採用の定員がオーバーした時の注意点、メールの例文や作成ポイントを紹介
採用担当者にとって気が重い仕事の1つといえば、応募者への「採用のお断りメール」ではないでしょうか。特に、「採用の定員がオーバーした時」は、なおさらでしょう。
メールの内容によっては、応募者を不快な気持ちにさせてしまったり、SNSなどで拡散されて企業イメージが悪くなってしまったりするおそれがあります。本記事では、定員がオーバーした時のお断りメールの文例や注意点、作成のポイントを紹介します。
目次
採用のお断りメールとは
採用のお断りメールとは、書類選考や面接などの結果、求める人材像とマッチしないと判断した応募者、もしくは、採用予定の定員をオーバーした際にお送りするメールを指します。「採用・不採用については、郵送や電話で連絡がくるもの」と考えている年配の方も少なくないようですが、現在はメールによる連絡が一般的になっています。
応募者は、できるだけ早く結果を知りたいはずです。メールは、郵送より早く連絡することにつながります。採用のお断りの連絡は、一番早く結果を伝えられるためメールがおすすめです。
メールは、送信記録を残すことができるため「通知が来ていない」「聞いていない」などといった応募者とのトラブルを避ける効果もできます。
ただし、採用のお断りメールの内容によっては、応募者を不快にさせてしまったり、SNSなどを通して企業の不評が拡散されてしまったりするおそれがあります。メールの内容は、慎重に検討する必要があるでしょう。
採用の定員がオーバーした時のお断りのメール例文
求人が定員に達した時のお断りメールは、以下のような内容が一般的です。
《書類選考の場合》
件名:【株式会社〇〇】選考結果のご連絡 〇〇様 大変お世話になっております。株式会社〇〇の採用担当〇〇です。 このたびは弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。 社内で慎重に検討いたしました結果、誠に残念ではございますが、 今回は採用を見送らせていただく判断となりました。 ご希望に添えず、大変申し訳ございません。 求人への応募が多数につき、何卒ご了承賜りますようお願いいたします。 ご応募いただいたことに感謝を申し上げると共に、略式ながらメールにて通知申し上げます。 なお、お預かりしました応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄させていただきます。 末筆ではございますが、〇〇様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。 株式会社〇〇 人事部人事課 名前:〇〇〇〇 電話:〇〇〇〇 住所:〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 メール:〇〇〇〇 |
《面接の場合》
件名:【株式会社〇〇】選考結果のご連絡 〇〇様 大変お世話になっております。株式会社〇〇の採用担当〇〇です。 先日はお忙しい中、当社の採用面接にお越しいただき、誠にありがとうございました。 社内で慎重に検討いたしました結果、誠に残念ではございますが、 今回は採用を見送らせていただく判断となりました。 ご希望に添えず、大変申し訳ございません。 採用枠が狭いこともあり、何卒ご了承賜りますようお願いいたします。 ご応募いただいたことに感謝を申し上げると共に、略式ながらメールにて通知申し上げます。 なお、お預かりしました応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄させていただきます。 末筆ではございますが、〇〇様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。 株式会社〇〇 人事部人事課 名前:〇〇〇〇 電話:〇〇〇〇 住所:〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 メール:〇〇〇〇 |
※本メール例文は、必要に応じて内容を変更してご利用ください
採用の定員がオーバーした時のお断りの注意点
不採用の通知は、採用の通知メール以上に慎重な対応が必要となります。採用の定員がオーバーした時のお断りメールは、以下の7つのポイントに注意することをおすすめします。
応募者には早めに連絡をする
採用・不採用の結果は、早めに連絡することが大切です。就職・転職活動をしている方々は、履歴書やエントリーシートの作成、面接などで忙しい日々を送っているかもしれません。不採用になった場合、志望企業の枠を広げる必要もあるでしょう。そのため、できるだけ早く結果を知ることを望んでいるはずです。
とはいえ、面接当日や翌日では、逆に早すぎて慎重に検討していない印象を与えてしまうかもしれません。採用の定員がオーバーした時のお断りメールは、可能であれば、書類選考から2~3日後、遅くとも1週間以内には通知するのが望ましいでしょう。
応募者の気持ちに配慮する
採用のお断りメールの内容は、企業によってさまざまです。あまりにもあっさりしていたり、形式的すぎるメールでは、相対的に自社への印象を悪くしてしまったり、応募者の心証を害してしまったりして、SNSなどを通じて世の中に拡散されてしまうかもしれません。
採用の定員がオーバーした時のお断りメールは、応募者の気持ちに配慮し、相手を傷つけたり、不快にさせたりしないような内容にすることが大切です。できるだけ応募者の気持ちに寄り添うよう心がけましょう。
不採用の理由は具体的に記載しない
採用のお断りをする場合、企業側から応募者に対して「不採用の理由」を説明する義務はありません。不採用の理由を伝えてしまうと、後々トラブルになってしまうかもしれません。お断りの理由は具体的に記載せず、「求人への応募が多数につき」「採用枠が狭いこともあり」といった文言にとどめておくのが無難です。
採用の定員がオーバーした事実をお伝えすれば、応募者も自身のスキルや経歴、過失などが原因ではないと理解できるので、選考結果に納得しやすくなるのではないでしょうか。
