知識を活用するコツを見ていきましょう。
専門性の高い人材やマネジメント層の採用
人材紹介サービスは経営者目線を持って活躍できるハイクラス人材やマネジメント層といった即戦力の採用を望む場合に有効です。専門性の高い人材やマネジメント層は転職市場でも人数が少なく、採用が難しいためです。
人材紹介会社のデータベースには、スキルや年収、経験などが登録されており、専門スキルを持つ求職者へ効率よくアピールできます。
即戦力人材の採用
人材紹介会社と基本契約を締結していれば、求人票を作成するだけで企業のニーズに合った即戦力の人材を効率的に見つけられます。人材紹介会社は、業界ごとに専門的なデータベースをもっており、特定のスキルや資格を有する最適な人材を探せるため、採用までの期間を短縮し、スピードを重視した採用活動が可能です。
今までに募集経験のない職種の採用
今までに募集経験のない職種の採用でも、人材紹介会社から労働市場の動向やアドバイスを受けながら、採用活動に取り組めます。採用担当者は、人材紹介会社との連携を通じて、採用活動の新たな視点が得られ、最新の市場動向の把握が可能です。
また、人材紹介会社が求職者に対して企業の魅力を口頭で補足説明するため、企業規模や知名度、募集活動の状況に依存せずに、応募者を集められます。
人材紹介と他の人材サービスの違い

採用支援サービスには、求人広告、人材紹介、人材派遣、採用代行などがあります。人材紹介は採用企業との直接的な雇用契約が特徴で、他のサービスとは雇用形態や料金体系、サービス内容が大きく異なります。それぞれのサービスの特徴と違いを解説します。
人材紹介と人材派遣との違い
人材派遣サービスは、人材派遣会社と雇用関係のある人材を企業に派遣するサービスで、企業と労働者を仲介する点で似ていますが、以下の違いがあります。
人材紹介 | 人材派遣 | |
雇用元 | 受け入れ先企業 | 人材派遣会社 |
求職者探し | 人材紹介会社 | 人材派遣会社 |
サービスの概要 | 受け入れ先企業が求める人材を探し、採用活動のサポート | 登録している人材を派遣先企業へ有期契約で派遣する |
業務内容 | 業務の定めなし | 契約書で定められた業務のみ |
料金求人の有無 | 想定年収の35%程度 | 時間単価×実働時間数 |
料金発生のタイミング料金 | 入社日を起算として想定年収の35%程度 | 実稼働時間に応じて発生時間単価×実働時間数 |
料金発生のタイミング | 入社日を起算 | 実稼働時間に応じて発生 |
人材紹介は、採用支援、人材派遣は、急な欠員補充や一時的な人員補強のために人材を派遣します。長期雇用を前提とした採用計画をしている場合は、企業の中核をなす人材を採用できる人材紹介会社の活用がおすすめです。
求人広告との違い
求人広告は求人サイトや折り込みチラシなどに掲載して、求職者を募集する採用手法です。人材紹介サービスは、採用予定者の想定年収から手数料を算出しますが、求人広告は条件に合わせた料金体系が明確で予算が立てやすいメリットがあります。
採用の有無にかかわらず費用が発生する一方で、1回の掲載で複数人の採用が決まれば一人あたりの採用単価は低く抑えられます。ただし、求人媒体により応募してくる求職者の層が異なるため、媒体選びが重要です。
採用代行との違い
人材紹介は採用候補者を見つけ出して紹介することに特化している一方で、採用代行は企業の採用業務を包括的に代行するサービスです。面接調整や求人広告の出稿など、採用業務の一部をアウトソーシングできます。
人材紹介は成功報酬型が一般的に採用されていますが、採用代行は採用に至らない場合でも、業務範囲や量によって一定の料金が発生します。
人材紹介サービス利用の流れ

