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勤務形態とは?働き方の種類や特徴について解説

勤務形態とは?働き方の種類や特徴について解説

ワークライフバランスの実現に向け、多様な働き方が浸透してきました。「働き方」を指す「勤務形態」には、一般的な固定労働時間制以外にも、変形労働時間制や裁量労働制など、多様な種類が存在します。

勤務形態によって適した職種が異なるため、種類ごとの特徴を理解し、自社のニーズに適した勤務形態を導入することが大切です。本記事では、勤務形態の種類やそれぞれの勤務形態のメリット・デメリットについて解説します。

勤務形態とは

勤務形態とは、労働時間や勤務日数などの「働き方」を表す用語です。勤務形態には、働く時間が決まっている固定労働時間制や、始業と就業の時間を選択できるフレックスタイム制といった種類が存在します。

近年では、ワークライフバランスを実現するため、多様な働き方が浸透しています。在宅勤務やリモートワークも勤務形態のひとつといえるでしょう。勤務形態を重視する求職者も増えています。柔軟な勤務形態の導入は、企業が優秀な人材を確保する施策のひとつとなりつつあります。

雇用形態との違い

勤務形態と似た用語に、雇用形態があります。勤務形態が「働き方」を指すのに対し、雇用形態は、企業と労働者の間で締結する「雇用契約の種類」を指す用語です。代表的な雇用形態には、以下のものが挙げられます。

●    正社員
●    契約社員
●    アルバイト
●    パートタイム労働者
●    派遣労働者

職種によって適した勤務形態が異なります。ここでは、勤務形態の種類と特徴について解説します。

勤務形態の種類と特徴

勤務形態とは?働き方の種類や特徴について解説_3

勤務形態には以下の種類が存在します。

●    固定時間制
●    変形労働時間制
●    フレックスタイム制
●    裁量労働制

職種によって適した勤務形態が異なります。ここでは、勤務形態の種類と特徴について解説します。

固定時間制

固定時間制とは、働く時間が決まっている勤務形態です。具体的には、働く曜日や始業時間、就業時間が決められています。

ただし、労働時間については労働基準法で定められており、原則として1日8時間以内・1週間40時間以内の法定労働時間を遵守する必要があります。

固定時間制とは、働く時間が決まっている勤務形態です。具体的には、働く曜日や始業時間、就業時間が決められています。

ただし、労働時間については労働基準法で定められており、1日8時間以内・1週間40時間以内の法定労働時間を遵守する必要があります。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049

固定労働時間制のメリット・デメリット

固定労働時間制には、労務管理がやりやすいといったメリットがある一方、繁忙期のスケジュール調整が難しいといったデメリットが存在します。主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

リット デメリット
・労働時間が一律のため、労務管理が容易
・人件費の算出が容易
・従業員がプライベートの予定を立てやすい
・拘束時間が決まっており、業務量に応じた勤務ができない
・繁忙期はスケジュール調整が必要
・土日が休みの場合、行政機関や銀行に行きにくい
・家族の病気といった急な予定に対応しにくい

1年の間で業務量が変動する企業の場合、固定労働時間制ではスケジュールを調整できない可能性があります。一部の部署や期間については変形労働時間制を導入すれば、業務量に応じた対応ができるでしょう。

変形労働時間制

変形労働時間制とは、労働時間を週や月、年単位で計算する勤務形態です。シフト制も変形労働時間制に含まれます。一定期間で変形労働時間制を定めた場合、一定期間の労働時間数の平均が法定労働時間内であれば、仮に一日単位でみたときに法定労働時間を超えてしまっても問題ありません。

例えば、1週目は50時間の労働が必要、2週目は30時間の労働しか必要ない場合で考えてみましょう。固定労働時間制であれば、1週目は10時間の残業が必要となる一方、2週目はやることがない時間が10時間あります。

企業側から見た場合、効率的なコスト活用とはいえません。変形労働時間制であれば、1日や1週間の労働時間を調整できるため、1週目の労働時間は1日10時間労働にする代わりに、2週目は1日6時間労働にするといった調整ができます。

繁忙期や閑散期のある職種では、変形労働時間制の導入により、残業代の削減が可能です。そのため、小売業や飲食店などで多く導入されています。ただし、1週間単位の変形労働時間制の導入は、導入可能な規模や業種が限定されているため、注意が必要です。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049_20230401_430AC0000000071&keyword=%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%B3%95

参考:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322M40000100023_20230401_504M60000100158&keyword=%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%B3%95%E6%96%BD%E8%A1%8C%E8%A6%8F%E5%89%87

変形労働時間制のメリット・デメリット

変形労働時間制には、残業代の削減や繁忙期と閑散期で労働時間の調整ができるといったメリットがある一方、労務管理が複雑になるというデメリットがあります。主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
・労働時間の調整により残業代を削減できる
・従業員のワークライフバランスに合わせて労働時間を調整できる
・労務管理が複雑
・給与計算・時間外労働時間の管理に工数がかかる

変形労働時間制は、一定期間の平均労働時間が法定労働時間内であれば、フレキシブルに労働時間を調整できます。閑散期であれば、1日8時間働く必要がないため、従業員にとってもメリハリのある働き方といえます。

