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RPO(採用アウトソーシング)の特徴やメリット・デメリットとは

RPO(採用アウトソーシング)の特徴やメリット・デメリットとは

採用手法の多様化が進むにつれ、採用業務の負荷増加に悩んでいる企業があります。その解決策となるのがRPOです。RPOとは採用業務を外部委託することを指し、採用業務の負荷を軽減することを目的として、RPOを利用する企業が増えてきました。

本記事では、RPOの概要やRPOを利用するメリット、デメリットとともに、費用や利用する際のポイントについて解説します。

RPO(採用アウトソーシング)とは

RPOとは、「Recruitment Process Outsourcing」(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)の略で、採用業務を外部委託することを指します。1980年代、アメリカで発展した事務代行サービスが業務範囲を広げ、採用業務まで代行する企業が現れたことがはじまりです。

日本では2000年代から普及し、現在では人材紹介会社や人材派遣会社が採用代行サービスを提供しています。採用代行サービスを専門とする企業もでてきました。

・RPOが注目されている背景
日本では、少子高齢化による労働人口の減少が進んでいます。労働人口の減少により、採用市場は売り手市場となり、人材獲得競争は激化の一途をたどっています。今や、企業は求職者を選ぶ立場ではなく、選ばれる立場へと変化したのです。

そのため、これまでの採用手法だけでは、競合との差別化ができず、優秀な人材の確保ができません。自社が求める人材を獲得するには、企業理念や風土、社会貢献といった自社の魅力を知ってもらうことが重要となりました。それにより、求人採用媒体だけではなく、自社の採用サイトやSNSなど、採用手法が多様化してきました。

また、優秀な人材は複数の企業から評価される可能性が高いです。内定を出したとしても、辞退されるケースがあるため、採用担当者には候補者とのコミュニケーションや丁寧な対応が求められます。

競合との差別化や候補者とのやり取りなど、企業の採用業務の負荷が増加し、自社の人材だけでは対応できないことが増えてきました。自社の採用業務負荷を軽減するため、採用業務を外部委託する企業がでてきたのです。

・RPOでお願いできること
RPOで依頼できる業務は、候補者の管理や採用試験の日程調整などの事務的業務だけではありません。採用計画の立案や母集団形成、内定者フォローまで多岐にわたります。

RPOで依頼できる業務 内容
採用計画の立案 ・採用部署や人材要件、採用時期、採用人数の計画
母集団の形成 ・採用チャネルの企画やブランディング戦略の策定
・複数の求人媒体への出稿手続きや説明会の企画運用、エージェントへの依頼
選考対応 ・書類選考や採用試験の実施、候補者との日程調整
内定者のフォロー ・内定通知書の送付や入社前後のフォロー
レポーティングや改善提案 ・採用業務における目標管理と課題の分析
・分析結果をもとにした改善や施策提案

RPOが向いている企業

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RPOが向いているのは、以下の条件に該当する企業です。

● 採用する職種や人数が多い
● すぐに人材を採用したい

● 採用が成功していない

ここでは、それぞれの条件と、RPOを活用する効果について解説します。

● 採用する職種や人数が多い企業
採用手法は、職種によって異なります。例えば、専門的なスキルが必要な職種の人材を獲得したい場合、求人媒体だけで人材を獲得するのは簡単ではありません。ダイレクトリクルーティングといった、候補者に対して自社からアプローチが必要なケースがあります。

採用する職種が多い場合、採用手法が多様化するため、業務管理が煩雑になるケースがあります。業務管理のサポート役となるのがRPOです。RPOを活用することにより、煩雑になりがちな採用業務管理の負荷を軽減できます。

また、採用人数が多い場合もRPOの活用が有効です。採用人数が多ければ候補者も多くなるため、事務工数も増加します。特に、一時的に大人数の採用が必要な場合、自社の採用担当者だけでは対応できないケースもあるでしょう。

採用業務の負荷が高い企業は、RPOが向いている企業といえます。

● すぐに人材を採用したい企業
社内事情により、早急に人材を採用したいケースにもRPOは有効です。早急な採用が必要な場合、自社の採用担当者だけでは対応できないケースがあります。RPO代行会社を利用すれば、一時的な業務負荷への対応が可能です。

