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育休取得後、選択した「専業主夫」というライフスタイル

育休取得後、選択した「専業主夫」というライフスタイル

株式会社LASSIC(ラシック)は「『らしく』の実現をサポートする」を企業理念に、WEBシステムの構築支援や地域自治体向けの課題解決支援などをおこなっている、鳥取県に本社を置く企業です。

今回は、出向先の大手人材派遣会社で、勤怠管理・帳票出力業務自動化の開発チームのプロジェクトリーダーを担当されている山下明代さんと、専業主夫として全面サポートをしている山下徹夫さんに現在のライフスタイルを選択された経緯とワークスタイル(働き方)についてお話を伺いました。

妻の「仕事を続けたい!」という気持ちを
尊重して専業主夫へ

育休取得後、選択した「専業主夫」というライフスタイル_1

― 現在のライフスタイルを選択されたきっかけを教えていただけますか?

山下明代さん(以降明代さん) 夫とは前職の同期だった縁で知り合い、2010年頃に結婚しました。実は、結婚前からなんとなく「専業主夫」というライフスタイルについて、2人で話をしていました。私の方が仕事をして、将来仕事で社会の役に立ちたいという思いが強くて。なので、結婚を意識しはじめたころに「専業主夫ってどう思う?」と思い切って夫に聞いてみました。そしたら意外といい返事がもらえて。そのあとは、流れと勢いで選択してきた部分も強かったと思います。結婚を決めた翌月には入籍して、それからまもなく妊娠し、当時勤めていた会社に夫と2人で育休を取得したいことを伝えました。
また、このスタイルを選択しようと思った理由の1つとして、保育園に入れなかったこともあります。現在は待機児童解消に向けて国や自治体など色々動いていると思いますが、当時は厳しい状況でした。0歳児のときに区役所に行って申請の書類を出しましたが、「入れないと思いますよ」と言われてしまって。

― 専業主夫を引き受けた背景には、家事が得意だったり好きだったことが影響しているのでしょうか?

山下徹夫さん(以降徹夫さん) 家事は特別好きでも嫌いでもなかったですね。けれども少し興味がありました。だから妻から専業主夫の話が出てきたときは驚きましたが、「じゃあ、やります」と受け入れました。実は結婚するまで、家事経験もなかったので、最初の頃はネットなどで料理や掃除の仕方を調べながらやっていました。

― 家事経験はなかったのですね。それでは慣れないことの連続で大変だったと思いますが、ストレスを感じることはありましたか?

徹夫さん 大変だと感じたことはありませんね。たぶん一番大変な最初の1年間は、2人で育休をとっていたことも影響していたかもしれません。

明代さん 本当、あんまり苦にしてないよね。確かに赤ちゃんの時はずっと一緒にいたから、私も助かったけど、私が復職してからはずっと子どもと2人で過ごしているのに、ストレスをあまりためないところが本当にすごいと思う。私だったらきっと、ストレスがたまって「家事も育児も私ばっかり!」とか思っちゃいそう。

家事や育児など夫の全面的サポートに感謝

育休取得後、選択した「専業主夫」というライフスタイル_2

― まだまだ夫婦で育休を同時取得する方は多くないと思いますが、育休はとりやすい環境だったのですか?

明代さん 勤めていた会社では、男性の育休消化率がまだ1%くらいで、異例中の異例でしたね。会社中で噂になったくらい。でも私が復職することは事前に伝えてあったので、産まれる1か月前から2人で約1年間育休をとって、そのまま夫は専業主夫として家事や育児をおこない、私はSE(システムエンジニア)として復職を果たしました。2人同時に育休をスムーズに取得できたのは、プロジェクト単位で仕事が区切られるので、その切れ目にうまく休むことができたことも影響していると思います。当時はあまり育休をとる男性がいなかったので、夫に「周りの目とか気になったりする?」と聞いたことがあります。けれども夫は「気にならない」と。

徹夫さん そうですね。それより子どもの成長をできるだけ近くで見守りたい気持ちが強かったですね。

明代さん そういう夫だから、今の生活ができていると思っています。料理の腕もどんどんあがって、今ではレパートリーも増えて私よりできるくらい。家に帰ったら、美味しい料理が作ってある。本当感謝しています。

山下さん ご夫婦が育休取得したことによって、背中を押された人もいたかもしれませんね。育休明けからは、家事全般は旦那さまが担当されているのですか?

