
派遣とパート・アルバイトの違い メリット・向いている人を解説

派遣とパート・アルバイトは、雇用形態や働き方にさまざまな違いがあります。それぞれのメリットや向いている人の特徴を知ることで、自分に合った働き方を選ぶヒントになるでしょう。本記事では、派遣とパート・アルバイトの違いを分かりやすく解説します。
目次
派遣とパート・アルバイトの違い

派遣
派遣とは、人材派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で働く雇用形態を指します。この雇用形態を間接雇用と言い、雇用主はあくまでも派遣会社です。そのため、給与の支払いや社会保険の手続きも派遣会社がおこないます。派遣という働き方は、契約期間があらかじめ定められている案件が多いのが特徴です。また、派遣会社が提供する研修やキャリアサポートを利用できる場合もあるため、スキルアップを目指す方にも向いていると言えます。
パート・アルバイト
パート・アルバイトは、一般的に正社員よりも働く時間が短い雇用形態を指します。法律上は、「パート」や「アルバイト」の明確な定義はありませんが、厚生労働省のガイドラインでは「短時間労働者(パートタイム労働者)」について「1週間の所定労働時間が短い労働者」と説明されています。これは、「アルバイト」も同様です。
パート・アルバイトは企業と直接雇用契約を結ぶため、給与の支払いや社会保険の手続き、福利厚生なども雇用先の企業が対応します。労働時間は短いものの、法律上は一般の労働者と同じ取り扱いのため、雇用形態にかかわらず休暇や残業といった労働基準法が適用され、勤務日数によっては有給休暇も対象です。
実際には、「パート」は週の労働時間や日数が少なめの仕事を指し、「アルバイト」は学生など短期的に働く人を想定しているケースが多いです。ただし、これらの区別は法律上のものではなく、企業ごとに異なる基準で使われているため一概に述べることはできません。
【参考】厚生労働省|パートタイム労働者とは
派遣とパート・アルバイトの違い
派遣とパート・アルバイトは、働き方や条件にさまざまな違いがあります。以下で主要なポイントを比較してみましょう。
項目 |
派遣 |
パート・アルバイト |
雇用主 |
人材派遣会社 |
勤務先企業 |
雇用形態 |
間接雇用 |
直接雇用 |
契約期間 |
有期契約が主流だが、無期雇用派遣もある |
勤務先企業による |
労働保険・ |
条件を満たした場合、人材派遣会社の保険に加入 |
条件を満たした場合、勤務先企業の保険に加入 |
転勤 |
一般的にはなし |
一般的にはなし |
賞与 |
人材派遣会社の規定による |
勤務先企業の規定による |
有給休暇 |
人材派遣会社で管理・付与 |
勤務先企業で管理・付与 |
就職サポート |
人材派遣会社からのサポートを受けられる |
なし |
研修・ |
人材派遣会社の提供するものを受けられる場合がある |
勤務先企業による |
派遣スタッフとして働くメリット