労務管理や給与計算、労働時間の管理については、人事管理システムの導入により、担当者の負担を減らせるでしょう。

フレックスタイム制

フレックスタイム制は、労使協定で定めた総労働時間の範囲内であれば、従業員が始業・終業時刻を自由に設定できる雇用形態です。期間は、3ヵ月が上限とされています。

フレックスタイム制は、変形労働時間制のひとつですが、月や年単位での変形労働時間制とは、目的や労働時間帯の決定権が異なります。月や年単位での変形労働時間制は、変動する業務量に対し合理的に働くことを目的としていますが、フレックスタイム制はワークライフバランスの向上が目的です。

目的の違いにより、決定権も異なります。変形労働時間制は、業務量に応じて「企業側」が勤務時間を調整する一方、フレックスタイム制は「個人」が出勤時間や退勤時間を調整します。

フレックスタイム制を導入する多くの企業では、全員が勤務する時間帯「コアタイム」と、出社や退社が自由な時間帯「フレキシブルタイム」を設定しています。コアタイムの設定は、会議の開催やチーム内でコミュニケーションをとることが目的です。ただし、コアタイムを設定する義務はないため、コアタイムを設けない企業も存在します。

労働者にとって、ワークライフバランスが取りやすいことから、フレックスタイム制を導入する企業が増えています。

フレックスタイム制のメリット・デメリット

フレックスタイム制は、従業員のワークライフバランスがとりやすくなる反面、社内外でのコミュニケーションがとりにくいといったデメリットが存在します。主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
・従業員のワークライフバランスがとりやすくなる
・従業員の業務への責任感が向上する
・労働時間の調整により残業代を削減できる
・労務管理が複雑化する
・社内外のコミュニケーションがとりにくい
・自己管理ができない従業員は不向き

フレックスタイム制は変形労働時間制と同様に、従業員にとってもメリハリのある働き方ができ、残業代の削減にもつながります。従業員が業務量や他メンバーとの連携を自ら考えたうえで勤務時間を調整するため、業務に対する責任感や自己管理能力の向上が見込まれるでしょう。

複雑化する労務管理については、変形労働時間制と同様に、人事管理システムの導入により担当者の負担を減らせます。注意が必要なのは、管理者の理解です。毎日の定例会議の開催時間を朝早い時間帯へ設定した場合、従業員は始業時間を選べないことになります。

これでは、フレックスタイム制を導入する意味がありません。管理者がフレックスタイム制のメリットを理解したうえで、会議の定例会議の時間を設定するといった配慮が求められます。

裁量労働制

裁量労働制は、労働時間の長さにかかわらず、契約した労働時間分を働いたとみなす勤務形態です。労働基準法が定める「みなし労働時間制」のひとつで、労働時間を固定せず、始業・就業時間は、従業員の裁量に任せます。

勤務時間の把握が難しい業務や、労働者本人が勤務時間等を管理した方が良い業務に導入されています。裁量労働制で基準となる時間は「みなし労働時間」です。みなし労働時間を8時間と定めたのであれば、実際の労働時間が6時間や10時間でも8時間働いたものと扱います。

裁量労働制は、専門業務型と企画業務型に分類され、種類によって対象となる職種が異なります。

概要 対象となる職種
専門業務型 専門性が高く、業務遂行の手段や時間配分を労働者の裁量にゆだねる必要のある業務が対象。 ・研究職
・システムエンジニア
・新聞記者
・編集者
・テレビ/ラジオ制作
・デザイナー
・開発者
・士業
・コピーライター
企画業務型 事業運営において、企画・立案・調査・分析といった重要な業務を自律的に担当する労働者が対象。
上司からの指示のもとで、これらの業務を担当している場合は対象外。
・経営企画
・営業企画
・人事
・労務
・財務
・広報

また、裁量労働制以外のみなし労働時間制に、事業場外みなし労働時間制があります。事業場外みなし労働時間制は、取引先に常駐して働くといった、社外で働く従業員に対して適用されます。

裁量労働制のメリット・デメリット

裁量労働制には、従業員が自分のペースで仕事ができるというメリットがある反面、労働時間分の残業代が発生しないため、従業員のモチベーションが下がる可能性があります。主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
・従業員が自分のペースで仕事を進められる
・人件費の算出が容易
・従業員のモチベーションが下がる可能性がある
・働きすぎやワークライフバランスの悪化が起こる可能性がある

業務量によって、適正なみなし労働時間でない場合、従業員が不満を抱えてしまう可能性があります。従業員から意見を聞く機会を設け、適正なみなし労働時間かどうかを検討することも大切です。

まとめ

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勤務形態とは、労働時間や勤務日数といった「働き方」を表す用語です。固定時間制や変動労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制が主な雇用形態の種類に挙げられます。

どの勤務形態にもメリット・デメリットがあり、職種によって適した勤務形態が異なります。柔軟な勤務形態の導入は、企業が優秀な人材を確保する施策のひとつです。自社の職種や従業員の声を聞き、適した勤務形態を導入することが大切です。
 



<監修者プロフィール>
松崎 祥子 福岡県出身
法学部卒業後、大手法律事務所、社会保険労務士事務所に勤務。
コンプライアンス対応業務の経験を活かし、総合保険代理店のカスタマーサポートやマーケティングを行う一方自らも社会保険労務士・行政書士・AFP・宅地建物取引士の資格を取得。