応募者の中には、採用のお断りメールに対して返信をして「不採用の理由」について具体的に尋ねてくる方もいるかもしれません。その場合も「採用の定員をオーバーしてしまい、ご期待に添いかねる結果となってしまいました」などとお伝えして、具体的な理由については説明しないほうがいいでしょう。
「不採用」という表現は避ける
採用のお断りメールであっても、「不採用」という直接的な表現は避けることをおすすめします。否定的な文言は、応募者を傷つけてしまったり、冷徹な印象を与えたりすることがあるかもしれません。直接的な表現は避けて、「残念ながら」「ご期待に添いかねる結果に」などといった間接的な表現をしたほうがいいでしょう。
応募者への感謝を忘れない
同様に採用のお断りメールであっても、応募者に対して礼節を欠いた態度は望ましくありません。結果的には不採用であったとしても、応募者への感謝は忘れないようにしましょう。
履歴書やエントリーシート、職務経歴書の作成、面接などの時間の割いてくれたこと、また多数の求人の中から自社を選んだ応募くれたことへの感謝の気持ちを伝えることが大切です。
送り先を間違えないようにする
採用のお断りメールを送る際、特に注意しなくてならないのは、メールの誤送信です。「採用通知が来た後で不採用メールが届いた」「2度も不採用通知が来た」「応募もしていないのに採用のお断りメールが来た」などといったミスをしてしまうと、求職者や社会の信用を失ってしまいます。
それだけではなく「個人情報を適切に扱えない会社」「コンプライアンスを守れない企業」といった悪評が広がり、企業イメージを著しく損なってしまうおそれがあります。
採用のお断りメールは、慎重な対応を心がけたほうがいいでしょう。担当者1人ではなく、複数の人間がチェックできるようにして、ダブルチェック、可能であればトリプルチェックができる体制を作っておくことをおすすめします。複数人で入念に確認すれば、送信ミスを防止することにつながります。
履歴書や職歴書などの個人情報の取り扱いについて伝える
応募者の履歴書やエントリーシート、職務経歴書には、住所・氏名・生年月日・学歴・職歴といった個人情報が含まれており、個人情報保護法の対象となっています。 採用活動の際は、履歴書や職務経歴書などの書類の利用目的や不採用の場合の取り扱いを明記し、厳守することが求められています。
応募者が提出した履歴書や職務経歴書は、破棄するのか、返却するのか、事前に決めておくようにしましょう。採用のお断りメールにも、どのように書類を取り扱うのか、一言添えておくことをおすすめします。
採用の定員がオーバーした時のお断りメールを作成するポイント
採用のお断りメールには、上記以外にも心がけておきたいことがあります。採用の定員がオーバーした時は、次の3つのポイントに留意して、応募者に不快感を与えにくいメールを作成するようにしましょう。
メールの内容はわかりやすく簡潔に伝える
応募者は、選考結果を一刻も早く知りたいと願っているはずです。できるだけ簡潔に、わかりやすく、選考結果をお伝えするのが望ましいでしょう。
応募者の気持ちに配慮してお断りメールを作成しようとすると、言い訳めいた冗長な文章になりがちです。採用の定員がオーバーした時は、特にまわりくどい内容になってしまう傾向があるようです。
メールの文章を作成したら、不必要な文章はないか、重複している箇所はないか、必ずチェックするようにしましょう。初めて採用のお断りメールを作成する場合は、上司や先輩など、第三者に見てもらい、わかりやすく簡潔な内容になっているか、客観的な視点でチェックしてもらうことをおすすめします。
誠意が伝わるように意識する
採用のお断りメールで、もっとも大事なポイントは「誠意を伝えること」といえるかもしれません。多くの求人の中から自社を選んで応募してくれたことへの感謝の気持ちを、心を込めてお伝えしましょう。
採用のお断りをすることに変わりはありませんが、メールの内容次第では、応募してくれた方も「この企業を志望して良かった」と前向きな気持ちになってくれるはずです。また、「今回は採用されなかったけど、いい会社だったな」と思ってくれるかもしれません。
応募者は、求職者であると同時に、自社の商品やサービスを利用しているお客様であることが少なくありません。あるいは、これから利用してくれる、潜在的な顧客であるともいえます。
前述した「応募者の気持ちに配慮する」「不採用という表現は避ける」「応募者への感謝を忘れない」などのポイントに留意して、自社に対して好感を持ってもらえるような内容を心がけましょう。
次回の採用活動で検討をしたい応募者にはそのように伝える
今回の採用活動では定員をオーバーして不採用にしてしまったとしても、次回募集の際には前向きに検討したい応募者もいるでしょう。そういう場合は、次のような文章をメールに添えることをおすすめします。
今回は予定人数に達したため、残念ながら選考を見送らせていただく結果となりましたが、 ご経歴を拝見させていただき、次回はぜひ前向きに採用を検討させていただけたらと考えております。 次回募集の際は、こちらからもお声を掛けさせていただきます。 その際は再度ご検討いただけましたら幸いです。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。 |
採用の機会は、一度きりではありません。少子高齢化・人口減少などによって、今後ますます採用難が続いていくかもしれません。採用の定員がオーバーしたため、不採用になった方々との「ご縁」も大切にしていく。それが、より良い人材を採用していくための重要なポイントの1つになるでしょう。
まとめ
採用の定員がオーバーした時のお断りメールは、「できるだけ早く伝える」「応募者への配慮を忘れない」「不採用という言葉を避ける」など、さまざまな心遣いが必要です。応募者への配慮を怠ってしまうと、SNSなどを通じて企業の悪評が広まってしまうかもしれません。採用をお断りした応募者も、自社の商品やサービスのお客様だったり、潜在的なユーザーであったりするかもしれません。あるいは、将来仕事で関わる可能性もあります。採用のお断りメールは、親切かつ丁寧な対応を心がけることをおすすめします。
ライタープロフィール
鈴木にこ/ライター
求人メディアの編集者を経て、フリーランスとして活動中。派遣・新卒・転職メディアの編集協力、ビジネス・ライフスタイル関連の書籍や記事のライティングをおこなう。