システムエンジニア(SE)とは?プログラマーとの違いや仕事内容を解説

システムエンジニア(SE)とは?プログラマーとの違いや仕事内容を解説

IT業界で働きたいのであれば、システムエンジニア(SE)は選択肢のひとつです。システムエンジニアは、要求分析や要件定義などのシステム開発の上流工程を担当するエンジニアです。

本記事では、システムエンジニアの概要やシステムエンジニアとプログラマーの違いのほか、システムエンジニアの仕事内容や求められる能力、システムエンジニアの需要・将来性などについて解説します。

システムエンジニアとは

システムエンジニア(SE)とは、クライアントから受けた要望に対し最適なシステム開発をおこなうエンジニアです。要件定義や仕様決めなどのシステム開発における上流工程を担当するため、ITスキルとともに顧客とのコミュニケーションが欠かせない職種です。

ただし、システムエンジニアを示す範囲は広く、担当業務によってさらに職種が分けられます。ここでは、システムエンジニアの主な職種と活躍する場所、プログラマーとの違いについて紹介します。

システムエンジニアの主な職種

システムエンジニアの主な職種として挙げられるのは、以下のとおりです。

職種 概要
社内SE ・自社のITシステムの開発や運用、保守を担当する
・開発や設計などのシステム開発全般のスキルが求められる
インフラエンジニア ・サーバーやネットワークなどのITインフラの構築や運用、保守を担当する
・サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの2つに分けられる
・ネットワーク全般の知識やサーバーOS、クラウド、セキュリティの知識が求められる
データベースエンジニア ・データベースの開発や設計を担当する
・Microsoft SQL ServerやMySQL、OracleDBなどのデータベース製品の知識が求められる
クラウドエンジニア ・クラウドシステムの開発や運用、保守を担当する
・AWSやAzureなどのクラウドサービスの知識や、仮想サーバーの知識が求められる

近年では、DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)化に取り組む企業が増加していることにより、クラウドエンジニアの需要が高まりつつあります。ただし、企業規模によってはすべての職種をひとりの社内SEが担当するケースもあります。

システムエンジニアが活躍する場所

システムエンジニアが活躍する場所として挙げられるのは、以下のとおりです。

企業の種類や部門 概要
SIer(エスアイヤー) ・システムインテグレーターの略
・顧客が使用するITシステムの開発から運用、保守を一貫して請け負う
SES(システムエンジニアリングサービス) ・客先に常駐し、顧客が使用するITシステムの開発から運用、保守を担当する
・派遣とは異なり、雇用主の指示命令のもと業務を行う
会社のシステム部門 ・社内SEとして、自社のITシステムの開発や運用、保守を担当する
・業務プロセスの改善やDXの推進に貢献できる
・開発を外部委託する場合は、開発会社の橋渡し役としての役割も担当する
ITコンサルティング企業 ・顧客のITシステムに対し、プロジェクトの実行や技術的なアドバイスをする
・システム開発よりも、システムを使った課題解決がメインの役割となる

SIerやSESは、さまざまな企業のシステム開発に携われるため、多様なプロジェクト経験を積めるでしょう。システムエンジニアの経験を活かして、ITコンサルティング企業に転職するケースも存在します。

ITコンサルティング企業では、システムエンジニアとしての知識や経験を活かし、企業課題を解決することが求められます。そのため、システムに関する知識やスキルとともに、経営面の知識や課題解決力が必要です。

システムエンジニアとプログラマーの相違点

システムエンジニアとプログラマーは混同されがちな職種です。しかし、一般的には担当する工程が異なります。システム開発の工程には、顧客が実現したいシステム内容を要件定義書や設計書に落とし込む上流工程と、実際にシステムを作りこむ下流工程が存在します。

主に上流工程を担当するのがシステムエンジニアです。プロジェクト全体を俯瞰しながら開発を進めます。一方、主に下流工程を担当するのがプログラマーです。システムエンジニアが作成した設計書をもとに、実際にシステム開発をおこないます。

ただし、企業によってはシステムエンジニアが下流工程も担当するケースや、プログラマーが上流工程から参加するケースもあるため、一概に違いを断定できるものではありません。

システムエンジニアの仕事内容

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システム開発における一般的な開発工程は以下のとおりです。

