マネジメント
女性活躍推進法は企業のダイバーシティ化にも有効!概要と導入のポイント
女性の活躍推進と経営参画を促す目的から、2003年6月に内閣府の男女共同参画推進本部は「日本の社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」という基本計画「2030計画」を決定しました。
内閣府男女共同参画局の調査では、2019年時点で上場企業の役員に占める女性の割合は長期的に上昇傾向にあるものの、5.2%と目標達成には及ばない現状となっています。
それでもさまざまな企業では女性を管理職やリーダーに登用するほか、女性が活躍できる環境を整備しようとはたらきかけています。その理由は、2016年4月に施行された「女性活躍推進法」(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)によるものです。
今回はそんな女性活躍推進法の概要や効果、企業が取り組むべきポイントについて解説します。
内閣府男女共同参画局の調査では、2019年時点で上場企業の役員に占める女性の割合は長期的に上昇傾向にあるものの、5.2%と目標達成には及ばない現状となっています。
それでもさまざまな企業では女性を管理職やリーダーに登用するほか、女性が活躍できる環境を整備しようとはたらきかけています。その理由は、2016年4月に施行された「女性活躍推進法」(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)によるものです。
今回はそんな女性活躍推進法の概要や効果、企業が取り組むべきポイントについて解説します。
目次
今知っておきたい女性活躍推進法の概要
女性活躍推進法とは、女性が仕事で活躍できるよう、企業や自治体などの事業主がはたらきかけることを義務付けた法律を指します。
女性活躍推進法では、対象となる企業に以下のことが義務付けられています。
女性活躍推進法では、対象となる企業に以下のことが義務付けられています。
1.自社の女性活躍に関する状況の把握、課題の分析
女性採用比率や勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率などを把握し、課題に落とし込む必要があります。状況把握項目にはセクシュアルハラスメントに関する各種相談窓口の相談状況、男女の賃金の差異といったものもあります。
2.課題解決に向けた数値目標と取り組みを述べた行動計画の策定、届出
把握した状況に基づき、目標や課題を解決するための取り組み内容や実施時期を策定、公表します。たとえば女性の管理職比率が低い場合は「◯◯までに管理職の××%に女性社員を登用する」といった形が挙げられます。
3.自社における女性の活躍に関する情報の公表
女性活躍推進法で定められた義務が達成できない企業に対し、罰則規定はありません。
しかし自社における女性の活躍について届け出た情報は、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に掲載され、誰でも検索、閲覧することが可能になります。こちらに掲載されている、女性の活躍推進に積極的な企業は採用率や離職率にも大きく関わってくるでしょう。
しかし自社における女性の活躍について届け出た情報は、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に掲載され、誰でも検索、閲覧することが可能になります。こちらに掲載されている、女性の活躍推進に積極的な企業は採用率や離職率にも大きく関わってくるでしょう。
2019年に改正された女性活躍推進法の内容
女性活躍推進法は、2019年5月に一部を改正する法案が成立しました。以前までは常時雇用する労働者が301人以上の企業について、自社の女性活躍に関する情報の公表や課題分析などが義務づけられていましたが、成立した法令が施行される2022年4月1日には101人以上300人以下の事業主についても取り組みが義務化されます。。
加えて常時雇用する労働者が301人以上の事業主には、行動計画に数値目標を2つ以上定めることが求められるようになりました。原則として以下の①・②の区分ごとに1つ以上の項目を選択、それぞれ関連する数値目標を定めた行動計画の策定届を管轄の都道府県労働局まで届け出る必要があります。
(例)
①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
・採用した労働者に占める女性労働者の割合
・管理職に占める女性の割合
・男女別の再雇用または中途採用の実績
②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
・男女の平均継続勤務年数の差異
・男女別の育児休暇取得率及び平均取得期間
状況把握・課題分析の結果、上記の①または②の区分のどちらか一方の取り組みが既に進んでおり、もう一方の取り組みを集中的に実施することが適当と認められる場合には、①または②のどちらかの区分から2項目以上を選択して、関連する数値目標を定めても問題ないとされています。
加えて常時雇用する労働者が301人以上の事業主には、行動計画に数値目標を2つ以上定めることが求められるようになりました。原則として以下の①・②の区分ごとに1つ以上の項目を選択、それぞれ関連する数値目標を定めた行動計画の策定届を管轄の都道府県労働局まで届け出る必要があります。
(例)
①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
・採用した労働者に占める女性労働者の割合
・管理職に占める女性の割合
・男女別の再雇用または中途採用の実績
②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
・男女の平均継続勤務年数の差異
・男女別の育児休暇取得率及び平均取得期間
状況把握・課題分析の結果、上記の①または②の区分のどちらか一方の取り組みが既に進んでおり、もう一方の取り組みを集中的に実施することが適当と認められる場合には、①または②のどちらかの区分から2項目以上を選択して、関連する数値目標を定めても問題ないとされています。
女性活躍推進法に取り組むメリット
企業は女性活躍推進法に基づき、働きやすい環境を整えることでどのようなメリットがあるのでしょうか。
優秀な人材の確保
