20代から派遣を選択してもキャリアアップはできる? 知っておきたいメリット&デメリット。
派遣スタッフで働くことについて、どんなイメージを持っていますか?
新卒で就職し、定年まで同じ会社で働き続ける、という終身雇用制度が当たり前ではなくなった昨今、正社員として働くことは必ずしもメリットばかりではないと感じている人も多いのではないでしょうか。正社員で働くことにメリット・デメリットがあるように、派遣という働き方にも良い面と悪い面があります。
ここでは、とりわけ20代前後の若い世代にとって、派遣で働くことのメリット・デメリットを整理してご紹介します。キャリアアップが図れるかどうかなどについても解説します。20代で派遣という働き方を選択することは自分のキャリアにどんな影響を及ぼすのか、考えるヒントにしてください。
目次
“20代で派遣”や“第二新卒で派遣”という選択肢
ひと昔前までは、「正社員になれないから仕方なく派遣を選択する」「派遣スタッフは安定しない」「正社員より立場や待遇が低そう」というイメージがあったかもしれません。しかし現在では、20代や、卒業後3年未満で求職活動をする、いわゆる「第二新卒」の人たちが派遣を選択し、働くケースも少なくありません。実際、多くの派遣会社で「20代」や「第二新卒」をキーワードとして多くのお仕事を紹介しています。
派遣スタッフの約3割は、若年層が占めている
※平成29年派遣労働者実態調査
20代が派遣スタッフとして働く主なメリットは、キャリアアップ!
20代や第二新卒の人たちが派遣スタッフとして働くメリットは複数ありますが、なかでも多くの人がメリットに感じている点をピックアップしてご紹介します。
メリット1.趣味、余暇、副業などの時間を作りやすい
派遣は、勤務時間や勤務場所、雇用期間などを自分のライフスタイルに合わせて決めることができるのがメリットのひとつです。あるアンケートによると、派遣スタッフの約60%が残業なし、85%以上の人が週2~3時間程度の残業で抑えられているといるそうです(※)。趣味を楽しむ時間は減らしたくない、仕事に縛られない時間もしっかりキープしたい、目指しているキャリアアップのために勉強や副業をしたいという人にとって、スケジュールのやりくりがしやすい派遣という働き方は適しているといえそうです。
※2019年度派遣社員WEBアンケート調査 より
メリット2.同世代の正社員よりも給与が高くなりやすい
20代の派遣スタッフは時給が高めの場合が多く、同世代の正社員よりも給与が高くなる傾向にあります。
2020年10月度の三大都市圏の派遣スタッフ平均時給は1,708円(※1)なので、単純計算では月収は約27万円(1日8時間労働×20日間)。したがって年収は、320万円を超える計算になります。
一方、厚生労働省の発表によると、20代の平均月収は23万円弱、平均年収は270万円前後。もちろん、業種やさまざまな条件は異なりますが、この数字だけを比較すると、20代のうちは派遣スタッフの方が正社員に比べてより高い給与を得ることができるということがわかります。
※1 派遣スタッフの募集募集時平均時給(2020年)より
※2 厚生労働省 平成30年賃金構造基本統計調査より
メリット3.さまざまな職種の経験を積み、キャリアアップできる
多くの派遣会社が、派遣スタッフのためのスキルアップ制度を設けています。例えば、基本的なビジネスマナーが学べる講座、ワードやエクセルなどPCスキルを磨く講座や、資格取得をサポートしてくれる講座などを、多くの場合は無料で受けることができます。
20代の正社員の場合、現場での仕事が最優先となりスキルアップは二の次になりがちです。一方で、派遣スタッフの場合は、気になる業界や企業で実務経験を積みながら、自分に合った業種・職種・環境などを探すことができるだけでなく、上記のような講座を活用して、少し先を見据えたキャリアアップを図ることもできます。
さまざまな業種・職種を経験し、社会経験を積むことができ、さらには、スキルを磨く時間にもあてられる。そんなメリットを感じて、派遣スタッフとして働く人も少なくありません。
メリット4.未経験OKの仕事が多い
派遣スタッフとして紹介される仕事には、「未経験者OK」のものが多いのも特徴のひとつです。これは、社会人になりたてで、働くこと自体に具体的なイメージがない20代の人にも多くのチャンスがあるということです。これからスキルを身に付けたいと考える人、まずは興味のある業界や企業を体験してみたいという人にとっても、さまざまな仕事を経験することができる派遣は適したスタイルだといえるでしょう。
メリット5.派遣会社のサポートが活用できる
派遣会社では、派遣スタッフをサポートするために一人ひとりに担当者がついてくれます。社会人経験の浅い20代の人にとって、業務でのトラブルや派遣先企業での困りごとが相談できる相手がいるのはとても心強いはずです。また、自己スキルの客観的評価やキャリアプランのアドバイスなどを担ってくれるのも、派遣スタッフとして働くならではのメリットです。
派遣先企業にとっても20代の採用はメリット大!?
