「リフレーミングとは」具体例とやり方について解説!
思考技術のひとつに「リフレーミング」があります。リフレーミングとは、物事の捉え方を変える思考技術です。自分の感情をコントロールできたり問題解決能力が向上したりといった効果を得られます。
本記事では、リフレーミングの考え方や得られる効果、種類とともに、リフレーミングの手法や活用する状況、実施する際のポイントについて解説します。
目次
リフレーミングとは
リフレーミングとは、物事や出来事に対して捉え方を変えることにより、これまでとは異なる見方を得る思考技術です。認識(frame)のフレームを改める(re)ことから、リフレーミングと呼ばれています。
よくある例として挙げられるのは、コップに入った水の量を見たときの捉え方です。水がコップの半分まで入った状態を見て「半分も入っている」と捉えるのか「半分しか入っていない」と捉えるのかで、同じものを見ても捉え方が異なります。
見ているものは同じでも、捉え方を変えることにより、問題解決につながったり、気持ちを切り替えられたりできるのです。
リフレーミングとポジティブシンキングの違い
捉え方を変える思考技術に、ポジティブシンキングがあります。リフレーミングとポジティブシンキングの違いは、捉え方の方向性です。ポジティブシンキングは、物事を前向きに捉える思考技術で、ポジティブに考えることに特化しています。
一方、リフレーミングは「相手の立場に立つ」「別の視点から理解する」「相手に共感する」といったさまざまな捉え方をする思考技術です。ポジティブに捉えることもあれば、あえてネガティブに捉えることもあります。「発想の転換」が、リフレーミングの考え方といえるでしょう。
リフレーミングの効果
リフレーミングの効果として、以下の3つが挙げられます。
・ 自分をコントロールできる
・ 人間関係が円滑になる
・ 問題解決能力が向上する
ここでは、それぞれの効果について解説します。
自分をコントロールできる
リフレーミングの効果として、自分をコントロールできることが挙げられます。仕事で重要な業務を任せられた場合「自分にできるのか」と不安に感じることがあるでしょう。その際に、リフレーミングで「自分の能力が評価された」「経験を積める」と捉えれば、モチベーションが上がるはずです。
自信がなく、不安に感じることでも、リフレーミングにより自分の感情をコントロールできるのです。
人間関係が円滑になる
人間関係が円滑になることも、リフレーミングの効果に挙げられます。批判的な発言をする人がいた場合、その人の言動が気になり人間関係に支障をきたすケースがあります。その人の短所ばかりが目につくようにもなるでしょう。
しかし、リフレーミングで捉え方を変え「自分が気づかない点を指摘してくれている」と考えれば、批判もアドバイスと捉えられ、良い関係性を築けます。これは、マネジメントの際にも使えるテクニックです。リフレーミングは、コミュニケーションやマネジメントにも有効なテクニックといえるでしょう。
問題解決能力が向上する
リフレーミングは、問題解決能力の向上にも効果があります。トラブルが発生した場合、原因追及や対策をひとつの視点で考えてしまう場合があるでしょう。その結果、真因にたどりつけないケースや、考えた対策の効果がでないといったケースがあります。
リフレーミングにより、さまざまな視点から原因や対策を考えれば、真因にたどりついたり効果的な対策を思いついたりします。さまざまな視点から考えるリフレーミングは、問題解決に特に有効な手法といえるでしょう。
リフレーミングの種類
リフレーミングの種類には、以下の3つが存在します。
・ 状況のリフレーミング
・ 人格のリフレーミング
・ 行動のリフレーミング
ここでは、それぞれの種類について解説します。
状況のリフレーミング
状況のリフレーミングは、発生した状況に対する解釈を見直すリフレーミングです。ネガティブに感じる状況に遭遇した際に、リフレーミングでポジティブな捉え方をすれば、前向きな気持ちで取り組めます。
例えば、仕事で注意をされた場合「自分にはできない」とネガティブになることがあります。その際に「アドバイスをもらった」「スキルを上げるチャンス」と捉えれば、前向きに取り組めるはずです。
人格のリフレーミング
人格のリフレーミングは、人の内面に対する捉え方を見直すリフレーミングです。例えば、自己主張が少ない人に「おとなしくてやる気がない人」という印象を持っていた場合、リフレーミングで捉え方を変えれば「状況をよく見ている冷静な人」と捉えられます。リフレーミングで視点を変えることにより、他人の良い面に気がつけるのです。
行動のリフレーミング
行動のリフレーミングは、行動を見直すリフレーミングです。仕事でトラブルが発生した場合、愚痴を吐いてしまったり、逃げだしたくなったりするケースがあります。
その際に、リフレーミングで考え方を変えることにより「なにか自分にできることはないか」「どうすればトラブルが発生しなかったのか」と考え、行動に起こせるようになります。自分への問いかけを変えることにより、自分の行動が変わるのです。
リフレーミングの手法
代表的なリフレーミングの手法には、以下のものが挙げられます。
手法 | 内容 | 例 |
言葉の リフレーミング |
言葉の定義や意味の捉え方を変える | ・神経質→細部まで目が届く ・自主性がない→サポートしている |
As IFの リフレーミング |
物事に対し、仮定をした条件と合わせて発想を広げる | ・もし顧客の立場なら… ・もし納期まで1日しかなければ… |
時間軸の リフレーミング |
過去や現在、未来の時間軸を活用して別の発想を生みだす | ・10年後成功するためには、 現在は何をしなければならないのか ・少し前に戻れるなら何ができたのか |
解体の リフレーミング |
