派遣の契約満了/終了とは?契約の満了、契約終了になる理由も紹介
派遣で働く場合には契約期間というものがあり、あらかじめ定められた期間だけ派遣先企業で働きます。当初の契約通り、契約期間満了で派遣先企業での就業が終了するケースもあれば、2ヶ月から半年の単位で契約が更新されるケースなどさまざまあります。
派遣の契約はどういった理由で、どんなときに終了となるのでしょうか。本記事では、派遣の契約が終了になる理由、そして契約終了時の備えとして、契約終了前後の動き方や選択肢について解説します。
目次
契約開始~満了までのスケジュール
まずは、派遣スタッフとして働く場合の契約開始~契約終了までの流れを把握しておきましょう。
正社員やパート、アルバイトの雇用契約は企業との直接雇用になりますが、派遣スタッフは派遣会社に登録し、派遣会社(派遣元)から仕事を依頼されて派遣先企業へ就業する働き方になります。また、雇用契約は派遣会社と結ぶことになります。派遣会社との契約開始~満了までのスケジュールは次のようになります。
1)人材派遣会社へ登録
・とりあえず相談したい方はまず登録を、希望のお仕事がある方はお仕事に応募をして、登録の手続きを進める(自宅でもできるWEB登録が用意されている派遣会社もあります)
・履歴書、職務経歴書の記入
・簡単なスキルチェック
・希望職種や具体的な条件・要望などを伝える
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2)お仕事の案内
・希望条件のお仕事が見つかれば人材派遣会社からお仕事の案内があります
・派遣先企業のお仕事詳細や勤務時間などの労働条件を確認
・必要に応じて案内された派遣先企業へ人材派遣会社のコーディネーター、または担当営業と同行し、実際に働く職場の環境などを確認
※案内されたお仕事が、希望条件にあっていない場合は断ることも可能
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3)派遣先で就業
・案内されたお仕事の労働条件などに合意したら派遣スタッフとして派遣先企業で就業スタート
※最初の雇用契約はおおよそ2ヶ月から半年の期間であることが多いようです
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4)契約更新、または終了
・雇用契約期間の満了を控え、継続して働く場合は契約を更新延長して引き続き就業することになります
・契約を終了とした場合、雇用契約は契約最終日をもって終了し、契約満了となります
※契約更新をおこなう場合も契約終了とする場合も、人材派遣会社と派遣スタッフ、双方の合意が必要となります
派遣の契約が終了となるケース
派遣の契約が終了になるケースには、契約期間いっぱいまで働いた際の「契約満了」と、なんらかの理由で契約期間の途中で終了となる「契約終了(解除)」の2つがあります。
契約満了とは
派遣で働く場合には契約期間というものがあり、あらかじめ定められた期間だけその会社で働きます。派遣期間が3月1日~5月31日という契約の場合には、5月31日をもって契約満了を迎えます。そして、契約が更新されない場合には契約が終了します。
派遣先企業は契約更新をしない場合、契約期間が満了する30日前には、そのことを予告しなければなりません。これは法律でも義務付けられていることでもあります。
更新されない場合、自らの意思で更新しない自己都合と、本人は希望したものの更新とならない会社都合の2つのケースがあります。
■自己都合
契約期間が満了となると、契約終了となるだけでなく契約更新が告げられることもあります。ただ、契約の更新を希望しない派遣スタッフもいるでしょう。そういった場合には、自己都合で契約が終了できます。
■会社都合
一方、契約の満了に際して、派遣スタッフは更新を希望したものの、派遣先企業の都合により契約終了となるケースもあります。前述したように、派遣先企業は契約期間が満了する30日前には、そのことを予告しなければなりません。契約終了は、まず派遣先企業から派遣会社(派遣元)に連絡があり、派遣会社が派遣スタッフに伝える流れになります。
契約終了(解除)とは
派遣スタッフは期間を定めて契約しているため、期間満了までは就業するのが原則です。しかし、やむを得ない理由が発生し、契約が満了する前から辞めたくなった場合にはどのようにしたらよいのでしょう。
