閉じる

「仕事でミスが多い人」の特徴やミスを防ぐための対策を解説

「仕事でミスが多い人」の特徴やミスを防ぐための対策を解説

日常的にミスを繰り返していると、信用を失ってしまうことになり、成長するチャンスも与えてもらいにくくなります。なぜ、ミスを繰り返してしまうのか。どうすれば、ミスを防ぐことができるのか。ミスを起こす原因とその対策法を紹介します。また、ミスをして気持ちが塞ぎ込んでしまった時の立ち直る方法などもお伝えします。

目次

仕事でミスが多い人の特徴

仕事でミスが多い人には、いくつかの共通した特徴があります。自分に当てはまっていないかチェックしてみましょう。

いつも余裕がない

よく仕事でミスを起こしてしまう人には、心や時間に余裕がないタイプが多いです。常に仕事に追われて、時間に余裕がない人は、仕事をこなすことで精一杯になり、入念にチェックすることができず、仕事が雑になって、抜けもれや納期遅れなどのミスを起こしやすくなります。

心に余裕がない人は、周囲とのコミュニケーションがおろそかになりやすく、通常ならチームで問題なく対応してきた仕事でも、トラブルなどのミスを起こしてしまう可能性があります。

整理整頓が苦手

「必要な書類がどこにあるか分からない」「連絡をすぐ取らなければならないのに携帯電話が見つからない」など、整理整頓が苦手な人もミスを引き起こしやすいです。

お客様に提出する大事な書類を紛失してしまったりすると、トラブルにも発展しかねません。大事に至る前に、改める必要があります。

マルチタスクが苦手

キャリアを積み重ねていくと、仕事量は増えてきます。それをミスなく、確実に処理していくには、マルチタスクが不可欠です。

マルチタスクとは、同時進行で複数の業務(タスク)をおこなうこと、または短時間で業務を切り替え、複数の業務をおこなうことです。たとえば、取引先と電話でやりとりしながら、PCで入力作業をおこなったり、2つの案件の企画書を、時間を区切って同時進行で考えたりすることです。マルチタスクができないと、締め切りに遅れたり、抜けもれを起こしたりする可能性があります。

リスク管理ができない

仕事中ほとんどメモをとらずに、自分の記憶力だけを頼りに仕事をしている人は、ミスを繰り返し起こしやすいといえるでしょう。よほど記憶力のある人や、長期記憶に残るようなエピソードを交えた覚え方でないと、新たな知識などは、頭にインプットしただけではなかなか覚えきれません。記憶力を過信しないことが必要です。

主体性がない

「仕事でミスが多い」人の特徴として、意外に多いのは「主体性がない」タイプです。「主体性」とは、自ら考えて判断して、業務を遂行する素養のこと。この反対は「指示待ち」です。この「指示待ち」タイプは、仕事を覚えようという意欲に乏しい傾向があるため、細部にまで意識が行き届かずに、ケアレスミスが多くなりがちです。それゆえ「主体性がない」人は、ミスが多いといわれます。

仕事でミスを繰り返してしまう原因

仕事でミスが多い人たちは、なぜミスを繰り返してしまうのでしょうか。ここにも共通する原因があります。一つひとつチェックしてみましょう。

メモを取らない、取り方が雑すぎる

さきほど「リスク管理ができない」人の特徴として、自分の記憶力を過信して、メモを取らないため、ミスを繰り返してしまうという話をしました。

人間は忘れる生き物です。だからこそ、PCやノートにメモを取ることが大切です。また、メモをとっても、読み返した時に分からないのでは意味がありません。要点をしっかり押さえて、読みやすい文字で、分かりやすくまとめることも大事になってきます。

集中力がない

ミスが起こるのは、抜けもれがあるなど、確実性のない仕事をしているときです。一つひとつ丁寧に仕事をできない原因としてあるのは、「集中力のなさ」が挙げられます。他のことが気になったり、体調を崩してしまったりすると、集中したくてもなかなかできずに、一つひとつの業務(タスク)が雑になったり、思うように進められないということが起こります。

そんな時は、思い切って休んでみたり、気になることを先に済ませてから、次の仕事を始めるなど、集中できる環境をつくれるように工夫しましょう。

分からないことをそのままにしている

繰り返しミスを起こしてしまう場合、なぜミスが起こったのか、その原因を追求してそれをなくすための対策を講じていないことも多いです。そのやり方や手順などを理解している上司や先輩に聞けば、すぐに分かることなのにそれをやろうとしないとミスが生じやすくなります。