1.要求分析
2.要件定義
3.基本構成の設計
4.詳細設計
5.プログラミング
6.テスト・確認
7.保守・運用

ここでは、開発工程におけるシステムエンジニアの仕事内容について解説します。

1.要求分析

はじめに、打合せの機会を設けて顧客にヒアリングします。顧客自身が気づいていない課題があるかもしれません。そのため、顧客がシステムに求めている機能を確認するだけでなく、業務の悩みや課題を引き出すことも必要です。

ニーズが分析できたら、それをもとにどのようなシステムが求められているのかを分析します。ただし、納期や予算によってはすべての要望を盛り込めない可能性もあるため、どの機能を優先的に実装するのかを顧客へ確認しておく必要があります。

2.要件定義

要求分析ができたら、システムに実装する機能や仕様を明確にし、要件定義書を作成します。システム開発は、要件定義書をもとに進めていくものです。必要な機能(応答時間、処理能力など)や仕様が定量化されていない場合、工数の算出が甘くなったり、開発中に戻りが発生したりする場合があります。そのため、要件定義はシステム開発において最も肝となる工程といえるでしょう。

3.基本設計

要件定義ができたら、システムの動作に必要な機能や画面のレイアウト、必要なデータの整理、ネットワーク構成などのシステム全体の構成を設計します。操作性にかかわる部分の設計になるため、顧客に確認しながら進めていきます。

4.詳細設計

基本構成の設計ができたら、基本設計をもとに、プログラミングをするために必要な設計をおこないます。プログラムの処理やデータ全体の流れを整理し、詳細設計書にまとめます。プログラマーが理解できるよう、具体的に指示を記載することが必要です。

5.プログラミング

詳細設計書ができたら、実際にシステムを作りこんでいきます。プログラム言語を用いてソースコードを書いていくため、基本的な担当者はプログラマーです。ただし、システムの規模やプロジェクトの人員構成によっては、システムエンジニアがプログラミングを担当するケースもあります。

プログラミング中に問題が発生した場合や、仕様変更が発生した場合は、システムエンジニアが顧客との間に入り、納期や仕様を調整する必要があります。

6.テスト

システムが完成したら、動作や機能を確認します。テストを担当するのはシステムエンジニアです。企業によっては、専門チームが担当するケースもあります。動作エラーや不備を発見した場合は、プログラマーに修正を依頼します。

7.運用・保守

テストを実施し、問題がなければシステムを運用していきます。運用後の保守もシステムエンジニアの重要な仕事です。トラブル発生時は、迅速に対応し、早期復旧に努めます。トラブルを未然に防げるような対策を講じておくこともポイントです。

システムエンジニアに求められる能力

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システムエンジニアにはさまざまな職種があることは前述したとおりです。職種によって求められる知識やスキルは異なるものの、共通している能力も存在します。ここでは、システムエンジニアに求められる能力について解説します。

コミュニケーション能力

システムエンジニアの仕事には、顧客へのヒアリングや、トラブル発生時の対応などがあります。開発チーム内で連携をとる必要もあるため、コミュニケーションが欠かせません。

コミュニケーションの中でも、特にシステムエンジニアに求められている能力は、傾聴力です。顧客やチーム内の考えを聞き、悩みや課題を見つけ出す能力が求められています。

また、システム開発では専門用語が飛び交いますが、顧客がすべての専門用語を理解しているとは限りません。そのため、顧客の知識レベルに合わせて用語を言い換えるといったことも求められます。

マネジメント能力

規模の大きなシステム開発では、開発チームを組み、開発を進めていくのが一般的です。システムエンジニアは、開発の進捗管理やプログラマーに指示を出す必要があります。。

また、開発中にトラブルが発生するケースもあります。そのため、システムエンジニアには、開発チームをまとめるマネジメント能力が必要です。

プログラミング能力

基本的に、ソースコードを書いてシステムを構築するのは、プログラマーの役目です。

しかし、顧客にヒアリングし、顧客の要望に適したシステムを提案するのはシステムエンジニアです。多様なプログラミング技術や最先端のプログラミング技術を習得しておけば、顧客の要望に応えられる可能性が高まります。技術力があれば、プログラマーにより具体的な指示を出せ、システム開発をスムーズに進められます。