人材紹介会社から紹介を受けて、採用にいたるまでは2~3ヶ月ほどかかります。採用は、企業のヒアリングから始まり、契約の締結、求人票作成、候補者とのマッチング、書類選考、面接、採用決定、そして紹介手数料の支払いまで、段階的に進みます。各プロセスの具体的な内容を説明します。
ヒアリング
人材紹介会社に、Webサイトやメールなどを通じて問い合わせしてもらった内容をもとに担当者がヒアリングをします。
企業の採用担当者はヒアリングの前に、求める人物像を具体的にまとめておくとスムーズに話ができるでしょう。ただし、条件を絞りすぎれば、候補者が集まらない可能性もあるため、担当者のアドバイスも参考に内容を検討してみてください。
契約
サービス内容に問題がなければ、人材紹介会社と基本契約を締結します。手数料率、支払いのタイミング、返金規定などのリーガルチェックをおこないましょう。
一度、人材紹介会社と基本契約書を締結しておけば、いつでも募集したいポジションの求人票を作成して募集が開始できます。
求人票作成
求人票は企業で準備する場合と、人材紹介会社が代行する場合の2パターンあります。人材紹介会社の担当者は業界の転職事情にくわしいため、相談しながら訴求力の高い求人票を作成できます。
マッチング、サーチ活動
人材紹介会社のデータベースから求人票の採用要件に合致する人材を検索します。候補者が見つかれば、求人票や事前のヒアリング内容をもとに面談をおこない、応募の意思を確認してくれます。
面談後に応募者の意思が固まった段階で、履歴書や職務経歴書などを企業へ提出して書類選考に進みます。
書類選考
人材紹介会社から提出された応募書類を参考に、候補者の経験やポテンシャルを総合的に判断して面接するか決定します。事前に候補者の人柄や具体的な業務エピソードなど、気になる点があれば、人材紹介会社に直接聞いておくと確実です。
なお、書類選考の合否結果の通知や面接試験に進んだ場合のスケジュール調整は人材紹介会社がおこないます。
面接
企業と候補者が直接面接をおこない、書類選考ではわからない候補者の人柄や意欲、スキルを確認します。面接日程の調整や合否通知などもエージェントが代行しておこなうため、企業は面接以外に必要なアクションは基本的にありません。
採用
面接の結果、候補者と自社のニーズが合致したら採用条件を通知します。状況によって、条件通知面談や労働条件の交渉を人材紹介会社がおこないます。候補者の悩みがあれば人材紹介会社がヒアリングをして、双方が納得できるまでやり取りをおこなうことも大切です。
採用が決定した後は、雇用契約書の締結や入社日の調整、必要な書類や持ち物についても人材紹介会社を通じて内定者に伝えます。
紹介手数料の支払い
人材紹介会社から請求書が発行されたら、紹介手数料の支払いをします。紹介手数料の請求書は、一般的に入社日を起点として発行されます。
ただし、サーチ型など採用プロセスの進行にともない、支払いが生じる場合もあるため、注意しましょう。
人材紹介サービス活用のポイント

人材紹介サービスを活用する際のポイントは、募集要件の明確な伝達、人材紹介会社の実績確認、そして密な連絡体制の構築です。特に採用方針や企業情報の共有、実績にもとづく人材紹介会社の選定、要件変更時の迅速な情報共有などが成功のカギとなります。詳しいポイントを解説します。
募集したい求人の要件を人材紹介会社にしっかりと伝える
企業の代わりに採用活動をおこなうため、採用企業と人材紹介会社との間で、採用方針などの情報共有が重要です。問い合わせやヒアリングの段階で、企業の募集背景や採用要件をしっかりと伝えておきましょう。
採用したい人物像以外にも、企業の業績、将来性、企業風土などを伝えておくと、候補者も安心です。
人材紹介会社の実績を確認する
人材紹介会社を活用する際には、登録人数の多さだけでなく、求めている人材が多いのか、幅広い人材が揃っているのかなどをチェックしましょう。
もし、人材紹介会社がWebサイトに採用実績や事例を掲載している場合、自社の企業規模や業種に近い例があれば参考にしてみてください。必要に応じて、一般紹介型の総合型、専門型、サーチ型の人材紹介会社を使い分けて活用するとよいでしょう。
人材紹介会社との連絡をこまめにおこなう
採用活動をするなかで、求める人物像や要件が変わった際には、すぐに人材紹介会社へ情報共有しましょう。
もし不採用の場合でも、理由やミスマッチの要素をできるだけ詳細に伝えることで、今後のマッチング精度が高まるだけでなく、人物像の解像度が上がります。
こまめな連絡は人材紹介会社との良好な関係維持のほか、最終的には採用の成功につながります。
スタッフサービスグループの人材紹介サービスについて

人材紹介サービスは完全成功報酬で、実際に就業を開始してからしか紹介手数料は発生しません。スタッフサービスでは「コスト」「労力」「時間」の面で工程を軽減できる人材紹介サービスをおこなっています。採用時のミスマッチが少なく、優秀な人材を確保できるとして注目されている手法です。
また、日本全国の120万人以上を登録したデータベースや外部のデータも活用し、精度の高いマッチングを実現します。
まとめ

人材紹介サービスは、企業と求職者をマッチングし、効率的な採用活動を支援する仕組みです。企業は初期費用を抑えながら、採用の不安を取り除き、優秀な人材を確保できます。導入のデメリットも少ないため、効率的かつ効果的に採用を進めたい場合は人材紹介会社を活用してみてください。
<ライタープロフィール>
小山真奈
ITパスポート、日商簿記2級を保有。学生時代はパソコンのサポートスタッフ、その後中小企業の経理を経験して、フリーライター兼オンライン秘書へ。SEOやLPを中心にした集客のライティングと経理で培った強固な財務体制づくりで、お客様の事業加速のサポートをしている。