派遣スタッフとして働くことのメリットを5つ紹介します。
1. 自由度の高い働き方ができる
2. 有名企業や大手企業で働ける可能性がある
3. 専門性を活かした仕事選びができる
4. スキルアップのチャンスがある
5. 就職や転職のサポートが充実している
1. 自由度の高い働き方ができる
派遣は、自分の希望する条件に近い仕事ができるというメリットがあります。ライフスタイルに合わせた職種、勤務時間、勤務地などの条件を選びやすく、プライベートを大切にしたい方にも適していると言えるでしょう。また、派遣会社に希望条件を伝えることで適した仕事を紹介してもらえるため、自分で交渉する手間が省け、効率よく仕事を探せます。契約以外の業務を求められることが少ないため、働きやすい環境を確保しやすい点も魅力です。
2. 有名企業や大手企業で働ける可能性がある
派遣という働き方には、直接雇用では難しいような企業で働けるチャンスがあります。例えば、正社員としての採用枠が限られているような大手企業でも、派遣スタッフとして働くことで、職場環境や仕事内容を実際に体験できます。派遣形態によっては派遣期間中に実績を積むことで、直接雇用に切り替わる可能性もあるため、そのような企業で働きたい方にとってはメリットです。
3. 専門性を活かした仕事選びができる
人材派遣会社のサポートの元で、自分のスキルや専門性に合った仕事を選べるのも大きな魅力です。「英語を使いたい」「ITスキルを活かしたい」など、個々の要望に合わせた仕事を見つけやすい環境が整っています。
4. スキルアップのチャンスがある
人材派遣会社の多くが、スキルアップ講座や研修プログラムを提供しています。これらを利用することで、業務に関連するスキルや資格の取得が可能です。無料または低額で受講できる場合も多く、キャリアアップを目指す方には大きなメリットです。
5. 就職や転職のサポートが充実している
人材派遣会社は、仕事のマッチングだけでなく、キャリアの相談や次の派遣先の紹介などに応じてくれるケースがほとんどです。勤務条件や仕事内容などがさまざまな案件から適した職場を提案してくれるため、ライフステージや環境の変化に合わせて長く働きたいと考える人に向いています。
派遣スタッフで働くデメリット

派遣スタッフとして働くことには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここでは、派遣の働き方を検討する際に知っておきたい事柄について解説します。
1. 雇用の安定性に欠ける
派遣は契約期間が定められている案件が多いため、契約満了後に仕事を失う可能性を視野に入れておきましょう。ただし、契約が更新されるかどうかについては派遣会社から1か月以上前に告知されるため、ある日突然仕事を失うというリスクはありません。
また、同じ派遣先で働ける期間には法律で「3年ルール」と呼ばれる上限が設けられており、原則として派遣スタッフが同一の部署で働ける期間は最長3年までとなっています。
仮に3年の派遣期間が満了した場合でも、働く部署を変更することや派遣先との直接雇用に切り替えるなどの雇用安定策はあります。このほかに、派遣会社が次の就業先を見つけるためのサポートをしてくれる場合がありますので、自分の希望を明確に伝えることが大切です。
2. 昇給や昇進の機会が少ない
派遣スタッフは契約内容に基づいて働くため、昇給や昇進のチャンスは正社員ほど多くないというのが現状です。例えば、派遣先企業で長期間働いていても、正社員のような評価制度や昇進ポジションが用意されていることはほとんどありません。ただし、人材派遣会社で昇給などの制度がある場合は、その限りではありません。どの派遣先を選ぶかも大切ですが、はじめにどの人材派遣会社と契約を結ぶかという点も重要です。
パート・アルバイトで働くメリット

パートやアルバイトは、自由な働き方ができる点や、未経験からでも始めやすい点が魅力です。ここでは、パート・アルバイトで働く際のメリットについて、具体的にご紹介します。
1. シフト調整がしやすく、自分のペースで働ける
パートやアルバイトは、働く曜日や時間を比較的自由に選べる職場が多く、仕事と家庭を両立しやすい点が魅力です。特に、シフト制を採用している職場では、個別の要望や急な予定変更にも応じてもらいやすいことがあります。
2. 比較的近場で働きやすい
パートやアルバイトの求人は、地元の企業や店舗、飲食店など身近な職場での募集が多い傾向にあります。そのため、通勤時間を短縮でき、自分の時間を確保しやすくなります。ただし、募集エリアや職種によっては自宅近くに条件の合う求人が少ない場合もあるため、働きたいエリアや業界に応じて検討しましょう。
3. スキルや経験がなくても始めやすい
パート・アルバイトの多くは、特別な資格や経験がなくても働ける求人が多いため、初めての就業やブランクからの復帰に適しています。未経験からスタートしやすい仕事が多いため安心です。
パート・アルバイトで働くデメリット