顧客への最適な提案やスムーズなシステム開発のためにも、技術力があるシステムエンジニアは重宝されるでしょう。

システムエンジニアに向いている人

システムエンジニアには、プログラミング能力だけでなく、コミュニケーション能力やマネジメント能力が求められるため、人によって向き不向きがあります。システムエンジニアに向いている人の特徴として、物事を論理的に考えられる人や冷静な判断ができる人、好奇心や探求心がある人が挙げられます。

ただし、これらの特徴は訓練や実践経験によって習得できるものです。ここでは、システムエンジニアに向いている人の特徴について解説します。

論理的に考えられる人

システムエンジニアに向いている人の特徴として、論理的に考えられることが挙げられます。システムは曖昧な指示では作れません。データの傾向を読み取り、Aという条件の指示を出すことによりBのデータを抽出したり、インプットデータからアウトプットデータまでの流れを、最短で処理できるように組み立てる必要があります。

要求分析で顧客の悩みを理解し、どのようにシステムに結びつけていくのかを考えるためにも、論理的思考が必要です。また、システムの仕組みをチームメンバーや顧客に説明する際にも、論理的に順序だてて説明しなければなりません。

そのためシステム開発をするうえで、論理的思考は必須条件といえるでしょう。

何事にも冷静な対応ができる人

システム開発を進めていると、予期せぬトラブルや仕様変更が発生することは珍しくありません。

その際に感情的に対応してしまうと、トラブルを解決できず、顧客からの信頼を失ったり、開発スケジュールが遅延してしまったりする可能性があります。予期せぬトラブルや仕様変更が発生したとしても、冷静に対処することにより、トラブルの早期解決や顧客からの信頼獲得につながります。

予定変更が頻繁に発生するシステム開発において、冷静な対処ができる人は、チームメンバーからも頼られる存在になるでしょう。

好奇心や探求心がある人

IT業界では、新しい技術やツールが次々と生みだされています。これらの変化に対応するためには、常に情報収集をおこない、自分の知識をアップデートし続ける必要があります。

そのため、好奇心や探求心がある人は、システムエンジニアに向いているといえるでしょう。

システムエンジニアのやりがい

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システムエンジニアのやりがいとして、以下の3つが挙げられます。

● 新しい技術に触れながらスキルを向上できる
● プロジェクトでリーダーシップを発揮できる
● 自らが開発に携わったシステムを多くの人に利用してもらえる

ここでは、それぞれのやりがいについて解説します。

新しい技術に触れながらスキルを向上できる

前述したように、IT業界では常に新しい技術やツールが生みだされています。

システム開発・構築に関する知識のアップデートや、プロジェクトマネジメントスキルを向上することで、やりがいを感じることができます。

プロジェクトでリーダーシップを発揮できる

システム開発は大きなプロジェクトであればチームを組んで開発を進めます。システムエンジニアは、そのリーダー役となる存在です。

リーダーシップを発揮し、チームで協力してシステムを形にすることは、大きな達成感を得られ、システムエンジニアならではのやりがいにつながるでしょう。

自らが開発に携わったシステムを多くの人に利用してもらえる

システム開発では、一般ユーザー向けのシステムを開発するプロジェクトもあります。

一般ユーザー向けのシステムであれば、ユーザーが使っている現場を目にしたり、良い評判を耳にしたりするケースもあります。自分が携わったシステムが役に立っていることを実感でき、仕事のモチベーション向上につながるでしょう。

システムエンジニアになるには

システムエンジニアになるには、ITやプログラミング言語などの技術的な知識だけでなく、他業界や他職種の知識も必要です。資格を取得すれば、技術的な知識のアピールになります。ここでは、システムエンジニアになるために身につけたい知識や、技術的な知識のアピールにつながる資格について解説します。

基礎的なIT知識やさまざまなプログラミング言語の理解

システム開発に携わる以上、サーバーやネットワーク、データベースなどの基礎的なIT知識の理解は欠かせません。基礎的な知識を理解していることにより、顧客の悩みを解決できるシステムを設計できます。

また、さまざまなプログラミング言語の理解も重要です。プログラミング言語によって適したシステムが異なります。習得している言語が多ければ、設計できるシステムの種類も増加します。

