派遣社員の年収はどのくらい?時給が高い職種や年収の上げ方について解説
派遣社員で働く場合、気になるのは年収ではないでしょうか。派遣社員の時給は、地域や職種によって差があるものの、正社員と比べると月収では大きな差がありません。しかし、年収になった場合は年収に大きな差が生じる可能性があります。
本記事では、派遣社員の年収や正社員との年収の違い、時給が高い職種を紹介するとともに、年収の上げ方についても解説します。
派遣社員の平均月収
リクルートの調査研究機関「ジョブズリサーチセンター(JBRC)」が、派遣スタッフ募集時平均時給調査を実施しました。平均時給から派遣社員の平均月収を算出すると、約26万円となっています。
ここでは、三大都市圏における派遣社員の平均時給と職別の時給、時給から算出した派遣社員の平均月収について紹介します。
派遣社員の平均時給は1,611円
株式会社リクルートの調査によると、2023年2月の三大都市圏(関東・東海・関西)における派遣社員の平均時給は 1,611円でした。前年同月より36円増加しており、右肩上がりとなっています。 都市圏によって平均時給が異なり、それぞれの平均時給は以下のとおりです。首都圏(関東)のほうが時給が高いことがわかります。
● 関東:1,705円
● 東海:1,429円
● 関西:1,443円
一方、職種別では以下の結果となっています。
● オフィスワーク系:1,583円
● 営業・販売・サービス系:1,475円
● 製造・物流・清掃系:1,366円
● IT・技術系:2,202円
● クリエイティブ系:1,887円
● 医療介護・教育系:1,473円
このうち、「製造・物流・清掃系」「IT・技術系」の2職種は、過去最高額を更新しています。専門知識や技術を問われる職種のほうが、時給が高いことがわかります。
参考:リクルート「2023年2月度 派遣スタッフ募集時平均時給調査」
派遣社員の平均月収
派遣社員の時給をもとに月収に換算します。1日8時間勤務で20日出勤した場合の平均月収は、以下のとおりです。
派遣社員の平均月収:1,611円×8時間×20日=257,760円→約26万円
都市圏ごとに算出すると以下のとおりです。
● 関東:1,705円×8時間×20日=280,000円→28万円
● 東海:1,429円×8時間×20日=228,640円→約23万円
● 関西:1,443円×8時間×20日=230,880円→約23万円
首都圏と東海・関西では収入に差があることがわかります。
派遣社員の平均年収
派遣社員の年収は、月収の12ヵ月分で計算できます。派遣社員は、月収では正社員と大きな開きがないものの、年収になると差が生じます。正社員との年収に差が出る理由は、給料以外の収入があるためです。
・平均月収×12で算出
派遣社員の平均月収をもとに年収を算出した場合の、平均年収は以下のとおりです。
派遣社員の平均年収:257,760円×12ヵ月=3,093,120円→約309万円
都市圏ごとの平均年収は以下のとおりです。
● 関東:280,000円×12ヵ月=3,360,000円→336万円
● 東海:228,640円円×12ヵ月=2,743,680円→約274万円
● 関西:230,880円×12ヵ月=2,770,560円→約277万円
首都圏と東海・関西の収入差は、年収にするとさらに大きくなります。
・正社員との年収の違い
国税庁の調査によると、日本全国における2021年の正社員平均年収は、508万円でした。前述したとおり、三大都市圏における派遣社員の平均年収は約309万円です。正社員と派遣社員では、200万円もの差があります。
月収で比較した場合は、年収ほどの差はありません。国税庁の調査では、正社員の平均月収は約31万円でした。派遣社員の平均月収は約26万円であり、年収ほどの差はありません。
年収で大きな差となる要因は、ボーナスや手当の存在です。正社員には、ボーナスや各種手当といった月収以外の収入がある一方、派遣社員の収入は基本的には時給しかありません。時給以外に支給される収入の分だけ、年収に差が生じるのです。
しかし、派遣社員は正社員よりも休日出勤や残業などの出勤時間の制限が少ないため、ライフスタイルや状況に応じた働き方を選択できます。たとえ正社員よりも年収が低くても、プライベートや家族を優先したいのであれば、派遣社員として働くほうが充実した生活を送れるでしょう。
《関連記事》
派遣スタッフの給料はどう決まる? 平均給料や他の雇用形態との違いを紹介
参考:国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」
参考:国税庁「令和3年賃金構造基本統計調査」
時給が高い職種
派遣社員でも、平均時給が高い職種が存在します。平均時給が2,000円を超える職種は以下のとおりです。
SE・プログラマー・ネットワークエンジニア:2,570円
運用管理・保守:2,253円
設計(電子・機械・建築);2,342円
テスト・評価:2,052円
看護師・准看護師:2,134円
IT・技術系やクリエイティブ系のような職種は、時給が高くなっています。また、オフィスワークでも、通訳・翻訳の時給は1,997円と約2,000円です。専門的な技術が必要とされる職種は時給が高いことが見て取れます。
収入を上げるにはどうすればいい?