「この仕事は自分の担当だ」という責任感がないことも関係しているかもしれません。そういう自覚がなければ、積極的に分からない問題を解決しようという行動が起こせません。

確認不足なことが多い

時間がないために、セルフチェックはもちろん、上司などの確認をおろそかにすると、ミスを起こしやすくなります。特に、お客様への納品前の最終確認を怠って不備などがあると、会社の信用にも影響が出ます。納品前の最終確認は自分だけで完了するのではなく、上司や同僚、先輩などのダブルチェックをおこなうことを徹底しましょう。特に経験を積み重ねてきた際におろそかになりやすいので要注意です。

スケジュール管理に漏れがある

多くの仕事には締め切りや期限があるためスケジュールの管理が必要となります。しかし、スケジュールの管理を怠ると関係者に迷惑をかけることになります。締切日から逆算して、いつまでに何をするかプランを立てずに仕事を進めていると、締め切り直前になって時間がないことに気づき、大慌てで仕事を完了させることになりミスにつながります。

優先順位を決めずに仕事をしている

仕事をしていると、さまざまなタスクを同時並行で進めなければなりません。いつまでに何をするのか。この優先順位をつけられないと、必ずミスを起こしてしまいます。典型的なミスは納期遅れです。このミスを起こしてしまうと、それを挽回するために、他にやらなければならかった業務を一旦止めてしまうことになるため、他の業務にも悪影響が出てきてしまいます。

組織における仕事のミスの原因

仕事でミスを繰り返してしまう人の中には、個人の慣習や認知によって起きてしまう人もいれば、組織の影響を受けて、ミスを招いてしまう人も少なくありません。組織によるミスの原因とはどういうものでしょうか。

社員間のコミュニケーション不足

特に上司と部下とのコミュニケーション不足により、情報を共有できずに起こるミスがあります。コロナ禍を経て、出社と在宅とのハイブリッドワークが日常化して、直接コミュニケーションをおこなう機会が少なくなっています。また、上司がハラスメントを過度に意識するあまり、部下に対して踏み込んだコミュニケーションをおこなわない傾向もあります。それゆえ、意識しないと社員間のコミュニケーションの希薄化が深刻化しつつあります。

仕事が一人に集中している

組織として仕事を進めていくと、優秀な人の元に業務が集まりやすくなります。仕事の配分がうまくできない状態が続くと、時間や心に余裕がなくなり、締め切り遅れやケアレスミスなどが起きてしまいます。お客様との窓口は自分でおこなうにしても、細かな業務は他の人が担うなど、一人に集中している業務負荷を軽減できる仕組み(体制)を考えて、導入しましょう。

社員の体調管理を怠っている

組織として社員一人ひとりの労務管理をおこなわずに、目標だけを課していては、心身の疲弊につながってしまいます。たとえば、売上目標を達成するために、過度な残業を強要したり、休日返上でオーバーワークを許したりしていると、組織全体でそうした働き方が当たり前になっていき、体調を崩しやすい環境が形成されていきます。

仕事の仕組みやフローに問題がある

業務効率の改善例として、属人的な業務の標準化を目指すことがあります。しかし、その仕組みやフローに問題があるとヒューマンエラーが起きやすくなります。たとえば、仕事の進め方や入力作業などを統一するのではなく、一人ひとりがやりやすい方法で進めていると、他の人がチェックすることができず、見落としや手順間違いなどのミスが起こってしまいます。

取引先など対外的な問題がある

タイトなスケジュールや何度も繰り返される仕様変更、あいまいな指示での依頼など、取引先の無茶な要望にどこまで対応するのか。その線引きをおこなわずに、取引先の言われるがままに対応していると、社員が疲弊してしまい、ミスが発生しやすくなります。

仕事でミスしたときの対応

仕事でミスを起こしてしまったときに、どのような対応をするかによって、トラブルを迅速に鎮静化できるかどうかが決まります。具体的な対応を3つ紹介しましょう。

事実を報告する

ミスをしたことが分かったら、そのまま放置するのではなく、すみやかに上司などに報告すること。その際、言い訳や自分の思いを伝えたくなりますが、上司が状況を正確に把握できることが大切です。まずは事実を報告するようにしましょう。
 

