生産技術とは?仕事内容や製造技術との違いについて解説

生産技術とは?仕事内容や製造技術との違いについて解説

製造において生産工程の設計や管理をおこなう「生産技術」は、製造における知識や技術を必要とする職種です。製品を効率的に生産するための方法を考えることが求められるため、苦労がある反面、やりがいもあります。

本記事では、生産技術の仕事内容や製造技術との違いとともに、向いている人の特徴や必要な資格、キャリアパスについて解説します。

生産技術とは

生産技術とは、企業の工場で生産工程の設計や管理をおこなう職種です。QCD(Q=品質・C=コスト・D=納期)を意識し、製品を安全かつ効率的に生産するための工程の設計や、改善を図ることが求められています。製造の中心的存在として、関係する部門とも関わりながら進めていきます。

生産技術者の魅力・やりがい

生産技術者の魅力ややりがいとして挙げられるのは、低コスト・高品質の製品を作ることです。自分が考えたプランがサービスの品質向上につながり、自社だけでなく顧客にも喜ばれることは大きなやりがいといえるでしょう。

また、生産ラインを立ち上げる際は、さまざまな人と協力しながら進める必要があります。各関係者とコミュニケーションをとりながら進めていくことは、苦労もあるものの、充実感も得られます。

生産技術の仕事内容

生産技術の主な仕事内容として、以下の5つが挙げられます。

● 生産体制の設計・構築
● 関係部門との調整
● 設備の導入・設置
● 生産体制の改善
● 新しい生産技術の開発

ここでは、それぞれの仕事内容について解説します。

生産体制の設計・構築

生産体制の設計・構築は、生産技術の中でもメインとなる仕事です。生産技術には、生産性が高く、効率的な生産体制を設計することが求められています。生産性を測る指標には、以下の2つが存在します。

資本生産性

・工場の設備からどれだけの製品を生産できたかを示す指標
・資本生産性が高ければ、設備の効果が高い

労働生産性

・工場の人員の労働効率を示す指標
・労働生産性が高ければ、労働者1人当たりの生産量が多い

生産技術は、これらの数字を意識したうえで、使用する設備や業務手順などを考えます。

関係部門との調整

生産技術には、関係部門と連絡をとりながら予算確保や資材確保、設備導入などを進めていくことも求められます。各部門とスムーズに連絡がとれるように調整したり、現場の声を聞いて業務改善につなげたりすることも、仕事のひとつです。

設備の導入・設置

設備の導入や設置も生産技術の仕事です。生産工程で使う設備の導入には大きなコストが必要です。そのため「なぜ導入する必要があるのか」「導入するとどれくらい生産性が上がるのか」「どの程度の期間でコストを回収できるのか」を、上司や経営陣に説明することが求められます。

生産体制の改善

生産技術の仕事には、生産体制の改善もあります。生産技術には、生産性向上が求められています。そのため、資本生産性と労働生産性を測定したうえで生産現場を分析し、問題や課題を洗い出したうえで、改善していくことが必要です。

生産現場での課題は、目に見えやすい設備の不具合や製品の不良だけではありません。各工程間での待ち時間発生や、メンバー間でのコミュニケーションエラーも課題として認識し、改善に取り組みます。また、人員の移動や増減にも対応する必要があります。

新しい生産技術の開発

新しい生産技術の開発も、生産技術の仕事のひとつです。効率的な生産技術の発見は、業界内での競争優位につながります。そのため、日々生産体制の改善を図るとともに、現場の悩みに耳を傾け新しい生産技術を開発することが求められています。

ただし、技術開発と体制改善にひとりで取り組むのは困難です。多くの企業では、生産技術を複数の人員で構成し、役割分担したうえで業務に取り組んでいます。

生産技術と製造技術との違い

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生産技術と似た職種として、製造技術があります。製造技術とは、製品の各製造工程において管理やトラブル対応をする職種です。生産技術が工程全体の生産性を管理するのに対し、製造技術は各工程の生産性を管理します。

例えば、製造設備にトラブルが発生した場合は、生産技術ではなく、製造技術が対応します。設備の安全対策や導線の工夫も、製造技術の仕事です。生産技術と製造技術との違いは、管理する範囲の違いといえるでしょう。

生産技術と製造技術で求められる能力はほとんど同じ

生産技術と製造技術では管理する範囲が異なるものの、求められる能力には大きな違いはありません。どちらも品質に関する知識や管理能力、現場や他部署とのコミュニケーション能力が求められます。

ただし、管理する範囲の違いにより、生産技術では設計や開発に関する知識や経験が求められる機会が多いのに対し、製造技術は現場での対応力やコミュニケーション能力が求められる機会が多いです。

生産技術の仕事に向いている人

生産技術の仕事に向いている人の特徴として、以下の4つが挙げられます。

● モノづくりに興味がある人
● 柔軟な発想力がある人
● 常に冷静な対応ができる人
● リーダーシップを発揮できる人

ここでは、それぞれの特徴について解説します。

モノづくりに興味がある人

生産技術は、生産性向上や品質向上をするために設備や材料、工具などを調べたり、選定したりすることも仕事のひとつです。工具や材料を触ったり調べたりするのなど、モノづくりに興味がある人にとっては熱中する要素を持っている仕事といえます。