明代さん はい、夫が担当してくれています。平日は私の帰りが遅いので、家事と育児全て担当してもらって、私は仕事に専念するという感じで役割分担していますね。休日は午前中に少しだけ掃除して、午後は寝ているか、仕事関連の勉強をしているか。
今はちょっと子どもの手が離れ始めているので、自分の時間を持たせてもらっちゃっています。出かけたとしても、子どもを図書館に連れて行ったり、近所でお買いものや公園に行ったりするとかですね。

小さな不満は許容して、
お互いを思いやる気持ちを大切に

育休取得後、選択した「専業主夫」というライフスタイル_3

― 専業主夫については、交際当時から話をされていたということですが、役割分担をスタートしてみて苦労されたことはありましたか?

徹夫さん それほど不満に思うこともなく、苦労という苦労は感じませんでしたね。あっても本当に小さいことで、気にならないレベルです。家事を投げ出したくなったり、たまには1人でのんびりしたいと思ったこともないかな。ただ子どもが幼稚園に通うようになって、幼稚園のお母さん方と仲良くなるまでは、かなりの勇気が必要でした。近くの広場に誘っていただけるようになってからは、仲良くなってそれもなくなりましたけど。最近では、ときどき一緒にお昼を食べたりするまで仲良くしてもらっています。

明代さん そうなの?…そのくらい私は把握してなくて、夫に任せています。
私の方も苦労というほどのものはありませんね。それでもやっぱり、大変に感じることはあります。だけど、不満は言わないようにしようと決めています。夫は不満を一切言わない人なので、それがうまくいっている秘訣なのかも。
細かいことをいえば、お互い家事の気になるレベルが違うとか、小さなことはいっぱいあると思うんです。だけどそういうことは「自分でやる」ようにしていますね。「私が仕事してるんだからやりなさいよ!」とは思わず、お互いやれる範囲でやることにしています。

明代さん は、現在プロジェクトリーダーとして、お客様とのやりとりから帳票処理の自動化プログラムまで全て担当されているということですが、お仕事の魅力は何でしょうか?

明代さん やっぱり一番は、自分の仕事で多くの人のワーク・ライフ・バランスに少しでも貢献できるというところですね。現在手掛けている仕事でいえば、自動化プログラムを導入することによって、日々の手作業でおこなっていた5分、10分を軽減するお手伝いができます。
あとは、LASSICは、本社が鳥取県で、他の地域にも拠点がある企業なので、異なる事業所間でリモートを使って仕事をする機会が多くあるのですが、一度も顔を合わせたことがない人と冗談とかを言いながら仕事できるくらいすごく仲良くなれました。先週会社のキックオフがあって、全国からみんな鳥取県に集まって、初めて実際にお会いしました。離れていても良好な人間関係が構築できる環境・雰囲気も魅力の一つだと思っています。

― リモートだけのコミュニケーションで冗談を言えるまで仲良くなるのは、凄いですね。良好なコミュニケーションをとっていくコツみたいなものがあれば教えてください。

明代さん 仕事以外の話を色々して、「相手の事を知る」ということかな。それでチームが上手く回っているのをチームメンバー全員が感じていて、それが良かったのかなと思っています。それからコミュニケーション全体の話としては、男女関係なく会話ができるように、私は野球やプロレス、競馬、麻雀、車など男性向けの話題や漫画、映画、ファッション、美容、音楽など女性向けの話題まで幅広く知識を取り込むことを心がけています。

今のライフスタイルを維持しながら、
次の目標に向かっていきたい

育休取得後、選択した「専業主夫」というライフスタイル_4

― プライベートや仕事面で、今後目標にしていることなどはありますか?

明代さん 私は今後も仕事に注力するつもりでいます。転職してお客様とやり取りするようになって初めて、わかりやすく説明することを意識するようになったり、ヒアリングの難しさに直面したりして、反省と勉強の日々を送っています。これからもこの仕事を続けて私自身を成長させて、もっと責任ある立場になりたいと思っています。しばらくは夫に家庭任せて仕事をしつつ、ワーク・ライフ・バランスをもう少し改善していきたいですね。家庭のスタイルとしては、このまま専業主夫の家庭を続けるというのもありだし、子どもの成長にあわせて夫も短時間で働くというのも良いのかなと思っています。夫婦で相談しながら、決めていけたら良いなと考えています。

徹夫さん 来年子供が小学生になるので、そのタイミングで考えるかもしれません。ただ今は、まだ具体的には考えていませんね。働くとしても子どもが帰ってくる時間には家にいたいので、フルタイムではなく短時間でしょうか。子どもが好きなので、幼稚園などで保育補助みたいな仕事ができれば良いですね。

インタビューを終えて

山下さんご夫婦のお互いを思いやる気持ちやお子さまを大切に想う気持ちが、言葉の端々から伝わってくるようでした。それぞれの目指す方向が明確になっているからこそ、家族として同じ方向に進めるのではないでしょうか。奥さまの仕事への情熱や旦那さまの力強いサポートが家族の大きな力となっているのだなと感じました。