謝罪する

自分に非があるときは、素直に謝りましょう。自分の誠意を見せなければ、話も前へ進みません。謝罪をする相手は取引先や上司だけでなく、ミスによって迷惑をかけたと考えられる関係各署の人たちです。忘れずに、連絡して謝罪しましょう。

原因を究明して、対策を考える

同じ過ちを犯さないためにも、謝罪と報告が終われば、次は「なぜ、このミスを起こしてしまったのか」その原因を究明して、善後策を検討します。まずは自分だけで対応策を考えてみます。次に上司や先輩に相談してみましょう。よりよいアイデアをもらえるかもしれません。

仕事での個人のミスへの対策

ミスを改善するために、個人で実践できる対策を紹介します。

メモをとってこまめに確認する

脳には長期記憶と短期記憶があります。長期記憶は、一度覚えたことを忘れない記憶のことで、言葉の意味や、個人的に体験した出来事などが当てはまります。一方、短期記憶とは、数分~数十秒の短い時間で情報を保持する記憶で、通常だと5~9個が限度だといわれています。ほとんどの内容は短期記憶で覚えているため、すぐに忘れてしまいます。メモをとって、必要なときに確認するようにしましょう。

集中力が維持できる方法を考える

ミスは目の前の業務に集中していないために起こることが多いので、集中力を維持できる方法を身に付けるのも1つの方法です。有名な時間管理法として「ポモドーロテクニック」というのがあります。これは集中する時間と休憩する時間を繰り返しとることで、効率的な仕事をおこなうことができる方法です。やり方は、次の通りです。

1.タイマーをセットして25分間、やるべき業務に集中する
2.タイマーが鳴ったら、5分間休憩をとる
3.4回に1度は、15分間の長めの休憩をとる。

集中できていない人は、他のことを気にしながら業務をおこなっていることが多いです。このやり方ならば、その時間だけではその業務(タスク)に集中できるので、ミスなく、業務をおこなうことができるでしょう。
 

業務を分解し、具体的なタスクにしておく

初めての作業などは、何から手をつけていいのか分からないため、着手するまでに時間がかかってしまいます。それによって、締め切りに間に合わなかったり、時間がない中で業務をおこなうことになり抜けもれが出てきやすくなったりします。

そんなミスをなくすために、やるべき業務を分解して、具体的なタスクにしておきましょう。そうすれば、1つのタスクにかかる時間もつかめるので、スケジュールも立てやすくなります。また、何から手をつければよいか目安もできるので、心理的な障壁も解消できます。

ダブルチェック体制などを確立して、確認不足によるミスを防ぐ

仕事上、よく起きてしまうのは、確認もれによるミスです。これを防ぐための仕組みを取り入れることで、大幅にミスを解消できます。その1つが作業者とは別にチェックする人を設けて、内容を確認してもらう「ダブルチェック」の体制です。特に見落としやすい項目を事前にピックアップしておけば、より効率的にダブルチェックがおこなえます。

また、ダブルチェックをおこなう作業時間を見込んでスケジュールを立てておくのも、この体制を導入する上では、ポイントになってきます。

仕事のスケジュールを作成する

段取りや計画を立てないばかりに、締め切りに遅れるミスもよく起こりがちです。まずは、やるべきこと(to do)をリスト化して、スケジュールを作成しましょう。複数の仕事が並行して動いている場合には、カレンダーに今日やるべきこと(to do)を書き込み、定期的に進行状況を確認するルーチン作業も必要です。そうすれば納期遅れもなくなり、抜けもれなども防げるでしょう。

優先順位を決めて業務にあたる

いくつもの仕事を抱えている場合、どの仕事から手をつけるべきかは、「重要度」と「緊急度」の時間管理マトリックスで、業務(タスク)を整理して、優先順位をつけるのがいいでしょう。

「重要度」と「緊急度」の2つを横軸と縦軸に据えて4領域に分けると、次のようになります。
第1領域 「重要度」も「緊急度」も高いタスク
第2領域 「重要度」は高いが、「緊急度」が低いタスク
第3領域 「重要度」は低いが、「緊急度」が高いタスク
第4領域 「重要度」も「緊急度」も低いタスク

