パートタイム派遣ってどんな仕事? 選ばれる理由とメリットとは?
「パートタイム派遣」という言葉を聞いたことはありますか? パートタイム派遣は文字通り、限られた日数や時間(パートタイム)で働く派遣の仕事のこと。「出産を機に仕事を離れていたけれど少しずつ復帰したい」「家庭との両立を図りながら、仕事にも挑戦したい」など考えている方に、おすすめしたい仕事スタイルです。ここでは、パートタイム派遣で働くメリットや気をつけたいポイント、実際にどんな仕事があるのかご紹介します。
目次
パートタイム派遣とは?
「パートタイム派遣」という言葉を初めて耳にする、という方もいるかもしれません。まずは、「パートタイム」と「派遣」に分けて説明しましょう。
■パートタイム
「パートタイム」の雇用関係は、勤務先と直接雇用契約を結ぶことが一般的です。仕事の指示はもちろん、給料を支払うのも勤務先です。また、フルタイムで働くのではなく、時間を限定して働く「短時間労働者(パートタイム労働者)」のことであり、パートタイム労働法※では、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」であると定められています。
他の呼び方としては、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託社員」「契約社員」「準社員」などいくつかありますが、この条件が当てはまっていればいずれも「パートタイム労働者」に含まれます。
※正式名称は「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」
■派遣
「派遣」は、実際に働く勤務先とあなたとの間に派遣会社が存在し、派遣会社と雇用契約を結んで働きます。派遣先企業の指示に従い仕事をしますが、給与は派遣会社から支給され、福利厚生も派遣会社の制度が適用されます。派遣先での勤務開始から雇用関係が成立し、派遣期間が終了すると同時に雇用契約も終了するのが一般的です。
■パートタイム派遣
「パートタイム派遣」とは、パートタイムのメリットと派遣のメリットを併せた働き方のこと。派遣会社から派遣されながら、勤務時間を短くしたり、勤務日数を少なくしたりして働く就業スタイルです。例えば、平日の午前中だけ、週2~3日だけなど、ライフスタイルに合わせた働き方も可能で、派遣社員としての待遇もあります。
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パートタイム派遣が選ばれる理由
「パートタイム」と「派遣」のメリットを集約したともいえる「パートタイム派遣」。この働き方が選ばれる理由を整理してご紹介します。
理由1. 家庭と両立させながら働ける
パートタイムで働いている人を対象にした厚生労働省の調査によると、パートタイムという働き方を選んだ理由について、「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」「勤務時間・日数が短いから」「就業調整(年収や労働時間の調整)ができるから」など、生活スタイルに合わせた働き方ができる点を挙げる人が約80%を占めていることがわかりました。
パートタイム派遣の場合も、このようなメリットは変わりません。勤務日数や勤務時間を調整して、家事や子育ての合間、趣味や勉強の合間に仕事をすることができます。ワークライフバランスを重視したい人にとっては、魅力ある働き方といえそうです。
理由2. 直接雇用のパートタイムとの違い、メリットがある
日数や時間が選べるという点はパートタイムと同じですが、雇用形態は異なります。パートタイムは「直接雇用」という形をとるのに対して、パートタイム派遣は「間接契約」。雇用主は登録している派遣会社であり、給与も派遣会社から支払われます。派遣会社によっては充実した福利厚生を用意していることも多く、パートタイム派遣もそれらを利用することができます。また、何か困ったことやトラブルがあった時には自分ひとりで対処せずに、派遣会社に相談することができるという安心感もあるでしょう。
派遣で働くメリット
同じパートタイムという働き方でも、「パートタイム派遣」にはいくつかのメリットがあります。ここでは3つに絞ってご紹介します。
メリット1. パートタイムと比較して時給が良いケースがある