その場合、派遣会社の担当者に相談すると手続きを進められるのが一般的です。ただし、法的に交わされた契約を破棄することになりますから、派遣スタッフの雇い主である派遣会社と派遣先企業との間で合意が必要となります。派遣スタッフは、派遣会社に事情を説明する際には、介護など家庭の事情や自身の健康状態など、なぜ辞めたいのかを具体的に話すことが求められます。
また、派遣会社が派遣先の企業から了承を得て、代わりの人材に引き継ぎをするための期間を確保するためにも、申し出は契約終了(解除)希望日の1ヶ月以上前に申し出るのが適切です。
覚えておきたいのは、契約終了(解除)とした場合、契約途中で辞めたという事実が残ることです。後々のお仕事案内で不利になってしまうリスクもありますから、特別な事情がない限り契約満了の時点で退職することが好ましいです。
派遣先企業から契約を解除されるケース
一方、派遣先企業も、基本的に派遣契約は契約期間の途中で解除することはできません。ただ、経営難による予期せぬ事業縮小などの理由により、派遣契約を途中解除せざるを得ない場合もあり得ます。このような場合、「派遣法第29条の2」により、派遣先企業は派遣会社(派遣元)と協議しつつさまざまな措置を講じる義務が生じます。
■派遣先が講ずべき措置に関する指針第2の6
・派遣先の関連会社等、代わりの就業先を斡旋すること。
・派遣契約の途中解除により派遣社員への休業手当が発生した場合、支払義務者である派遣元に対して、休業手当相当額以上の損害賠償を行うこと。
・派遣先への途中解除の申し入れは、相当の猶予期間(少なくとも解除日の30日以上前)をもって行うこと。
・派遣契約の途中解除により派遣元が派遣社員を解雇せざるを得ず、派遣社員への解雇予告手当が発生した場合、支払義務者である派遣元に対して、解雇予告手当相当額以上の額の損害賠償を行うこと。
・派遣元から求めがあった場合、当該派遣契約の途中解除理由の明示を行うこと。
・その他善後処理方策を講じること。
派遣先に義務付けられた措置は上記のように定められており、この指針に反した場合、派遣先は労働局の指導対象となるケースもあります。
【出典】
派遣先が講ずべき措置に関する指針(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000760525.pdf
■派遣スタッフに問題があった場合
まれなケースですが、派遣スタッフ自身に問題があった場合、契約終了(解除)となる可能性もあります。たとえば、遅刻や欠勤が多く勤務態度が悪い、営業妨害をおこなった、情報漏えいなどの重大なミスを起こした、ハラスメント行為など派遣先企業に迷惑がかかることをしたケースでは、派遣先企業から派遣会社(派遣元)に申し出があり、派遣会社の判断で会社都合による契約解除がおこなわれることがあります。法に触れるようなことや社会人として基本的なマナーやルールが守れなかった場合には、契約が解除されてしまうケースがあることも覚えておきましょう。
同じ派遣先企業で長く働きたい場合
労働者派遣法によって同一の派遣社員がひとつの組織単位で継続して就業できる期間が3年とされていますので、必然的に派遣スタッフとしての就業は最長でも3年で終了となります。ただ、同じ事業所で3年間派遣社員として働き続けた場合には、労働者派遣法改正法の施行に基づいて、人材派遣会社に就業を継続することを依頼できることもあります。ここでは基本的ないくつか方法を紹介します。
■人材派遣会社から派遣先へ直接雇用(正社員)の依頼をすることができる
これは、正社員への道が開け働けるチャンスを手に入ることとなります。ただ正社員になるためには派遣先と派遣社員側の同意が必須であること、また必ずしも正社員としての受け皿があるわけではなく、契約社員やアルバイト、パートとしての雇用形態になる可能性があることを知っておく必要があります。
■同じ派遣先でまた別の部署に異動する
同じ派遣先でまた別の部署に異動するという方法もあります。同じ派遣先でも別の部署に異動することが可能であれば、引き続き働くことが可能となります。
■無期雇用として雇われる
一般的な派遣スタッフ(登録型派遣)は、同じ職場で働くことができるのは3年まででした。しかし、派遣会社との契約が通算5年を超えると無期転換ルールを使って派遣会社と無期雇用派遣(常用型派遣)契約を結ぶことができます。派遣元と派遣先の契約が続く限り、同じ職場で長期間働くことが可能となります。
派遣の契約が終了する場合はどうすればいい?
