接客業からの転職はどの職種がおすすめ? 接客業の経験を活かせる職種や業界をご紹介
接客業とは、飲食店や量販店、アパレル販売、ショップ、旅館やホテル、レジャー施設、ブライダル施設などにおいて、商品の説明やアドバイス、レジなど、お客様の対応をしたり、実際にサービスを提供したりする職業です。
本記事では、接客業から他の仕事への転職を考えている方々に向けて、接客業で培った経験が活かせるスキルとお仕事を紹介します。
接客業からの転職を考える理由
接客業は、他の業種と比べて離職率が高い傾向にあります。厚生労働省が発表した「雇用動向調査結果」によると「飲食業・サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」、「サービス業(ほかに分類されないもの)」は特に離職率が高い結果となっていました。転職を考える理由としては、主に次の5つが考えられます。
・接客のストレス
働く男女500名を対象に実施された「仕事のストレスに関する意識調査」によると、「仕事でストレスを感じる瞬間」で最も多かったのは「態度の悪い顧客やクレームへの対応」でした。お客様と直接関わる接客業では、威圧的な態度や暴言、しつこく何度も文句を言うなどのカスハラ(カスタマーハラスメント)や、上から目線の横柄な態度をとるお客様への対応が大きなストレスになっているようです。
・不規則な拘束時間
接客業は、シフト制による勤務になっている場合が多いです。早番と遅番の交代制で週5日の8時間労働が基本ですが、土日・祝日も出勤が多く、繁忙期やセールの日は残業があったり、職場によってはオール(中番)もあったりします。
連休や年末年始も出勤することが多いため、不規則な拘束時間による疲労や睡眠不足、精神的なストレスから転職を希望する人が多くなっています。
・売上ノルマがある
接客業は、ノルマがある場合があります。携帯電話の販売代理店や化粧品販売、家電量販店、アパレル販売などでは、売上ノルマが課せられていることが少なくありません。従業員全員が厳しいノルマ達成に必死になり、お客様が入店されるとスタッフ同士と取り合いになったり、殺伐とした雰囲気になってしまったりすることも。ノルマ達成のプレッシャーから転職を考える人も多いようです。
・待遇があまりよくない
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」に記載されている産業別賃金では、男性の年収は「金融業,保険業」(4,79,2,000円)が最も高く、次いで「教育・学習支援業」(4,294,000円)となっており、「宿泊業,飲食サービス業」(2,782,000円)が最も低くなっていました。
女性では「情報通信業」(3,155,000円)が最も高く、次いで「教育,学習支援業」(3,069,000)となっており、やはり「宿泊業,飲食サービス業」(2,089,000円)が最も低くなっていました。勤め先や勤続年数・社内のポジションなどによっても異なりますが、接客業は他の業種と比べると、賃金が低い傾向にあります。接客業の待遇への不満から、転職を考えるケースもあります。
・新型コロナウイルスの影響で先行きが不安
これはサービス業界だけのことではなく、業界全体にいえることですが、新型コロナウイルスの影響によって、業績不振に陥ったり、倒産したりする会社が相次いでいます。長引く新型コロナの影響で、先行きの不安から転職を考える人も多いようです。
接客業の経験が活かせるスキルは?
転職する際に必要となるのは、自身のスキルをアピールすることです。接客業の経験が活かせるスキルは、大きく分けると次の4つになります。
・コミュニケーション能力
どのような業種でも、コミュニケーション能力は重要となります。接客業は、お客様との直接接することよって高いコミュニケーションスキルを身につけることができます。お客様の声にきちんと耳を傾ける「傾聴力」、商品をご案内する「プレゼンテーション能力」、お客様の気持ちを察する「共感力」など、接客業で培った対人スキルは、別の仕事でも活かすことができます。
・礼儀作法や身だしなみ、丁寧な言葉遣い
接客業は、常にお客様に見られている意識を持つことが大事なお仕事です。接客業の経験は、礼儀作法や身だしなみ、丁寧な言葉遣いを身につけることができます。相手に不快感を与えない礼儀作法や身だしなみ、言葉遣いは、どのような業種においても役立つスキルとなるでしょう。
・マルチタスクな対応力
接客業では、マルチタスクな対応力が身につきます。販売職や飲食業では、レジを打ちながら他のスタッフに指示を出したり、入店したお客様に声掛けをおこなったりします。旅館やホテルのフロントは、1人のお客様のチェックイン対応中に宿泊予約の確認、館内の案内、館内着や鍵、アメニティの用意、他のお客様の人数確認などを同時におこないます。
接客業では、お客様を待たせないように業務を細分化し、優先順位を付け組み立てながら業務をおこなう機会が多く、高い対応力が身につきます。
・事務処理能力
接客業で身につけられるスキルは、接客だけではありません。売上管理や在庫管理、シフト作成、報告書の作成など、事務作業をおこなう場合も多くあります。Excel・Wordなどを使える基本的なPCスキルや事務処理能力は、他のお仕事でも必要となります。
接客業の経験が活かせるお仕事を紹介
接客業の経験は、異業種でも活かすことができ、自身の強みや志望動機としてPRすることができます。未経験でも活躍できる場面の多い職種を紹介します。
・営業職
接客業で身につけたコミュニケーション能力は、営業職でも活かすことができます。お客様の声に耳を傾ける「傾聴力」、商品をご案内する「プレゼンテーション能力」、お客様の立場や気持ち理解をできる「共感力」は、営業職でも重要です。礼儀作法や身だしなみ、丁寧な言葉遣いも、営業職では不可欠となります。
