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採用戦略のフレームワークとは? 種類や利用するメリット、注意点を紹介

採用戦略のフレームワークとは? 種類や利用するメリット、注意点を紹介

採用戦略とは、企業が自社の求める人材を獲得するために立てる戦略のことです。日本は少子高齢化が進み、2008年をピークに人口減少が始まっています。売り手市場や人手不足は今後も続くと考えられ、人材の獲得はますます困難になっていくでしょう。

自社の競争力を高め、業績アップに貢献できる優秀な人材を確保するためには、採用戦略のフレームワークが不可欠です。本記事では、採用戦略の基本知識やフレームワークの種類、採用に導入するメリットと注意点を紹介します。

採用戦略とは?

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採用戦略とは、企業が必要な人材を計画的に獲得するための手法です。採用活動は、5年先、10年先の自社のあるべき姿を見据えながら、求める人材像を明確にし、計画的に人材採用をおこなっていくことが必要になります。幹部候補となる優秀人材の獲得、人手不足の解消、早期離職の防止など、その目的は企業によってさまざまですが、人事担当だけでなく、全社を巻き込んだ計画を立てることが重要です。

採用戦略を立てる手順と具体的な内容

採用戦略は、次のような手順でおこなっていきます。

①    基になる中長期的な事業計画の確認
将来を見据えた自社のあるべき姿を具体的に検証し、中長期的な事業戦略を策定または確認します。企業のビジョン(実現したい未来)を実現するために、何をすべきか、何をすべきではないのか。現在の問題点と解決方法を複数挙げ、メリット・デメリット、リスクも検討し、取るべき戦略を明確にします。

②    要員(人員)計画の策定
事業計画を確認したら、要員(人員)計画を策定します。要員計画とは、雇用形態別や契約形態別の人員数を計画することです。人事に関する施策は、経営目標の達成、業務に必要な機能、それらを実行する組織・予算・人件費・人員数などを決めることから始まります。経営層や各部門のリーダーと話し合い、人件費予算の枠のなかから、各部門に配置する雇用・契約形態別の人数を決めていきます。

③    採用ターゲット、自社の訴求ポイント、採用手法、KPI・KGIの設定
要員計画を策定したら、自社が求める人材像を明確にし、採用ターゲットを定めます。自社の訴求ポイントや採用手法などを多角的に検証し、KPIとKGIを設定、中間目標と最終目標を決めます。この際、「ペルソナ設定」「カスタマージャーニー」「3C分析」「4C分析」などのフレームワークを活用します。

④    採用戦略の内容の見直し、入社前後のフォロー
採用戦略に基づいて選考をおこなった後も、その戦略が本当に正しかったのか、効果検証をすることが必要です。改善ポイントを洗い出し、修正を繰り返しながら、採用戦略のPDCAを回していくことで、求める人材を継続的に採用できるようになるでしょう。入社した社員についても、新人研修やOJT、メンター制度、オンボーディングなどの育成手法を使ってフォローし、早期離職を防ぎ、定着率を高めることにつながります。

採用戦略のフレームワークの種類

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採用戦略とは、単に人材を募集するだけでなく、「自社にとって必要な人材」や「採用市場における自社の立ち位置」「求職者が希望する企業像」などを具体的に掘り下げ、戦略的に採用活動をおこなっていくことをいいます。マーケティングに用いられるフレームワークを活用することで、採用戦略は効果的に実施できるようになるでしょう。採用戦略の代表的な6つのフレームワークを紹介します。

ペルソナ設定

ペルソナ設定とは、自社が求める人材像をもとにペルソナ(架空の人物モデル)を作り上げるマーケティング手法です。年齢、性格、特徴、スキルなど、採用戦略に必要となる要素を詳細に設定します。
 

名前 仕事に求めているもの
性別
年齢
特徴 課題・悩み
スキル
志向
年収 価値観
家族構成
趣味

採用戦略の出発点は、「求める人材像」を明確にすることです。優秀な人材が必要なのはどの企業も一緒ですが、その定義は会社によって異なります。「自社にとっての優秀な人材像」を具体的に設定し、その人物がどのように考えるのか、行動するのかをシミュレーションしながら採用戦略を練っていきます。

重要なポイントは、求める人材の要素を羅列するだけでなく、どのような人物なのか、生活レベルまで掘り下げて考えることです。どんな暮らしをして、どんな会社に入りたいと思っているのか。上記のようなシートを作成し、細部まで考えることで、自社の採用活動に必要なアプローチが見えてくるでしょう。

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは、商品やサービスを購入・利用する顧客のペルソナを設定し、認知から検討、購入・利用に至るプロセスを「時系列」でとらえ、その思考や感情、行動などを分析する考え方です。
 