時給が少しでも高いことは、嬉しいポイントです。例えば、同じ職場で同じような内容の仕事をする場合も、パートタイムと派遣とでは時給が異なることがあります。派遣は、派遣会社を通じてある程度のスキルやキャリアを備えていることが前提で紹介されるため、スタートの時給が高めに設定されている場合が多いです。
メリット2. パートタイムと比較して様々な職場で働けるチャンスがある
パートタイムでは、接客や清掃など体力が求められる仕事が比較的多い傾向があります。一方、パートタイム派遣では、通常の派遣と同じようにオフィスワークや専門職での仕事もあります。働く日数や時間は少なめでも、「それまで培ってきたキャリアやスキルを活かして仕事をしたい!」という人に適しています。また、「最初は就労時間を抑えながら。でも、ゆくゆくはフルタイムで働きたい!」という場合も、派遣会社に登録しておくことは、プラスになります。
メリット3. 未経験やブランクがあっても働ける
結婚や出産、介護などをきっかけに離職したけれど、社会復帰したい。そう考えている人にとっても、パートタイム派遣は理想的な働き方のひとつです。
派遣会社では、コーディネーターが派遣スタッフからの相談に対応、キャリアコンサルティングなどを行なってくれます。ブランクがあることへの不安、働き方についての迷いなどを相談できる人がいることは心強いですね。また、大手の派遣会社ではスキルアップ研修なども行っており、フルタイム、パートタイムに関わらず利用することができるのもメリットです。
スタッフサービスグループでは、無料で使える学習アプリの提供など、登録スタッフの皆さまのスキルアップやキャリアアップを応援しています。
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扶養内で働きたい!という人にも、
パートタイム派遣はピッタリ
パートタイム派遣で働くことを考える時、扶養内で働くべきかどうか迷う方も多いでしょう。働く前に知っておきたい、扶養の仕組みについて解説します。税金や社会保険の基本的な知識を持って、“損をしない”働き方を目指しましょう。
■扶養とは?
扶養とは、独立して生計を営めない人の生活を援助すること。一般的には、所得の少ない妻や子ども、老人などがその対象となります。会社員の夫が専業主婦の妻と子どもを扶養している場合、妻と子どもは夫の「扶養家族」ということになります。
また、もし妻が働いていたとしても、所得が少なければ「扶養内」となります。妻には所得税が課せられず、夫の所得税には配偶者控除および配偶者特別控除が適用されます。さらには、所得が少なければ夫の社会保険に加入することができるため、妻は社会保険料を支払う必要がありません。一定額以内の所得に収まっていれば住民税も発生しません。逆に、妻が一定額以上の所得を得て扶養から外れれば、夫の所得税に妻の配偶者控除は適用されず、妻は自分の所得税と社会保険料を支払う必要が出てきます。
■パートタイムで“働き損”をしないための働き方、金額は?
このように、妻がいくら収入を得るかで、家庭内で支払うべき税金の金額が異なってきます。
では、妻がパートタイム派遣として扶養内で働きたい場合、どんな点に気をつければよいのでしょうか。“働き損”にならないために知っておきたいいくつかの「壁」について、簡単に説明します。(それぞれの数字は、妻がパートタイム派遣として働く場合の年収です)
・103万円の壁
所得税がかかり、配偶者控除の適用外となります。
・106万円の壁
社会保険(厚生年金保険、健康保険)への加入が必要となります。
・130万円の壁
配偶者の社会保険の扶養から外れ、自分で社会保険料を支払う義務が生じます。
・201万円の壁
配偶者特別控除の適用外となります。(年収150万円を超えると配偶者特別控除額(満額で38万円控除)が徐々に逓減していき、年収201万円になると控除適用外となります)
※社会保険料の支払い条件や保険料は条件によって異なります。
たくさん働いて所得が増えると、社会保険料の支払いが生じたり税金面での優遇を受けたりできなくなる、という側面があります。家庭の状況なども考慮して、自分に適した働き方を見つけましょう。
パートタイム派遣を希望する場合に気をつけたい!
改正労働者派遣法「日雇い派遣の原則禁止」
パートタイム派遣を検討している方の中には、月に数回だけ、時間が空いた時だけ、など不定期に働く単発の仕事を希望している方もいるかもしれません。ただ、そのようないわゆる「日雇い派遣」は原則的に禁止されているので注意が必要です。「日雇い派遣の原則禁止」について確認しておきましょう。
■「日雇い派遣の原則禁止」とは?
