派遣社員から正社員になる方法とは?メリット・デメリットや心得も解説
現在は派遣社員として働いている人の中には、正社員に興味がある人や正社員を目指しているという人もいるでしょう。正社員になる方法には複数の選択肢があり、決して可能性が低いことではありません。
ただし、自身が希望する働き方によって適した選択肢は異なります。本記事では、派遣社員から正社員になる方法や正社員になるメリット・デメリット、正社員になるための心得について解説します。
目次
派遣社員から正社員になる方法
派遣社員とは、人材派遣会社に登録または雇用契約を締結した社員のことをいいます。人材派遣会社と派遣契約を締結した企業に派遣されて働きますが、社会保険の適用などは人材派遣会社が行います。一方、正社員とは、企業と雇用契約を締結した社員を指します。無期雇用でフルタイムでの勤務が一般的です。
派遣には「登録型派遣(有期雇用派遣)・常用型派遣(無期雇用派遣)・紹介予定派遣」の3種類が存在しますが、本記事においては、登録型派遣の派遣社員について解説します。
登録型の派遣社員から正社員になる方法として挙げられるのは、以下の4つです。
● 派遣先企業で正社員登用される
● 紹介予定派遣で勤務する
● 派遣会社の正社員(常用型派遣)として働く
● 転職サービスを利用する
ここでは、それぞれの方法について解説します。
派遣先企業で正社員登用される
派遣社員から正社員になる方法として挙げられるのは、派遣先企業で正社員登用されることです。企業によっては、派遣社員から正社員になれる「正社員転換制度」を設けているケースがあります。
正社員転換制度は、すでに職場の雰囲気や業務経験がある人材を採用できるため、企業側にとってもメリットのある制度です。厚生労働省の調査によると、正社員転換制度があると回答した企業は54.6%でした。正社員転換制度があると回答した企業のうち、66.8%は正社員に転換した実績があると回答しています。
このように制度自体は存在していても、実際に正社員に転換した実績がないケースもあります。そのため、実際に正社員に転換した実績があるのか、実績がない場合は「一定以上の勤続年数や成果、所属長の推薦などの採用基準があるのか」「今後、制度を活用する予定があるのか」を確認することが重要です。
参考:厚生労働省「令和2年有期労働契約に関する実態調査(事業所調査)」
紹介予定派遣で勤務する
派遣社員から正社員になる方法には、紹介予定派遣の派遣社員として勤務する方法もあります。紹介予定派遣とは、派遣先企業と直接の雇用契約をすることを前提として派遣契約を締結する制度です。
最長6か月間、派遣社員として働いたあと、双方の合意があれば派遣先企業に直接雇用されます。入社後のミスマッチ防止につながるため、企業側にとってもメリットがある制度です。
厚生労働省の調査によると、令和4年度に紹介予定派遣で派遣された労働者数は26,313人でした。それに対し、直接雇用に結びついた労働者数は14,865人でした。直接雇用に結びついた割合は56.5%となり、半数以上が紹介予定派遣から直接雇用につなげていることがわかります。
ただし、あくまでも直接雇用を前提としているだけのため、契約社員やアルバイトなど、正社員以外の雇用形態で契約を締結する可能性もあります。
参考:厚生労働省「令和 4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」
常用型派遣で勤務する
派遣社員から正社員になるには、派遣先企業ではなく常用型派遣で勤務する方法もあります。人材派遣会社には、正社員として雇用契約を締結した社員を派遣する「常用型派遣(無期雇用派遣)」を導入しているケースがあります。
労働者派遣法では、同じ組織に派遣社員として就業できる期間が最長3年と定められており、無期限で同じ組織で派遣社員として働くことはできません。そのため、登録型派遣では、派遣契約終了後に次の派遣先が見つからなければ給与が支払われないことになります。
常用型派遣は、人材派遣会社と正社員として雇用契約を締結しているため、派遣先企業に就業していない間も人材派遣会社から給与が支払われます。常用型派遣は、派遣社員の雇用安定を守る措置として重要な役目を果たしている制度です。
スタッフサービスでは、事務職経験のない方への就職支援として、無期雇用派遣サービス「ミラエール」を展開しています。ミラエールでは数多くの派遣先が用意されており、働く人の適性や希望に沿った派遣先企業で働くことが可能です。
また、スタッフサービス・エンジニアリングでは「専門スキルを活かしたい」「未経験からチャレンジしたい」「安定した雇用で働きたい」という人向けに、技術職での常用型派遣スタッフを採用しています。
参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」
スタッフサービスの常用型派遣
https://www.staffservice.co.jp/staff/joyohaken/
転職サービスを利用する
現在の職場にこだわらずに正社員を目指すのであれば、転職サービスを利用し、他の企業で正社員になるのもひとつの方法です。転職サービスを利用すれば、自己分析や履歴書・職務経歴書の添削、面接対策といった、転職のサポートをしてもらえます。
スタッフサービスグループでは、人材紹介サービスのひとつとして「転職エージェント」サービスを提供しています。キャリアアドバイザーが求職者と人材を求める企業との間に入るため、転職活動の負担が軽減できるはずです。
転職活動のスタートから入社に至るまでサポートするため、他の企業での正社員を目指している人はぜひ利用を検討してみてください。
スタッフサービスの転職エージェントサービス
https://www.staffservice.co.jp/staff/agent/