柔軟な発想力がある人

生産現場では、以下のような想定外のトラブルが発生することは珍しくありません。

● 原料の納入が遅延した
● 機械が故障した
● 工場が停電した

このようなトラブルが発生した状況であっても、生産技術は対策を講じなければなりません。納品を分割したり、他工場で生産したりするといった柔軟な発想が求められます。

常に冷静な対応ができる人

生産技術には生産管理とともに、生産性向上も課せられているため、現場と経営の両方の視点で物事を捉える必要があります。現場からは現状の問題点や改善点を指摘されることもあるでしょう。

しかし、現場の声だけを聞いた結果、生産性が低下しては意味がありません。現場の声を聞いたうえで、冷静に経営視点で課題を抽出し、対策を講じることが大切です。普段から客観的に物事を判断できる習慣があれば、現場の声だけに流されずに、冷静な対応ができる可能性が高いでしょう。

リーダーシップを発揮できる人

前述したように、生産現場では想定外のトラブルが発生することは珍しくありません。トラブル発生時には、冷静に対応するとともに、問題解決に向けてメンバーを動かしていく必要があります。その際に必要な能力がリーダーシップです。

リーダーシップを発揮し、周囲を巻き込みながら動くことにより、トラブル解決につながります。また、生産技術は、設計部門や品質管理部門などと連携しながら生産管理を進める必要があり、そこでもコミュニケーション能力や調整能力とともにリーダーシップが求められます。

リーダーシップは、生産技術において最も必要な能力といえるでしょう。

生産技術者になるために資格は必要?

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生産技術の仕事に就くにあたって、必須とされる資格はありません。生産技術は実務経験を求められることが多い職種です。ただし、生産技術に関連する資格を保有していれば、知識や技術を客観的に示せるため、転職時や給与交渉時のアピール材料になるでしょう。

生産技術に関連する主な資格として挙げられるのは、以下の3つです。

資格

概要

生産技術者マネジメントスキル認定資格(CPE:Certified Production Engineer)

・日本能率協会が実施している認定資格
・生産技術に関する幅広い知識が問われる
・年間通して受験可能

QC検定(Quality Control検定:品質管理検定)

・日本規格協会グループが主催する資格
・品質管理の知識と問題解決力が問われる
・試験は3月と9月の年2回開催されている

CAD(キャド:Computer-Aided Design)利用技術者

・一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する民間資格
・CADソフトウェアの操作や設計図作成に関する知識が問われる
・大きく2次元CADと3次元CADに分かれる
・試験は年に2回開催されている(開催月は年によって異なる)

生産技術者のキャリアパス

生産技術者のキャリアパスとして挙げられるのは、以下の2つです。

● 同じ会社に勤続するケース
● 同業種へ転職するケース

ここでは、それぞれのキャリアパスについて解説します。

同じ会社に勤続するケース

1つ目は、現会社で経験と実績を積み重ね、以下のように出世していくキャリアプランです。

1. 現場経験
2. マネジメント
3. 現場責任者
4. 工場長
5. 事業部長

生産技術はさまざまな知識や能力が求められる職種のため、習得には年数がかかります。そのため、技術の習得には時間がかかるものの、順調に知識や能力を身につければ、昇進がしやすい職種でもあります。

日常的に最新の技術に触れる習慣をつけていたり、マネジメント研修への参加でマネジメント能力を磨いたりしていけば、よりキャリアアップの可能性が高まるでしょう。

同業種へ転職するケース

もう1つのキャリアアップのケースとして挙げられるのが、同業種への転職です。同じ生産技術でも、細かい業務内容や業務範囲は企業によって異なります。予算規模が大きい企業に転職すれば、さまざまな規模のプロジェクトを経験できるため、知識や技術の向上につながります。

知識や技術を身につけたうえで、より上流の工程を任せてもらえる企業に転職できれば、出世と同等のキャリアアップをしたといえるでしょう。

ただし、さまざまな企業で経験を積めば知識や技術が向上するとは限りません。生産技術は知識の広さよりも深さが大切な職種です。浅い経験を増やしてもキャリアアップにはつながりにくいことを理解しましょう。

生産技術の給与

職業情報提供サイト「jobtag」によると、生産・品質管理技術者の平均年収は約688万円でした。国税庁の調査によると、日本全体の平均年収は458万円となっており、日本全体の平均と比べても高い水準といえます。

一方、スタッフサービスの「生産技術」の平均時給は2,069円(2024年6月時点)でした。ただし、年収や時給は、企業規模や地域、スキルによって異なります。

参考:job tag「生産・品質管理技術者
参考:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査

まとめ

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生産技術とは、製品の製造にあたって生産工程の設計や品質の管理をおこなう職種です。製造の中心的存在として、QCDを意識したうえで製品を安全かつ効率的に生産することが求められています。

生産技術には、モノづくりに興味がある人や柔軟な発想力がある人のほか、常に冷静な対応ができる人やリーダーシップを発揮できる人が向いています。生産技術の仕事には、実務経験を求められることが多く、必要な資格はありません。ただし、関連する資格があれば、転職時や給与交渉時のアピール材料になるでしょう。

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ライター:田仲ダイ
エンジニアリング会社でマネジメントや人事、採用といった経験を積んだのち、フリーランスのライターとして活動開始。現在はビジネスやメンタルヘルスの分野を中心に、幅広いジャンルで執筆を手掛けている。

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