この4領域に分類して、「第1領域」「第3領域」にしぼって、優先順位をつけ着手していきましょう。

組織でのミスへの対策

「仕事でミスが多い人」の特徴やミスを防ぐための対策を解説_6

さきほどは、「個人でできるミスへの対策」でしたが、組織でおこなえるミスへの対策もあるので、紹介しましょう。
 

コミュニケーションを活発におこなう

「報・連・相」などのコミュニケーションを丁寧におこなわないと、ミスが頻発してしまいます。それを防ぐためには、同僚や上司、先輩と活発にコミュニケーションをおこなうことが大切です。たとえば、上司と1on1の面談などがある場合は、日頃感じていることや要望を発信したり、社内にチャットツールが導入されていれば、それを活用して分からないことを質問して疑問や不安を解消していきましょう。

上司や同僚と業務を共有できる仕組みをつくる

組織で仕事をおこなっていると、業務が一人に偏りすぎる問題が発生してしまいます。これを解消するためには、各人どういう業務をおこなっているのか、可視化できることが重要になってきます。
上司や同僚と業務を共有できる仕組みができれば、たとえ自分一人に業務が集中しても、上司や周りに相談しやすくなりますし、上司も状況に気づいて、対策を講じやすくなります。

業務フローやチェックシートを作成する

一人で仕事を完結してしまうと、ヒューマンエラーが起きやすくなります。業務フローを見直して、ミスが起きやすい業務を簡略化したり、ダブルチェック体制を導入して、他の人にも内容を確認してもらうことで、ミスをなくすことが可能です。そのためには、ミスの原因を洗い出し、それを解消できる業務フローやチェックシートを作成する必要があります。

取引先とのコミュニケーションを円滑におこなう

取引先から無茶な仕様や納期などを依頼される一つの要因として、取引先とのコミュニケーション不足が挙げられます。お互いの要望を踏まえた交渉がおこなわれないと、一方に過度な負担が強いられるケースがあります。意見の食い違いを防ぎ、取引内容の確認を円滑に行うためには、上司を巻き込んで、対策を講じながら、取引先とのコミュニケーションを活発におこなうのが一番です。定期的なミーティングの場を設けることや、コミュニケーションをスピーディーに交わすためにチャットツールを使用することも有効です。
また、打ち合わせした内容をドキュメントに残し、急な仕様変更などトラブルを未然に防ぐ対策も合わせて、おこなうようにしましょう。

ミスによる落ち込みから立ち直る方法

起こしてしまったミスを気にするあまり自信を喪失してまたミスを起こしてしまう、そうならないためにも早くミスから立ち直ることが大切です。その手順を紹介しましょう。

ミスを認めて完結させる

まずミスした自分を認め、反省する。このとき自分の人間性まで否定しないように注意する。あくまでミスをした事実だけにスポットをあてる。反省したら、それで完結し、何度も後悔しないように心がけましょう。

ミスの原因を探して、対策を考える

ミスを起こした原因を究明して、具体的な改善策を立てる。自分だけのアイデアや考えだけでは不安な場合は、上司などに相談してアドバイスを受けること。同じミスを起こさないように、マニュアル(手順書)をつくり実践してみる。これでミスが解消できれば、スキルアップした証になり、自信にもつながります。

リフレーミングをおこなう

自分が経験したことを、違う視点から考えてみるようにする。
「ミスをして正しい進め方を学んだ」
「同じような失敗をして悩んでいる後輩に対して、どのようにアドバイスすればいいか分かった」など、いろいろな捉え方を考えてみることで、ポジティブな気持ちで、自分と向き合えるようになります。

まとめ

仕事でミスが多い人は、個人(組織)において、ミスを起こしやすい共通した要因を抱えているものです。人間がやることなので、ミスはつきものです。自分に当てはまりそうな原因があれば、チェックして対策を講じておきましょう。そうすれば、ミスを恐れることなく、新たなことにもチャレンジでき、スキルアップを目指せます。

仕事の経験が少なく、ビジネスマナーや仕事のスキルに自信のない方に、スタッフサービスでは、無料で受講できる研修制度を用意しています。そこで基礎を身に付けてから、現場で実践を経験することができます。

 


《ライタープロフィール》
西谷 忠和
新卒・中途採用、進学などのメディアにて広告制作ディレクターを経験後、2007年に独立。現在は、フリーのライターとして採用サイト、求人メディアの広告、採用のオウンドメディア、人材サービス企業のインナーコミュニケーションなどのコンテンツ制作に携わっています。またライフワークとして、20~50代のビジネスパーソンやフリーランスのキャリア支援を行うキャリアコンサルタントとしても活動中。