派遣社員から正社員になるメリット
派遣社員から正社員になるメリットとして、以下の3つが挙げられます。
● 入社前に職場のルールや社風を経験できる
● 安定した収入が見込める
● 手厚い福利厚生を受けられる
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
入社前に職場のルールや社風を経験できる
派遣社員から正社員になるメリットとして、入社前に職場のルールや社風を経験できることが挙げられます。直接応募からの雇用であれば、事前に働くことはないため、実際の社風はわかりません。
しかし、派遣社員から派遣先企業の正社員になる場合は、雇用される前にその企業で働いています。そのため、正社員になった段階からすでに職場のルールや社風を理解しているため、スムーズに仕事に入れます。
また、事前に働いていることにより、入社後にミスマッチが発生する可能性も低いでしょう。
安定した収入が見込める
安定した収入が見込めることも、派遣社員から正社員になるメリットに挙げられます。登録型の派遣社員の場合、契約期間が終わった場合や体調不良で勤務できない場合は、給与が発生しません。決して収入が安定しているとはいえないでしょう。
しかし、正社員になれば雇用期間の制限がないため、安定して給与が入ってきます。また、有休制度もあるため、体調不良で勤務できない場合でも収入が減ることはありません。
収入が安定することは、派遣社員から正社員になる一番のメリットといえるでしょう。
手厚い福利厚生を受けられる
勤務する会社によっては手厚い福利厚生を受けられることも、派遣社員から正社員になるメリットです。正社員になれば、住宅手当や資産形成補助などの福利厚生を受けられることもあります。企業によっては、誕生日休暇や旅行補助といった独自の制度を導入しているケースもあるでしょう。
しかし、登録型の派遣社員の場合、雇用関係にあるのは人材派遣会社のため、派遣先企業の福利厚生をすべて受けることはできません。福利厚生は、派遣社員と正社員との立場の違いを大きく実感する制度といえます。
派遣社員から正社員になるデメリット
派遣社員から正社員になることは、必ずしも良いことばかりではありません。特に、働き方に対する考え方によっては、デメリットに感じる人もいるでしょう。ここでは、派遣社員から正社員になるときに、人によってはデメリットと感じる可能性があることについて解説します。
異動・転勤の可能性がある
正社員として企業に雇用された場合、特別な事情がない限りは原則、企業が出す異動命令に従わなければなりません。希望していない部署や勤務地に異動となるケースもあるでしょう。それにより、プライベートにも影響を及ぼす可能性もあります。
今住んでいる場所から離れたくない人にとっては、異動や転勤の可能性があることはデメリットになるでしょう。
業務範囲が大きくなる
正社員は、派遣社員と比べて、業務範囲が広くなります。登録型の派遣社員の場合、業務範囲が決まっており、責任が大きな業務を担当するケースは多くないでしょう。しかし、正社員になれば業務範囲に制限はありません。
成果と経験を積めば、これまで前例がないような新しいポジションを与えられることもあります。業務範囲が広くなることに抵抗がある人にとっては、正社員になることはデメリットに感じるでしょう。
派遣社員から正社員になるための心得
登録型の派遣社員から正社員になるのであれば、派遣先企業のルールを守り、与えられた業務をこなすことは大前提です。しかし、派遣社員から正社員になることは、企業側にとっては給与や福利厚生費、社会保険料などのコストが上がることを意味します。
そのため、正社員になるには、派遣先企業にとって必要な人材であることを示す必要があります。その心得として挙げられるのは、以下の2つです。
● 成果を出す
● 職場内で積極的にコミュニケーションをとる
ここでは、それぞれの心得について解説します。
成果を出す
登録型の派遣社員から正社員になるためのポイントとして、成果を出すことが挙げられます。求められている分だけの成果では、企業側にとって派遣社員から正社員にする意味がありません。
求められているもの以上の成果を出すことにより、企業から自社の社員として確保したいと思われます。例えば、売上件数といった数字で示せる実績を残せば、わかりやすい成果として認めてもらえるでしょう。
職場内で積極的にコミュニケーションをとる
職場内で積極的にコミュニケーションをとることも、登録型の派遣社員から正社員になるためのポイントです。登録型の派遣社員から正社員になる場合、派遣と同じ職場で働くことになるでしょう。
そのため、職場内の社員とのコミュニケーションをおろそかにした場合、どれだけ成果を出していても、現場での印象が低いことにより正社員になれない恐れがあります。コミュニケーションをとり、職場内での印象が良くなれば、現場から正社員転換の後押しをもらえる可能性もあります。
ただし、雑談をすればいいわけではありません。成果につながることや改善提案に対するコミュニケーションをとることが大切です。
まとめ
登録型の派遣社員から正社員になった場合、入社前に職場のルールや社風を経験できることや、安定した収入が見込める、福利厚生を受けられるといったメリットがあります。
ただし、希望を出せば正社員になれるわけではありません。企業に対し、派遣先企業にとって必要な人材であることを示す必要があります。派遣社員から正社員になるメリット・デメリットや正社員になるためのポイントを理解し、自身のキャリアや理想像と向き合ったうえで、正社員への道を選択しましょう。
- ライター:田仲ダイ
- エンジニアリング会社でマネジメントや人事、採用といった経験を積んだのち、フリーランスのライターとして活動開始。現在はビジネスやメンタルヘルスの分野を中心に、幅広いジャンルで執筆を手掛けている。