RPOのサービスには、アウトソース先の社員が提供企業に常駐するタイプがあります。提供企業自社内でコミュニケーションを取りながら進められるため、スムーズに採用活動を進められます。

● 採用がうまくいっていない企業
採用が成功していない企業にもRPOは有効です。求める人材の獲得がうまくいっていない企業は、採用活動に変化を加える必要があります。しかし、自社だけで新しい手法を取り入れることは簡単ではありません。

採用活動のプロフェッショナルであるRPO代行会社を活用することにより、自社にはないノウハウを活用した採用活動ができます。効果のある採用活動を進めるためにも、RPOの活用は有効です。

RPOを利用するメリットとデメリット

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RPOを利用した場合、自社の業務負荷を軽減できるだけではなく、コスト抑制や品質向上といったメリットがあります。ただし、すべての採用業務を委託した場合、ミスマッチの発生や自社に採用ノウハウが蓄積されない可能性が考えられるため、注意が必要です。

ここでは、RPOを利用するメリットとデメリットについて解説します。

・メリットは負荷軽減だけではないこと
採用業務は書類対応や候補者への連絡など、工数が必要な事務作業が少なくありません。RPO代行会社の利用により、自社の採用担当者は採用戦略の策定や面接といった、自社の社員しかできない業務に専念できます。

事務作業であれば、自社で社員を採用するよりも、RPO代行会社を利用したほうがコストを抑えられる場合もあります。RPOの代行会社は、採用活動のプロフェッショナルです。採用に関するノウハウを保有しているため、自社では取り組めなかった採用手法にも取り組めます。

外部の立場から、客観的なアドバイスをもらえる可能性もあるでしょう。RPOを利用すれば、業務負荷の軽減やコストだけではなく、優秀な人材の採用といった採用業務の品質面でも効果のある採用活動になります。

・デメリットはノウハウが蓄積されないこと
RPOは、採用計画の立案から内定者フォロー、改善提案までの採用業務を一貫して委託することも可能です。しかし、すべての採用業務を委託した場合、自社の理念や風土とマッチしない人材が採用されてしまうことが考えられます。

また、すべての採用業務を委託した場合、自社に採用ノウハウが蓄積されません。たとえ、採用手法の改善提案を受けていたとしても、現場の細かなノウハウを理解することは簡単ではないでしょう。

ミスマッチ防止やノウハウを自社に蓄積するためにも、RPO代行会社とコミュニケーションをとり、認識合わせや情報共有の機会を設けることが大切です。

RPOにかかる費用

RPOにかかる費用は、業務内容や採用人数だけでなく、料金体系やプランによって異なります。料金体系には、以下の種類が存在します。

●    従量課金制:面接代行や面接日時の設定といった業務ごとに料金を設定する
●    月額固定制:パッケージ化して月額料金を設定する
●    成果報酬制:採用が決定したタイミングで報酬が発生する

従量課金制は、必要な業務のみ委託できるため、採用業務の一部を委託したい場合や、時期によって業務量が変動する場合におすすめです。業務内容ごとの料金はサービスによって異なります。

月額固定制は、契約時に決めた業務範囲であれば追加料金が発生しません。そのため、委託できる予算が決まっている企業や継続的に業務が発生する企業におすすめの料金体系です。月額固定制の費用相場は、月額5万~100万円といわれています。

成果報酬制は、内定者の年収×〇%や、応募1件当たり〇円といった条件が一般的です。

また、雇用形態によっても費用が異なるケースがあります。「就職白書2020」によると、2019年度の1人あたりの平均採用コストは以下のとおりでした。

●    新卒採用:93.6万円
●    中途採用:103.3万円

2021年以降、採用コストに関する費用は掲載されていないものの、「就職白書2022」では、2023年度の採用に費やす総費用の見通しが発表され、以下の結果となりました。