ペルソナ
(顧客モデル)
顧客行動
 
▶︎認知 ▶︎興味・関心 ▶︎比較・検討 ▶︎行動
タッチポイント
(顧客との接点)


思考・感情


インサイト
(自社アクション)



ペルソナ(架空の顧客モデル)は、どのようにして自社の商品やサービスを認知し、どのように興味・関心を持ち、どのような商品・サービスと比較・検討し、購入や利用に至るのか。カスタマージャーニーは、本来は販売促進で用いられるマーケティング手法ですが、採用戦略にも応用できるでしょう。

自社が求める人材は、自社の求人情報をどのように発見し、どのようなポイントに注目するのか。どのような企業と比較して、どのようなアクションを起こすのか。その人物の思考や感情、行動などを時系列に沿って考え、仮説を立て、求職者の視点に立った採用施策を展開しましょう。

3C分析

3C分析とは、市場における自社の立ち位置を分析するマーケティング手法です。Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点で分析し、訴求ポイントを明確にします。

Customer(市場・顧客):既存の顧客、市場規模、成長性などを分析
Competitor(競合):競合他社、シェア、参入障壁などを分析
Company(自社):自社内のシェアや現状を分析

3C分析も採用戦略に応用できます、自社の市場には、どのような人材が、どれくらいいるのか。競合はどのような企業で、どんな採用活動をしているのか。自社の強み・弱みは何か、知名度やブランド力はどのように評価されているのかなど、自社を客観的に分析することで採用戦略が立てやすくなるでしょう。

4C分析

4C分析とは、購買者視点で商品やサービスを考える際に使われるマーケティングのフレームワークです。4Cとは、Customer Value(顧客にとっての価値)、Cost(顧客の負担)、Convenience(顧客の利便性)、Communication(顧客との意思疎通)を指します。

Customer Value(顧客にとっての価値):顧客のニーズに応える機能を持っているか
Cost(顧客の負担):顧客が購買する際の負担を把握しているか
Convenience(顧客の利便性):顧客が購買する際に利用しやすいか
Communication(顧客との意思疎通):どのような手法で顧客を購買に誘導するか


4C分析も採用戦略に応用できます。自社は求職者のニーズに応える企業になっているのか、求職者の情報収集に負担がかかっていないか、求職者が応募しやすい仕組みになっているか、どのような手段で求職者を応募に導くのか。このように求職者の視点に立って採用戦略を考えてみましょう。

SWOT分析

SWOT分析とは、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の4つの項目で整理して分析するフレームワークです。
 


プラス要因

マイナス要因

内部環境

Strengths
(強み)

Weaknesses
(弱み)

外部環境

Opportunities
(機会)

Threats
(脅威)

自社の現状を、内部環境(ネームバリュー、ブランド力、商品・サービス、給与、待遇、働きやすさなど)におけるプラス要因となる「強み」とマイナス要因となる「弱み」、外部環境(市場、競合、経済動向、トレンドなど)のプラス要因となる「機会」とマイナス要因になる「脅威」に分けて整理します。

たとえば、テレワークやフレックスタイム制を導入している企業は、内部環境の「強み」として考えることができるでしょう。一方、基本給が低い、年功序列などの制度は「弱み」となる場合があります。

また、インターシップを実施している企業は、求職者と接触する“機会”が増えるため、外部環境の「プラス要因」として挙げることができるでしょう。一方、自社よりもネームバリューが高い競合他社がある場合は“脅威”となるので、外部環境の「マイナス要因」として考えたほうがいいでしょう。

このようにしてSWATの4つの視点「強み」「弱み」「機会」「脅威」で自社を見直し改善していくことで、求職者にとって魅力ある環境を整えていくことができるでしょう。

5A理論

5A理論とは、米国の経営学者フィリップ・コトラーが提唱する、顧客がネットに繋がっている時代におけるカスタマージャーニーの考え方です。5Aとは、Aware(認知)、Appeal(訴求)、Ask(調査)、Act(行動)、Advocate(推奨)を指し、消費者が商品やサービスを購入・利用に至るプロセスを分析します。

 

Aware
(認知)
Appeal
(訴求)
Ask
(調査)
Act
(行動)
Advocate
(推奨)
顧客との
接点

・広告で知る
・友人から聞く
・SNSで知る

・興味を持つ
・欲しいと思う

・ネットで調べる
・友人に聞く
・ネットで購入する
・店舗で購入する

・SNSに書く
・友人に勧める
顧客の
状態


知っている

興味がある

良いと判断

購入する

ファンになる

5A理論も採用戦略に応用することができます。求職者に対して、自社をどのようにして知ってもらい、興味を持ってもらうのか、求職者が良いと判断する要素は何か、どのように行動を起こすのか、周囲の人々にもすすめるにはどうしたらいいのか。こうした5つの観点で採用戦略を検証してみましょう。