派遣社員が収入を上げるには、資格や専門的な技術を身につけたり、派遣会社と相談したりする必要があります。また、賃金が高い派遣会社と契約することにより、収入を上げるのも方法のひとつです。ここでは、派遣社員が収入を上げる方法について解説します。
・資格や専門的な技術を身につける
派遣社員が収入を上げるには、スキルを身につけることです。前述したように、派遣社員でも専門知識や技術が必要とされる職種であれば、高い収入を得られます。派遣先の業界に関係する知識を身につけたり、関連する資格を取得したりすれば、高度な業務を任せてもらえる可能性もあるでしょう。
例えば、経理であれば簿記取得、英語を使う機会が多いのであれば英語を勉強しTOEICで高得点をとるといったスキルアップが挙げられます。働きながらスキルアップをすることにより、収入アップとともに、仕事の幅も広がるでしょう。
・派遣会社と相談する
派遣会社と相談することも、派遣社員が収入を上げる方法です。派遣社員の場合、賃金や労働条件は、登録している派遣会社と派遣先との契約のもとに定められています。そのため、賃金交渉をするのであれば、まずは派遣会社の担当との相談が必要です。
ただし、派遣会社の担当者は「賃金が上がるだけの価値」があることを派遣先に対して提示して、はじめて交渉できます。そのため「一定以上のスキルを持っている」「成果を出している」といった「価値を証明できる材料」がなければ交渉できません。
スキルや成果といった交渉材料を持ったうえで、交渉に挑みましょう。
・派遣先を変える
派遣先を変えることも、派遣社員が収入を上げる方法のひとつです。前述したように、派遣料金は、登録している派遣会社と派遣先との契約で決まっています。契約料金が高い派遣先に変更すれば、収入が上がる可能性があるでしょう。
しかし、派遣会社は派遣先と契約することにより事業が成り立っています。派遣社員が頻繁に変更するといった事態が続けば、派遣会社と派遣先との信頼関係が崩れる可能性が考えられます。そのため、頻繁に派遣先を変更することを、良く思わない派遣会社もあるでしょう。
ただし、契約更新時や契約満了のタイミングであれば、派遣先に迷惑がかかることはありません。タイミングを見計らったうえで派遣先を変更すると良いでしょう。
まとめ
派遣社員の平均月収は、約26万円です。一方、正社員の平均月収は約31万円と派遣社員と比べて大きな差はないものの、年収では約200万円もの差が生じます。その理由は、ボーナスや手当の存在です。
ただし、派遣社員でもIT・技術系やクリエイティブ系のような、専門的な技術が必要とされる職種であれば、平均時給は2,000円を超えます。資格や専門的な技術を身につければ、派遣社員であっても高い収入を得られるのです。
- ライター:田仲 ダイ
- エンジニアリング会社でマネジメントや人事、採用といった経験を積んだのち、フリーランスのライターとして活動開始。現在はビジネスや教育関連の分野を中心に幅広いジャンルで執筆を手掛けている。