企業にとっても、20代を派遣スタッフとして採用することをメリットと考える傾向があります。その代表的な理由としては、以下が挙げられます。
・数年の就業経験があるため、最低限のビジネスマナーやリテラシーが備わっている
・1社での経験が長すぎないため、柔軟性や適応力もある
・働くこと自体や仕事に対してのモチベーション、ポテンシャルが高い
早期離職を決断し、新たなスタートを切る人第二新卒の人たちを「活躍できない人材」と捉えていた、かつてのイメージは、払拭されてきているといえるでしょう。
20代が派遣スタッフとして働くデメリットはある?
デメリット1.給与が上がりにくい
前述したように、20代では、正社員よりも派遣スタッフの給料の方が高い傾向にあります。しかし、派遣スタッフの多くは時給制であるため、賞与や昇給という制度がある正社員と比較すると、年数を重ねていっても給料は上がりづらいという傾向があります。
この点に不安を感じている人も多いようですが、スキルと経験を積み、派遣スタッフの特徴でもある専門性を磨くことで給与アップを目指すことは可能です。実際に、業務経験が3年未満の人より3年以上の人の方が、平均時給は120円高いというデータもあります(※)。
※2019年度派遣社員WEBアンケート調査より
デメリット2.幅広い経験を積むことが難しい
派遣スタッフは、契約であらかじめ業務内容や範囲が決められているので、契約外の業務をすることはできません。契約当初より難易度の高い仕事に関わる機会もほとんどないといえるでしょう。そのため、責任のある仕事を任されづらいことに不満を覚える人もいるかもしれません。
しかし逆に考えると、雑務や担当外の仕事に時間を取られることがなく、専門性に特化した経験を積むことができるということです。雑多な仕事を振られたり、不要なプレッシャーをかけられることなく、自身のスキルアップを目指すことができます。このことは、特定分野に特化した人材を求める企業にとってはメリットとなる可能性があります。
また、派遣先での就労が評価され、さらに派遣先企業と派遣スタッフ双方の合意があれば直接雇用の可能性も出てくるでしょう。
デメリット3.契約期間が短い
派遣スタッフの契約期間は基本的には短期間です。また、2015年に改正された労働者派遣法では、派遣スタッフが同じ派遣先で働ける上限として3年という期間を定めており、同じ部署で働くことのできる期間も長くて3年となっています。これは、さまざまな業種や職種で働きたいという場合や、専門性を高めてスキルアップしたいと考えている人にとって、メリットになります。
派遣という働き方に魅力を感じていても契約期間に不安がある人には、同じ派遣でも雇用契約期間を設けず、派遣会社の社員として派遣元企業に常駐する「常用型派遣」という選択肢もあります。雇用の安定と専門技術の活用という両方を満たすことができるため、派遣の働き方を維持しつつ安定した雇用を望む人にはおすすめです。専門性を持つ優秀な人材を柔軟に活用したいと考える研究機関や情報技術、メーカーの開発部門、設備の工事管理、生産管理など技術系企業・機関を中心に広く利用されている仕組みです。興味のある人は、「常用型派遣」を検討するのもいいかもしれません。
《関連記事》
登録型派遣と常用型派遣の違いとは
https://www.staffservice.co.jp/job/column/detail_009.html
“20代で派遣”は、メリットとデメリットを比較して選択を!
20代や第二新卒の人たちが派遣スタッフとして働くことには、良い面と良くない面の両方があることが見えてきたでしょうか。大切なのは、その両面を十分に理解して納得した上で働くことです。
20代は社会人としての経験が浅く、まだ明確な目標が持てないという人が多いかもしれません。だからこそ、自身がどんなキャリアを歩んでいきたいかを思い描くことが大切です。そして、その実現のために今、どんな道を選ぶのがよいのかを熟考し、最適だと思える働き方を選ぶようにしましょう。
- ライター:みやごかよ(コピーライター/ライター)
- 複数の広告制作会社にてコピーライター、プランナー、制作ディレクターを経験後に独立。現在はフリーランスとして活動中。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく~」という井上ひさしさんの言葉を大切に日々ライティング中。猫と植物とアートをこよなく愛する一女の母。