採用戦略でフレームワークを利用するメリット

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採用戦略でフレームワークを利用することには、次の4つのメリットがあります。

道筋を立てることで、目標を見失わずに採用活動を続けられる

採用活動は、やるべきことが多数あります。評価項目の設計、人員手配、採用スケジュールの策定、就職サイトの活用、合同説明会や就活イベントの出展、書類審査、面接、内定後のフォローなど、さまざまなタスクをこなしていく必要があるため、「自社が求める人材を採用する」という目標を見失いがちになります。フレームワークで道筋を立てることで、本来の目標を見失わずに採用活動を続けられるでしょう。

採用活動の施策内容に対する社内の理解を得やすくなる

採用活動は、人事部だけが頑張っても、なかなか上手くいきません。経営層や各部門のリーダーはもちろん、会社見学での対応、マネージャーによる面接、現場スタッフによる入社後の研修・フォローなど、社員全員の協力が必要です。フレームワークを使って自社を客観的に評価することで、採用活動の施策内容に対する社内の理解を得やすくなり、採用力や定着率を高めることが期待できるでしょう。

自社の強み、弱みなどを客観的な評価で知ることができる

採用戦略におけるポイントのひとつに、自社の強み・弱みを明確にすることが挙げられます。カスタマージャーニーや3C分析、4C分析などのフレームワークを使うと、自社の強み、弱みなど、客観的評価としてとらえやすくなります。また、求職者の立場で考えることで、求める人材にアピールできる採用施策を打ちやすくなるでしょう。

自社に必要な人材を確保できる

採用活動の目的は、「自社が求める人材」を獲得することです。採用戦略を立てずに採用活動をおこなってしまうと、求職者のニーズとズレた情報発信や、面接担当者の主観に頼った選考などによって、入社後のミスマッチが起こりやすくなります。ペルソナ設定や5A理論などのフレームワークを使うことで、求める人物像や人材獲得の施策が明確になり、自社に必要な人材を確保しやすくなるでしょう。

採用戦略でフレームワークを利用する注意点

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採用戦略でフレームワークを利用することには、以下の4つの注意点があります。

正確なフレームワークを策定しないと効果が発揮されない

フレームワークは、万能ではありません。正確なフレームワークを策定しないと効果が発揮されず、自社が求める人材を採用できなくなる場合があります。主観や思い込みを排し、自社の強み・弱みを分析する、客観的なデータに基づいて自社の訴求ポイントを導き出すなど、活用の仕方に注意しましょう。

事前に必要な情報を選定しないと策定のための分析に膨大な時間を要する

フレームワークを活用する目的の1つは、採用活動の効率化です。事前に必要な情報を選定しないと、策定のための分析に膨大な時間を要し、逆に非効率になってしまう場合があります。すべてマニュアル通りにやる必要はありません。自社にとって必要な情報を整理し、効率的に分析をおこないましょう。

分析結果から自社に合わせた施策を選定する必要がある

フレームワークは、あくまでも分析のためのツールです。分析結果から自動的に有効な人事施策が導き出されるわけではありません。また、有効な施策は企業によって異なります。採用戦略のフレームワークは情報分析の手段であることを理解し、分析結果から自社に合わせた施策を選定しましょう。

フレームワークに固執して柔軟性を失わないよう注意

フレームワークの分析結果は重要です。ただし、採用するのは人です。自社の求める人材像と多少異なっていても、入社後に活躍できる人材もいます。変革を起こせる優秀な人材は、従来の採用基準とは異なっている場合もあります。フレームワークに固執して柔軟性を失わないよう注意しましょう。また、求職者の個性や魅力、選考におけるコミュニケーションの印象なども加味して採用活動をおこなっていきましょう。

まとめ

売り手市場や人材不足が深刻化する昨今、採用活動は企業にとってますます重要になってきています。採用戦略のフレームワークは、自社が求める人材を確保するための効果的な手法といえるでしょう。

マーケティング手法を応用して、自社の強みや弱み、訴求ポイントを明確にして採用活動をされることをおすすめします。また、自社に合ったフレームワークを用いることで、より戦略的・効率的に採用活動をおこなうことができるでしょう。

・ライタープロフィール
鈴木にこ(ライター)
求人メディアの編集者を経て、フリーランスとして活動中。派遣・新卒・転職メディアの編集協力、ビジネス・ライフスタイル関連の書籍や記事のライティングをおこなう。