●    昨年度と同額:67.1%
●    増加する:22.9%
●    削減する:10%

これらの情報をベースとしてRPOの費用を検討すると良いでしょう。

参考:就職みらい研究所「就職白書2020
参考:就職みらい研究所「就職白書2022

RPOサービスを選ぶ際のポイント

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RPOサービスを選ぶ際は、これまでの実績やセキュリティ体制について確認する必要があります。ここでは、それぞれのポイントについて解説します。

・実績
RPOのサービス選びのポイントとして、実績が挙げられます。新卒採用と中途採用では採用プロセスが異なるため、RPO代行会社によって得意な領域が存在します。規模感やボリュームによっても得意な企業は分かれるでしょう。

これまでの実績や成功事例を確認し、自社で求めているスキルとマッチするのかを見極めましょう。

・セキュリティ体制
セキュリティ体制も確認が必要です。採用業務は多くの個人情報を取り扱います。RPO代行会社の管理体制の不備により個人情報が漏えいした場合、自社のイメージ低下につながります。

自社と候補者を守るためにも、個人情報の管理体制について確認する必要があります。プライバシーマークや、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証を受けていることはもちろん、従業員教育を定期的に実施しているかどうかも確認しましょう。

RPOを導入する際のポイント

RPOを導入する際は、以下のポイントを抑える必要があります。

● 採用ターゲットの具体化
● 業務範囲を明確にする
● 任せっきりにしない


ここでは、RPOを導入する際のポイントについて解説します。

● 採用ターゲットの具体化
RPO導入時は、採用ターゲットを具体化することがポイントです。「明るい」「意欲がある」といった抽象的なものではなく、必要なスキルや考え方、年齢といった採用したい人材の人物像を具体的に言語化し、RPO代行会社と共有する必要があります。

採用ターゲットを具体化し、共有することにより、採用後のミスマッチの防止につなげていくことができるでしょう。

● 業務範囲を明確にする
業務範囲を明確にすることも大切です。採用業務の範囲は多岐にわたります。業務の一部を委託した場合、業務範囲の境界が曖昧になるケースがあります。特に、自社のメンバーが自分の判断で、契約範囲外の業務を依頼してしまうケースは珍しくありません。

契約外の業務を依頼した場合、トラブル発生や追加コストが発生する可能性もあります。RPO代行会社との間で、業務範囲や業務内容を明確に決めることはもちろん、自社内でも業務範囲の理解を徹底することが大切です。

● RPO代行会社に任せっきりにしない
RPO代行会社に採用業務を任せっきりにしないこともポイントです。採用業務を一括で委託した場合、自社の社員が進捗を把握しないまま採用プロセスが進んでしまうケースがあります。

その場合、自社が把握していないところでトラブルが発生したり、採用後にミスマッチが発生したりするケースは珍しいことではありません。日常的に進捗を確認できる仕組みをつくることはもちろん、レポート確認やミーティングの開催により、方向性を定期的に確認し、状況によっては軌道修正することが大切です。

委託したとはいえ、採用業務は自社の業務です。任せっきりにするのではなく、当事者意識を持って取り組みましょう。

まとめ

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RPOとは採用業務を外部委託することです。RPOは、候補者の管理や採用試験の日程調整だけではなく、採用計画の立案や母集団形成、内定者フォローまで多岐にわたる業務を依頼できます。

RPOを利用したメリットとして、業務負荷の軽減やコスト抑制や、採用業務の質向上が挙げられます。一方、デメリットは、ミスマッチの発生や自社に採用ノウハウが蓄積されない可能性があることです。

RPOを導入する際は、採用ターゲットを具体化し、委託する業務範囲を明確にしましょう。RPO代行会社と方向性を定期的に確認し、状況によっては軌道修正をすることがポイントです。

RPOのメリットやデメリットを理解し、自社の状況や予算を見極めたうえで、効果的な採用活動に取り組みましょう。
 



《ライタープロフィール》
ライター:田仲 ダイ
エンジニアリング会社でマネジメントや人事、採用といった経験を積んだのち、フリーランスのライターとして活動開始。現在はビジネスや教育関連の分野を中心に幅広いジャンルで執筆を手掛けている。