「日雇い派遣の原則禁止」は平成24年10月1日施行の改正労働者派遣法で定められ、30日以内の労働者派遣の仕事が原則禁止とされています。この背景には、いわゆる派遣切りなど、日雇い派遣で働いている方たちの雇用の不安定さが社会問題となったことがあります。日雇い派遣を原則禁止とすることで、派遣労働者の保護と雇用の安定を図ることが目的とされています。
なお、31日以上であれば問題なく働くことができ、また、直接雇用がパートタイムなどの場合は30日以内であっても雇用契約を結ぶことが可能です。
■「日雇い派遣の原則禁止」の例外とは?
「日雇い派遣の原則禁止」には、いくつかの例外があります。例外の1つ目は、「働く人」についての条件です。以下の4つの条件のうちどれか1つでも当てはまる人は、日雇い派遣として働くことができます。
・60歳以上であること
・雇用保険の適用外の昼間学生であること
・年収が500万円以上の収入があり、その副業としての派遣であること
・世帯収入が500万円以上あり、生計者ではない人
例外の2つ目は、「業務」についてです。以下の18の業務の場合は、日雇い派遣で働くことが認められています。
1.ソフトウエア開発
2.機械設計
3.事務用機器操作
4.通訳、翻訳、速記
5.秘書
6.ファイリング
7.調査
8.財務処理
9.取引文書作成
10.デモンストレーション
11.添乗
12.受付・案内
13.研究開発
14.事業の実施体制の企画、立案
15.書籍等の制作・編集
16.広告デザイン
17.OAインストラクション
18.セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
自分がどれくらいの期間、どんな内容の仕事で働きたいたいのか、まずは整理してみましょう。
パートタイム派遣で働く方の疑問&よくあるお悩み
どんな働き方でも、どんな仕事や職場でも悩みはつきものです。ここでは、パートタイム派遣で働こうと考えている方が持ちやすい疑問とその回答をまとめました。スタート前の不安解消にお役立てください!
■就業時間の急な調整はしやすい?
急な用事や家族の体調不良などで就業時間を変えてほしい、というケースは誰しもあるもの。パートタイム派遣の場合、まずは派遣先の企業へ相談をしましょう。労働時間や休憩時間、休日の管理を行なっているのは派遣先企業だからです。希望が受け入れられるかは企業や担当者、状況にもよります。また、急な変更が生じやすい場合は、前もって派遣会社に相談しておくようにしましょう。
■ボーナスは出るの?
ボーナス(賞与や特別手当)の支給形態は、派遣会社によって異なります。一般的に、派遣スタッフの時給はボーナスなども含めた金額で算定されていることが多いです。一方で、時給に含まれず、改めてボーナスが支給される場合もありますので、派遣会社に確認しましょう。
■未経験でも大丈夫?
「経験はないけれどやってみたい仕事がある」「十分な実績はないけれど、スキルアップを目指したい」という思いでパートタイム派遣を始める方もいるでしょう。そんな時はぜひ、派遣会社に相談することをおすすめします。あなたの希望や展望を踏まえた上で、アドバイスや適切な仕事を紹介します。また、派遣会社によっては無料で受けられる研修や講座も用意されていますので、活用することが自信アップにつなげられます。
■正社員と待遇に差はあるの?