ここでは、パートとして働く際のデメリットを2つとりあげます。
1. 仕事探しの負担が大きい
パートやアルバイトは、自分で求人を探して応募し、選考や面接の調整をしなければなりません。希望する条件(勤務地、給与、勤務時間など)が細かい場合、適切な職場を見つけるまでに時間や手間がかかる可能性があります。サポートが受けられる派遣と比べると負担に感じるかもしれません。
2. トラブル対応は自己責任
雇用先企業と直接契約を結ぶため、労働条件や人間関係などでトラブルが発生した場合、基本的に自分で対応しなければなりません。派遣の場合は派遣会社が間に入ってサポートしてくれることがありますが、パートやアルバイトにはそのような仲介役がいないため、困ったときの相談窓口が限られる点がデメリットと言えます。
派遣に向いている人

本章では、派遣に向いている人の特徴を具体的に解説します。
専門スキルを活かせる仕事がしたい人
特定の分野で自分のスキルを発揮したいと考える人にとって、派遣は理想的な働き方と言えます。ITや事務、翻訳、営業など、特定のスキルが求められる職種では、派遣会社がそのスキルを活かせる職場を紹介してくれるケースが多いためです。また、派遣会社の求人のなかには未経験でも働ける案件もあり、派遣会社の研修やサポートを活用しながらスキルアップができる職種へ挑戦することができます。派遣で実績を積むことで、さらなるキャリアアップの道を開いている人も少なくありません。
柔軟な働き方をしたい人
前述のとおり勤務時間や勤務地を希望に沿って選べるほか、契約期間も比較的短いことから、「長期的な拘束を避けたい」「プライベートを重視したい」という人に適しています。また、最近ではより柔軟性の高いパート派遣という働き方も増えているため、育児や介護と両立したい人にも派遣という働き方は大きな魅力です。
パート・アルバイトより高時給で働きたい人
派遣は、パートやアルバイトに比べて時給が高い傾向にあります。特に、専門スキルが求められる職種や都市部での派遣では高時給の案件が多く見られます。「同じ時間働くなら、より効率的に収入を得たい」と考える方にとって、派遣は魅力的な選択肢です。加えて、社会保険や有給休暇などの福利厚生も受けられるため、収入面と働きやすさのバランスを重視する人にも向いています。
パート・アルバイトに向いている人

以下のように考える方は、パート・アルバイトの働き方が向いています。
自宅から通いやすい場所で働きたい人
パートやアルバイトは、飲食店や地元企業など自宅から近い職場を選ぶこともできます。通勤に時間がかからないため、家庭やプライベートの時間を有効に活用したいと考える方に適しています。
柔軟な勤務時間で働きたい人
働く時間や曜日を調整しやすいことから、自分や家族のスケジュールに合わせて働きたい人に向いています。パートやアルバイトでは、「午前中だけ働きたい」「週3日のみの勤務したい」など、自分のライフスタイルに合わせたシフトを組みやすいためです。特に、時間的な制約がある学生や主婦にとって、柔軟性のある働き方は大きな魅力です。
掛け持ち・ダブルワークをしたい人
パートやアルバイトは、短時間の仕事が比較的多いため、他の仕事と掛け持ちしたい人にも向いています。本業の空き時間を活用して収入を増やしたい場合やスキルアップや趣味を兼ねた仕事をしたい場合にも、ダブルワークしやすい環境であると言えるでしょう。
まとめ
派遣とパート・アルバイトは、それぞれにおさえておくべきポイントがあります。派遣は専門スキルを活かしながら高時給で働ける点やスキルアップの機会がある点などが魅力ですが、一方でパート・アルバイトはシフトの融通が利きやすく、自宅近くで働ける環境が整っています。それぞれの特長を理解し、自分のライフスタイルやキャリアプランに合った働き方を選ぶことが大切です。
- ライター:川西 菜都美(監修兼ライター)
- 結喜社会保険労務士事務所代表。お母さんと子どものための社労士。自身の経験から、子育てと仕事の両立に悩む女性の相談にもあたっている。金融、製造、小売業などさまざまな業界を渡り歩いた経験を活かして、クライアントごとのニーズにあわせたきめ細やかな対応を心がけている。