物事の枠組み自体を解体し、新な焦点から捉える | ・膨大な仕事量に対し、工程数や工程ごとにかかる時間、工程ごとの難易度を整理し、段取りする |
Wantの リフレーミング |
自分に問いかけることにより、考えを整理する | ・「どうしたいのか」を自分に問いかけ、 自分の気持ちを引き出し、その解決策を模索する |
メタファーの リフレーミング |
直接的な言葉ではなく、別のものに例えたり、成功者の名言を使ったりしてインパクトを与える | ・「わが部署のエースです」 ・スティーブジョブズも「旅の過程にこそ価値がある」と言っていた |
リフレーミングを活用する状況
リフレーミングを活用する主な状況は、以下の3つです。
・ 仕事がうまくいかなかったとき
・ 批判されたとき
・ モチベーションを上げたいとき
ここでは、それぞれの状況での活用方法について解説します。
仕事がうまくいかなかったとき
リフレーミングを活用する状況として挙げられるのは、仕事がうまくいかなかったときです。仕事では失敗やトラブルはつきものです。その際に、捉え方を変えることにより、問題解決につながります。
ミスをしてネガティブになるのではなく「自分に与えられた試練」「仕組みに問題があることに気づけた」と考えれば、失敗やトラブルに対してポジティブに取り組めます。リフレーミングは、仕事で発生するさまざまな状況で活用できるテクニックです。
批判されたとき
批判されたときにも、リフレーミングが活用できます。仕事をしていると、批判やネガティブな言葉を投げかけられることがあります。人間関係で悩むこともあるでしょう。
批判やネガティブな言葉を受けとめすぎた場合、ストレスが蓄積され、ネガティブな感情が大きくなります。ストレスを蓄積させないためにも、リフレーミングで捉え方を変えることが大切です。
批判は「自分が失敗しないように指摘してくれている」と考えれば、嫌な感情がなくなります。ネガティブな言葉もポジティブな意味に解釈すれば、ストレスは弱まるはずです。批判やネガティブな言葉は、言葉通りの意味で捉えないようにしましょう。
モチベーションを上げたいとき
モチベーションを上げたいときも、リフレーミングが活用できます。前述したように、リフレーミングには、自分の感情をコントロールし、モチベーションを上げる効果があります。
新しい仕事を任された場合や、大勢の前で発表する場合、不安や緊張を感じる人もいるでしょう。不安や緊張を感じたときに、リフレーミングで捉え方を変換し、感情をコントロールすることにより、モチベーションが上がります。
自分の感情をコントロールするテクニックとして、リフレーミングを活用できるようになると良いでしょう。
リフレーミングを実施するときのポイント
リフレーミングを実施するときのポイントとして、以下の3つが挙げられます。
・ 相手の立場や言葉を考える
・ リフレーミングを活用する習慣をつける
・ 効果や得られるものについて考える
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
相手の立場や言葉を考える
リフレーミングを実施するときのポイントとして、相手の立場や言葉を考えることが挙げられます。相手の立場になって考えることにより、自分とは異なる考えを持つ人の気持ちが理解できます。
相手の気持ちがわかれば「なぜこの言葉を発したのか」も理解できるはずです。自分の立場だけで捉え方を変えるのではなく、相手の立場に立ったうえで捉え方を変えてみましょう。
リフレーミングを活用する習慣をつける
リフレーミングを活用する習慣をつけることも、ポイントです。リフレーミングは感情をコントロールする技術です。簡単に身につくものではありません。継続的にトレーニングし、活用する習慣をつけることにより、技術が身につきます。
日常会話で使われるネガティブな言葉を、ポジティブな意味に捉えることから始め、それが習慣化されたら、業務で実践すると良いでしょう。
効果や得られるものについて考える
リフレーミングを実施するときは、効果や得られるものについて考えることも大切です。捉え方を変えた結果が、必ずしも良い方向に進むとは限りません。自分では良いと思って発言した結果、相手の気分を害してしまうこともあるでしょう。
急な異動によりモチベーションが下がった場合でも「異動先でこれまでとは異なる経験が積める」と、前向きに挑戦した結果、成果をだせるケースもあります。自分にとってどのようなメリットがあるのかを想定し、実践後に振り返ることにより、効果のあるリフレーミングが身につきます。
良い結果がでなければ、ほかの方向から考えることも必要です。自分の中でPDCA(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善))サイクルを回しながら、効果的なリフレーミングのスキルを身につけましょう。
まとめ
リフレーミングとは、捉え方を変えることにより、これまでとは異なる見方を得る思考技術です。リフレーミングの効果には、自分をコントロールできることや人間関係が円滑になること、問題解決能力が向上することが挙げられます。
リフレーミングは、以下のような状況のときに活用できます。
・ 仕事がうまくいかなかったとき
・ 批判されたとき
・ モチベーションを上げたいとき
リフレーミングを実施するときは、相手の立場に立ったうえで捉え方を変えることがポイントです。ただし、リフレーミングは簡単に身につけられるものではありません。リフレーミングを活用する習慣をつけ、自分の中でPDCAサイクルを回すことが大切です。
効果的なリフレーミングのスキルを身につけ、仕事や日常生活で活かしましょう。
《ライタープロフィール》
ライター:田仲ダイ
エンジニアリング会社でマネジメントや人事、採用といった経験を積んだのち、フリーランスのライターとして活動開始。現在はビジネスやメンタルヘルスの分野を中心に、幅広いジャンルで執筆を手掛けている。