これまで感じられていた正社員と派遣社員(非正社員)との間の不合理な待遇差は、2020年4月より施行された同一労働同一賃金改正法により、解消されることが期待されています。
いわゆる同一労働同一賃金は、職務内容が同じであれば正社員か非正社員であるかに関わらず、同一の賃金を支給するという考え方です。これにより、もし正社員と同じ内容の仕事を担うのであれば、パートタイム派遣であっても同額の賃金(時給)を得られることになるでしょう。また、これまでは時給に含まれていることが多かった通勤交通費が支給され、福利厚生施設や教育訓練なども利用できるようになり、不合理な待遇差は次第に狭まると考えられます。
パートタイム派遣の仕事の種類
ここまで、パートタイム派遣の概要やメリット、働き方のヒントなどをご紹介してきました。では、実際にはパートタイム派遣ではどんな仕事があるのでしょう。スタッフサービスで取り扱っている職種について代表的なものをご紹介します。
《スタッフサービスで取り扱っている職種》
■事務 事務職の中でも需要が多いのは、一般事務や営業事務です。一般事務は、データ入力や書類作成・整理、電話・来客応対など広い範囲の業務を担います。営業事務は営業職のサポートで、見積書・請求書などの作成や在庫管理などの業務が中心です。
OAスキルなどは必須ですが特別な資格は必要ないため、未経験の人も挑戦しやすいでしょう。また、決められた時間内に決められた業務をこなすことができれば、残業も比較的少ない職種として人気です。
■電話業務
いわゆる「テレマーケティング業務」のこと。コールセンターなどで、顧客からの電話応対業務を担当します。主に自分から電話をかけるアウトバウンドと、かかってきた電話に応対するインバウンドの2つに分けられます。直接顧客と接することがない分、声(言葉)でのコミュニケーション能力が求められますが、服装な髪型は比較的自由な職場が多いようです。また、シフト制が多く、パートタイム派遣が働きやすい職種のひとつです。
■医療事務・受付・クラーク
病院やクリニックなど医療機関での仕事もパートタイム派遣として人気です。患者さんの応対をする受付の他に、医療費の計算や保険者への診療報酬の請求、医師や看護師のサポート業務など多岐にわたる業務があります。患者さんと接する場面もあるため接遇スキルが求められたり、医療費などの計算では正確さと迅速さが求められたりします。資格取得がマストではりませんが、保有している方が有利な場合が多いようです。また、女性が多く活躍する職場でもあるため、子育てとの両立や勤務時間の融通もききやすい傾向があります。
■介護・ヘルパー
特別養護老人ホームや有料老人ホーム、デイサービスやデイケアなどで利用者さんの身の回りのお世話をするのが主な仕事。無資格でも就業することができます。ひとつの施設に決まった曜日・時間で勤める以外にも、繁忙期などに短期間だけ派遣として働くスタイルへの需要も増えています。自分のペースで働くことができ、育児や家事との両立がしやすい仕事のひとつです。
■看護助手
看護師や准看護師のように医療行為に携わることはできませんが、看護師のサポート的な役割を担う仕事です。資格は不要ですが、介護やヘルパーの資格や経験があると有利です。医療現場では人手が不足していることから、昨今ニーズが伸びています。午前中だけ、週3日だけなど、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
■製造業
製造業といっても、食品、衣料、家電、自動車など業界は多岐に渡り、仕事内容も様々です。主な職種に、組立・加工、検査・検品・チェック、物流・運搬・梱包、機械操作、食品加工・トッピングなどあります。経済産業省によれば、製造企業の女性従業者比率は中小企業で42.5%、大企業では22.9%。衣料や食料品など、手作業などが必要とされる業種で多くの女性たちが働いています。
■軽作業 商品の仕分けや梱包、検品など製造以外に関する作業になります。仕分けは、運送業者でよく見られる作業で、送られてくる荷物の配送先を仕分けたり種類別に仕分けしたりする作業です。梱包は、商品を袋に詰めたり段ボールに入れたりする作業のことです。検品は、できあがった製品に不具合がないかを調べるもので製品の質を左右します。
■IT関係 IT業界の職種には、プログラマーやシステムエンジニア、ネットワークエンジニア、WEBデザイナーなど様々あります。経験や高度なスキルが求められる職種もありますが、WEBデザイナーやテクニカルサポート、ヘルプデスクなどは、未経験でも採用が多い職種といえそうです。必要な専門知識は、実務に就く前に各種研修が用意されているため、業界未経験者でも安心して始めることができます。
パートタイム派遣を、あなたらしい働き方の選択肢のひとつに
パートタイム派遣に興味を持っていた方、ちょっぴり不安を感じていた方、どんな働き方なのかお分かりいただけたでしょうか。家事や育児などプライベートとの両立を大切にしたい方や、社会復帰のファーストステップとして適しているパートタイム派遣。ご紹介した以外の職種でも、パートタイム派遣という働き方は可能です。まずは、あなたの理想とする働き方、大切にしたい条件などについて派遣会社へご相談ください。