女性の活躍を推進している企業では、社員の希望に沿ってスキルアップの機会が提供されている傾向にあります。明確なビジョンを持ち、キャリアアップを目指しているような優秀な人材が応募するチャンスとなるでしょう。
定着率アップ
必要に応じて勤務時間を調整できる制度など、柔軟な働き方は育児や介護と仕事の両立を可能にします。結婚や出産など、ライフイベントによって仕事から離れざるを得なかった女性社員が継続して勤務できる企業は、定着率のアップにもつながります。
社員満足度の向上
女性活躍推進法の取り組みには、残業時間の削減や有給休暇の取得率向上をはじめ、年齢や性別を問わず、社員がより良く働ける環境づくりにつながるものがあります。どんな社員にとっても働きやすい職場環境であることは、社員満足度の向上にも効果的です。
えるぼし認定
また、女性活躍推進法には、女性の活躍推進にまつわる行動計画の策定と届出をおこない、一定基準を満たした企業を「えるぼし認定」とする認定制度があります。
えるぼし認定には「採用」や「管理職比率」、「多彩なキャリアコース」をはじめとする項目のうち、評価項目を満たした項目数に応じて1段階~3段階までの認定段階が変わります。2020年6月末時点において、段階を問わずえるぼし認定されている企業は1,009社、3段階目までの認定を受けている企業は710社となっています。さらに女性活躍推進法の改正により、3段階目のさらに上の「プラチナえるぼし」が新たに設定されるようになりました。
えるぼし認定を受けると名刺やホームページに認定マークを記載できるため、女性の活躍の推進を社外にも広くアピールすることが可能となります。
えるぼし認定には「採用」や「管理職比率」、「多彩なキャリアコース」をはじめとする項目のうち、評価項目を満たした項目数に応じて1段階~3段階までの認定段階が変わります。2020年6月末時点において、段階を問わずえるぼし認定されている企業は1,009社、3段階目までの認定を受けている企業は710社となっています。さらに女性活躍推進法の改正により、3段階目のさらに上の「プラチナえるぼし」が新たに設定されるようになりました。
えるぼし認定を受けると名刺やホームページに認定マークを記載できるため、女性の活躍の推進を社外にも広くアピールすることが可能となります。
導入事例から学ぶ、企業がおこなうべき取り組み
女性が活躍できる環境づくりとして、さまざまな企業が取り組みを進めています。導入事例を参考に、企業の取り組みを学びましょう。
育児をしながら働く女性をサポート
さまざまなウェブサービスを提供する企業では、育児と仕事を両立させようとする女性社員を手厚くサポートしています。
たとえば入園・入学式や遠足といった学校行事に特別休暇を取得できる制度、保育園料を一部サポートする制度など、自社で長く働けるような制度を設けています。
女性活躍推進法では女性の管理職登用も重要な要素ではありますが、必ずしも全ての女性社員がキャリア形成を望んでいるとは言い切れません。我が子と一緒にいられる時間をキープしつつ、職場に復帰することを望む女性社員もいます。「管理職に登用する」「出世できるようにキャリア形成をサポートする」といった形だけではなく、ワークライフバランスを見直すような制度も、女性が活躍できる社会の一部です。
たとえば入園・入学式や遠足といった学校行事に特別休暇を取得できる制度、保育園料を一部サポートする制度など、自社で長く働けるような制度を設けています。
女性活躍推進法では女性の管理職登用も重要な要素ではありますが、必ずしも全ての女性社員がキャリア形成を望んでいるとは言い切れません。我が子と一緒にいられる時間をキープしつつ、職場に復帰することを望む女性社員もいます。「管理職に登用する」「出世できるようにキャリア形成をサポートする」といった形だけではなく、ワークライフバランスを見直すような制度も、女性が活躍できる社会の一部です。
アンケートの実施
ある建設会社では、人手不足の中で男女共に応募が少ないことに課題を感じていました。その状況から「女性が気持ちよく働ける環境が当たり前の会社」を目指すため、女性社員に職場環境についてのアンケートを実施。その結果、建設現場で更衣室やトイレがないことが不満であると知り、建設現場に女性用トイレと更衣室を完備した車を設置、女性技術者の採用を意識したパンフレットを制作しました。
女性が活躍できる会社を目指すうえで、女性社員の生の声を聞くことは必須です。企業側が独断で設けた制度や設備が、女性社員の本当に望んでいるものとは限りません。実情を知り、課題の解決に向けて動けるようにまずはアンケートを実施するのが最適です。
女性が活躍できる会社を目指すうえで、女性社員の生の声を聞くことは必須です。企業側が独断で設けた制度や設備が、女性社員の本当に望んでいるものとは限りません。実情を知り、課題の解決に向けて動けるようにまずはアンケートを実施するのが最適です。
女性社員や管理職への理解
女性の活躍を推進するためには、社内で女性社員や管理職への理解を進めていくことも求められています。
不動産事業をおこなうある企業では、女性社員に対して期待を伝えるポジティブアクションセミナーを行なっています。女性社員の中には昇格の機会を得ても「今よりも責任のある役職で勤務するのは自分にとって難しいのではないか」と不安を感じる人もいます。そんな女性社員の不安や戸惑いを解消し、一歩踏み出すための勇気が持てるように企業側で背中を押してあげられる場を持つことも、女性社員が働きやすい環境づくりには欠かせません。
不動産事業をおこなうある企業では、女性社員に対して期待を伝えるポジティブアクションセミナーを行なっています。女性社員の中には昇格の機会を得ても「今よりも責任のある役職で勤務するのは自分にとって難しいのではないか」と不安を感じる人もいます。そんな女性社員の不安や戸惑いを解消し、一歩踏み出すための勇気が持てるように企業側で背中を押してあげられる場を持つことも、女性社員が働きやすい環境づくりには欠かせません。
まとめ
女性活躍推進法は、年齢や性別にとらわれず、誰もが活躍できる「一億総活躍社会」の実現に向けた施策です。男性が中心になることが多かった社会の中で、今後企業が女性社員がいきいきと働くことができるようサポートをおこなうのはダイバーシティ化が求められるうえで必須といえるでしょう。
政府の認定を受けている企業の成功事例を参考に、自社でできる取り組みを検討するところから始めましょう。
政府の認定を受けている企業の成功事例を参考に、自社でできる取り組みを検討するところから始めましょう。