派遣の契約が終了する場合は、どのようにすればよいのでしょう。いくつかの選択肢を紹介します。
派遣会社に新しいお仕事を紹介してもらう
まず、派遣会社に新しいお仕事を紹介してもらい、別の派遣先で働く選択肢が挙げられます。派遣会社の求人票を見て、気になるお仕事があったら担当者に伝えるのもいいでしょう。また、それまで就業していた派遣先企業で気づいたこと、たとえば、活かされたスキル、そうでないスキル、良かった点、働きづらかった点などを整理して担当者に伝えると、より自分の希望に合っている仕事や職場を案内してくれる可能性もあります。
新たな派遣会社に登録してお仕事を探す
別の派遣会社に登録をして新たなお仕事を探すのも選択肢のひとつです。派遣会社にはそれぞれ特徴があり、ある業界のみに特化した求人票を公開している派遣会社や、ミドル層など特定の年齢層に力を入れているところ、ワークライフバランスを重視したお仕事に強い派遣会社などがあります。自分の希望に合った派遣会社数社に登録することで、選べるお仕事の幅が広がることもあります。
ただし、複数登録していることは、事前に各派遣会社に報告しておきましょう。紹介されたお仕事を断る場合、他の派遣会社にも登録をして、積極的に仕事を探していることを伝えておくと、角が立ちにくくなります。
※スタッフサービスでは複数の仕事にエントリーすることが可能ですが、派遣会社により異なりますので、事前に確認しましょう。
正社員のお仕事を探す
派遣スタッフとしてさまざまな業界で働きながら、正社員を視野に入れて、今後の働き方について検討をしている方もいるでしょう。安定した収入を得たい、ひとつの仕事をじっくり掘り下げて取り組みたい、組織のなかで中長期的に成果を残したい、管理職やマネジメント経験を積みたいなど考えている人は、正社員という働き方が向いているかもしれません。正社員を目指す場合、次のような方法があります。
■紹介予定派遣制度を利用する
正社員や契約社員への転換を前提に、最長6ヶ月派遣スタッフとして働き、派遣先企業と合意のうえで、直接雇用となる「紹介予定派遣」という制度があります。
■正社員として転職する
正社員として働きたい業界や企業が明確にある場合は、転職活動をするという方法もあります。自身でさまざまな求人票を見て探す以外にも、職業紹介サービスを利用するという方法もあります。
スタッフサービスグループでは、派遣だけでなく、人材紹介サービスのひとつとして「転職エージェント」サービスも提供しています。
仕事が決まらなかったら、失業保険は受け取れる?
契約満了後も引き続き派遣スタッフとして就業することを希望していても、なかなか次の就業先が決まらず、失業状態になることもあります。そのときの受け皿として用意されているのが失業等給付、いわゆる失業保険です。
失業保険は正社員だけが受け取れるものではなく、派遣スタッフや契約社員、パートやアルバイトでも受給することが可能で、職を失い、働く意思はあるにもかかわらず、新たな仕事に就けない場合に助けとなるものです。
ただし、失業保険を受給するには雇用保険に加入していることが前提となります。そして失業保険に加入するには、2つの条件が満たす必要があります。
・1ヶ月(31日以上)の雇用が見込まれている
・1週間の所定労働時間が20時間以上であること
正社員の場合は勤務先の企業が雇用保険の加入手続きをしていますが、派遣スタッフの場合は人材派遣会社で加入手続きをしています。失業保険の給付に関しては、離職理由と派遣社員の申し出内容をふまえ、ハローワークが決定します。希望する場合には人材派遣会社に連絡をして失業保険を受け取る旨を説明して「離職票」を作成してもらいます。
その後、人材派遣会社より自宅に離職票が郵送されてきます。その離職票をもってハローワークにご自身で手続きを進めていくことになります。
【出典】
雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html
まとめ
派遣のお仕事は、あらかじめ「契約期間」が決められていて、契約期間は、契約したお仕事によって異なります。派遣会社(派遣元)は契約期間が終了する数ヶ月~1ヶ月ほど前に、派遣先企業に「当初契約していた期間で終了するか、もしくは更新するか」を確認します。そして、派遣会社と派遣先企業の間での合意を経て、派遣会社の担当者から「契約更新」「契約終了」についての通知がなされます。
契約満了となると不安に思う人もいるかもしれませんが、本記事で紹介したように、さまざまな可能性を考え自分なりの道を歩める機会にもなります。新たなキャリア形成の選択肢が増えたととらえ、いろんな可能性を模索してみましょう。
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- ライター:ナカイマミ(編集者・ライター)
- 求人媒体で求人広告の制作、編集記事の制作に10年以上携わった後、女性誌、生活情報誌、地域活性に関係する媒体などで多くの取材、ライティングを手掛ける。気が付けば、47都道府県を踏破。海外よりも日本が好き。