また、営業職ではお客様の信頼を損ねないように誠意ある行動を心がけ、予想外の出来事が起きたときでも真摯に対応する「トラブル対応力」や、商談に失敗したときでもすぐにリカバリーできる「ストレスコントロール」が重要です。接客業を経験した人は、これらの能力も備わっているといえそう。接客業で身につけたスキルは、営業職でも十分に活かすことができるでしょう。
・事務職
接客業におけるバックヤード作業、売上管理や在庫管理、シフト作成、報告書の作成などで身につけた「事務処理能力」や、ExcelやWordを使いこなせる「PCスキル」は、事務職でも活かすことができるでしょう。
事務職では、さまざまなタスクを同時におこなう場合があるため、業務を細分化し、優先順位を付け組み立てながら業務をおこなう「マルチタスクな対応力」も必要です。
また、どの職場においても、メンバーと強調し、他者に積極的に協力できる「チームワーク」は、とても大切です。店舗スタッフとのチームワークが重要な接客業の経験は、事務職でも十分に活かせそうです。
・受付
企業のオフィスや、ショールーム・モデルルームの窓口など、さまざまな施設のフロントに立って、お客様をお出迎えするのが受付のお仕事です。受付業務では、さまざまなお客様と接し、必要なことをご案内する「コミュニケーション能力」や、礼儀作法や身だしなみ、丁寧な言葉遣いが求められます。
また、突然の来客やスケジュール変更など、イレギュラーな状況に遭遇することもしばしば。相手や状況に合わせた対応できる「柔軟性」が必要となりますが、接客業を経験した人には身につけている人も多いでしょう。来客情報やスケジュールの管理など、事務業務にはPCを使うので、「事務処理能力」や「PCスキル」も活かすことができます。
・コールセンター
コールセンターのオペレーターも、接客業の経験が活かせるお仕事のひとつです。コールセンターで必要なスキルは、まずは基本的なPC操作です。お客様からの問い合わせ内容に合った情報を検索したり、応対中に資料の送付を手配したりします。応対後に、応対内容を専用システムへ入力することもあります。また、お客様からの問い合わせに正確に答えることができる商品・サービスの知識が必要となります。
そしてもちろん、礼儀作法や丁寧な言葉遣い、さまざまなお客様の対応ができるコミュニケーション能力も不可欠となるでしょう。これらのスキルは、接客業と共通しています。コミュニケーションのツールが電話に変わるだけで、接客業で培ったスキルを活かせそうです。
・介護職、看護助手
介護職は、高齢者が安心して生活できるように介護保険施設や老人ホーム、通所介護事業所などで、高齢者の身の回りの世話や相談援助などの介護サービスを提供するお仕事です。
看護助手は、看護補助者やナースエイドとも呼ばれ、病院やクリニック、介護施設などで看護師のサポートをするお仕事です。
どちらも利用者や患者さん、そして他のスタッフと円滑にコミュニケーションができる対人スキルが必要となります。相手の話に耳を傾ける「傾聴力」は、特に必要とされるスキルになります。礼儀作法や身だしなみ、丁寧な言葉遣い、マルチタスクな対応力、そして体力も重要となります。接客業で身につけたスキルや体力は、介護職や看護助手の仕事でも十分に活かすことができそうです。
スタッフサービスでは、職業別専門サイト「スタッフサービス・メディカル 」も設置し、介護、医療事務、クラーク、受付、看護師、看護助手などのお仕事を取り扱っています。お気軽にご相談ください。
https://www.staffservice.co.jp/staff/group/staffservice-medical.html
・飲食業
飲食業は、「おいしかった」「ごちそうさま」「また来るね」など、接客業のなかでもお客様から感謝の言葉を直接いただける機会が多く、やりがいを感じやすいお仕事です。
接客業に含まれますが、量販店やアパレル販売、ショップ、レジャー施設、ブライダル施設など、飲食以外の分野で接客業をやっていた方は、検討してみてはいかがでしょうか? 飲食以外の接客業とも共通する部分が多く、同様のスキルを活かすことができるので、転職後もスムーズに働くことができそうです。
・ホテルマン
同じ接客業でも、ホテルのお仕事には独特の魅力があります。多くのホテルマンが、やりがいについて「自分のサービスにお客様が満足してくださったとき」と答えています。飲食業と同様に、お客様から「ありがとう」と感謝の言葉を直接言っていただける機会が多いお仕事です。語学力も活かせ、「自分らしいサービス」を追求することもできるでしょう。
ホテルには、フロント、ベル、ドアマン、コンシェルジュなど、さまざまな役割があります。どの係でも必要になるのは、コミュニケーション能力や礼儀作法、身だしなみ、丁寧な言葉遣い、そしてマルチタスクな対応力です。ホテルマンも接客業に含まれていますが、経験のない方は、検討されてみてはいかがでしょうか?
まとめ
接客業の経験は、さまざまな業種で活かすことができます。実務未経験のお仕事であっても、接客業で得たスキルを具体的にアピールすることによって、転職の成功率が高くなります。本記事を参考に、自分のスキルと経歴を活かせる理想のお仕事を探してみてはいかがでしょうか?
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- ライター:鈴木にこ
- 求人メディアの編集者を経て、フリーランスとして活動中。派遣・新卒・転職メディアの編集協力、ビジネス・ライフスタイル関連の書籍や記事のライティングをおこなう。