その中で得意な言語があれば、システムエンジニアとしての強みになるでしょう。

他業界や他職種の知識

システム開発を依頼する顧客には、さまざまな業界や職種の企業が存在します。そのため、システムエンジニアには、他業界や他職種の知識も求められます。

業界の事情を理解していることにより、顧客の要求にはなかった機能を提案できる場合もあります。業界や職種を問わず、幅広い知識を身につける習慣をつけることにより、システムエンジニアとしてのスキルの幅が広がります。

資格を取得する

システムエンジニアになるために必要な資格は特になく、資格を取得したからといって就職が保証されるわけでもありません。しかし、システム開発に関する資格を取得すれば、技術力の客観的な証明につながります。

また、資格取得に向けて学習をすることにより、体系的な知識も身につけられます。システムエンジニアに関係する資格として挙げられるのは、以下の3つです。

資格 概要
ITパスポート ・ITに関する基礎的な知識を持っていることを証明する資格
・合格率は50%前後と難易度が低い
基本情報技術者試験 ・ITを活用したサービスや製品、ソフトウェアを開発するエンジニア向けの試験
・情報技術の基礎知識や用語、プログラミングの基本、ネットワークの基本などが試験範囲となる
・合格率は20~30%と、難易度が高い
応用情報技術者試験 ・基本情報技術者試験の上位試験に位置づけられている試験
・基本情報技術者試験よりも、実践的な応用能力やシステムの設計、開発、運用などに関する知識が求められる
・プロジェクトマネジメントやシステム監査、経営戦略などの、技術以外の分野の問題も出題される
・合格率は20%前後と基本情報技術者試験よりも難易度が高い

参考:IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)「基本情報技術者試験 試験情報
参考:IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)「応用情報技術者試験
参考:IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)「ITパスポート試験
 

システムエンジニアの平均年収と需要・将来性

システムエンジニアを目指すのであれば、仕事内容や必要なスキルだけでなく、年収や需要も把握しておくことで、システムエンジニアの将来性を計れるでしょう。

平均年収

令和5年度の賃金構造基本統計調査から算出すると、システムエンジニアの平均年収は約684万円でした。経済産業省の調査でも、500~700万円となっています。

国税庁の調査によると、日本全体の平均年収は458万円であり、日本全体の平均と比べても高い水準です。
参考:e-Stat「令和5年賃金構造基本統計調査
※「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」システムコンサルタント・設計者  企業規模計(10人以上) より
「きまって支給する現金給与額」×12か月+「年間賞与」にて算出
参考:経済産業省「我が国におけるIT人材の動向
参考:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査

システムエンジニアの需要・将来性

システムエンジニアは、需要が拡大している職種です。経済産業省によると、2030年までに最大で79万人のIT人材が不足すると予測されており、その中にはシステムエンジニアも含まれます。一方、DX化に取り組む企業が増加しており、IT人材の需要は拡大していることがわかります。

また、未経験者に対し、教育プログラムを実施する企業も出てきており、システムエンジニアに転職できる環境が整備されてきています。

参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査 調査報告書
参考:経済産業省「DXレポート2.2

まとめ

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システムエンジニア(SE)とは、システム開発を行うエンジニアで、要件定義や仕様決めなどのシステム開発における上流工程を担当します。開発チームのリーダー役となるシステムエンジニアには技術力だけでなく、コミュニケーション能力やマネジメント能力も求められます。

論理的思考やトラブル発生時の冷静な判断ができる人や好奇心がある人は、システムエンジニアに向いている人といえるでしょう。システムエンジニアになるには、技術的な知識のほかに、他業界や他業種の知識も必要です。関連する資格を取得すれば、技術的な知識のアピールになるでしょう。

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https://www.staffservice.co.jp/it_system/se/
スタッフサービスエンジニアリングの紹介
https://www.staffservice-engineering.jp/


《ライタープロフィール》
ライター:田仲ダイ

エンジニアリング会社でマネジメントや人事、採用といった経験を積んだのち、フリーランスのライターとして活動開始。現在はビジネスやメンタルヘルスの分野を中心に、幅広いジャンルで執筆を手掛けている。

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