派遣社員の時給の目安は?エリア・職種別の相場・時給アップするには

派遣社員の時給の目安は?エリア・職種別の相場・時給アップするには

派遣社員の時給は、地域や職種、雇用形態によって大きく異なります。また、同じ仕事でも派遣会社や募集のタイミングによって差が出ることもありえます。
近年は、法改正により、派遣元や派遣先の企業に求められる対応が明確化されつつあり、時給の決まり方も以前より透明性が増しています。
本記事では、全国平均や地域別・職種別の時給相場、派遣社員の時給アップのコツなど、わかりやすく解説します。
自分に合った働き方や適切な給与水準を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
 

派遣社員の時給

派遣社員の時給の目安は?エリア・職種別の相場・時給アップするには_1

派遣の時給は雇用形態や地域、職種によって大きく異なります。この章では、全国平均や主要エリア、職種ごとの時給相場について詳しく解説します。

全国平均時給の動向

派遣社員の平均時給は、雇用形態(有期・無期)によっても変わります。まずは、全国的な傾向を、最新の資料をもとにチェックしていきましょう。

有期雇用派遣労働者の平均時給
厚生労働省発表の資料によると、令和5年度の有期雇用派遣労働者(期間を定めて契約する働き方)の平均賃金は、日給換算で13,887円です。これを1日8時間労働として計算すると、時給にして約1,736円となります。

有期雇用は、3ヶ月~6ヶ月などの期間を定めて働くスタイルです。短期のプロジェクトや産休代替など、一定期間だけ人材を必要とする場面で採用されるケースが多くあります。時給は安定して見えるものの、契約更新のたびに職場が変わる可能性がある点を視野に入れなければなりません。

無期雇用派遣労働者の平均時給
一方で、派遣会社と無期雇用契約を結び、継続的に派遣される「無期雇用派遣労働者」の場合、平均賃金は日給換算で16,190円でした。こちらも1日8時間で換算すると、時給はおよそ2,024円になります。

無期雇用派遣は、派遣会社の社員として安定的に雇用されるため、派遣先が変わっても基本的に雇用が継続されるのが特徴です。企業側からすると、スキルのある人材を長期的に確保できるメリットがあるため、時給も高く設定される傾向にあります。

【参考】:厚生労働省|令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報) 
 

主要エリアごとの平均時給比較

派遣の時給は、働く地域によっても大きく異なります。特に都市部では企業数が多く、人材獲得競争が活発なため、時給が高くなりがちです。


2025年4月時点での主要エリアごとの平均時給は、以下のとおりです。

●    三大都市圏(関東・東海・関西)平均:1,760円
●    首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉):1,833円
●    東海(愛知・岐阜・静岡・三重など):1,585円
●    関西(大阪・京都・兵庫など):1,739円

三大都市圏の1,760円という時給は、前年同月比で109円上がっているものです。首都圏の1,833円に次いで高いのは、関西、東海となっています。これは企業の人件費予算や生活コスト、地域の労働力事情などが反映された結果といえるでしょう。

【参考】JBRC ジョブズリサーチセンター|2025年4月度派遣スタッフ募集時平均時給調査
 

職種別で平均時給は異なる

また、派遣で働くうえで、どの職種を選ぶかによっても時給の差が発生します。特にスキルや専門性が求められる職種では、その能力に見合った高時給が提示されることが多くなります。時給が高くなりやすい職種の例を見ていきましょう。

IT・エンジニア系
プログラミング、システム開発、ネットワーク管理など、専門的なスキルが必要なため、他職種よりも高単価の案件が多くなっています。実務経験があるとさらに優遇されやすくなります。
医療・介護・教育系
看護師、介護福祉士、保育士など、国家資格や公的資格が必要な仕事は、時給も比較的高水準です。人命や子どもの発達に関わるといった責任の重い職務であることから、待遇に反映されやすくなっているといえます。
クリエイティブ系(デザイン・動画制作など)
スキル+実績で時給が大きく変動します。ポートフォリオの内容や、担当した案件の規模によっては、高時給(おおむね2,000円以上)のケースも珍しくありません。
 

派遣社員の時給はどのように決まる?

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派遣社員の時給には、職種や地域の違いだけでなく、さまざまな要因が影響しています。ここでは、法的なルール・市場の動き・スキルの有無といった観点から、どのように時給が決まっているのかについて解説します。

同一労働同一賃金の基本原則

派遣社員の時給決定には、「同一労働同一賃金」というルールも関係しています。これは、正社員と派遣社員の間で不合理な待遇差をなくすためのもので、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)において2020年から運用が始まりました。
派遣社員の賃金は、主に次の2つの方式のどちらかで決められています。

●    派遣先均等・均衡方式
派遣先の正社員と同じ仕事内容であれば、同等の待遇を受けるというもの。
●    労使協定方式
派遣元(派遣会社)と労働者代表が協定を結び、その協定に基づいた賃金水準が適用される方式です。

どちらの方式であっても、合理的な根拠に基づいて時給が設定されていることが求められています。一定の決定基準があることは、働くうえで安心材料のひとつといえます。
 

市場の需要と供給の変動

派遣社員の時給は、人材の需要と供給のバランスにも大きく左右されます。特に近年は、少子高齢化や人材不足の影響で、派遣市場でも特定の職種・エリアで時給が上昇傾向にあります。
例えば、以下のようなケースでは時給が高くなる場合があります。
●    人材不足が深刻な業界(介護、運送、ITなど)
●    募集しても応募が集まりにくい地域(地方都市や郊外など)
●    急募や短期で大量に人を確保したいケース(年末年始、繁忙期など)

逆に、求職者が多く集まる人気の職種やエリアでは、競争が激しくなり、時給が抑えられることもありえます。つまり、時給は案件募集時の市場状況の反映でもあるのです。
 

専門性・スキルの必要性の有無

派遣の時給が決まるうえで大きな要素となるのが、仕事に求められるスキルや専門性の有無です。特別な資格や実務経験が必要な仕事では、すぐに戦力になる人材が重宝されるため、時給も高く設定されやすくなります。

例えば、以下のようなケースをとりあげて説明します。

●    未経験可の職種
マニュアル対応が可能で、誰でも取り組みやすい業務が多くなります。そのため、時給は抑えられがちです。
●    専門スキルが必要な職種
即戦力として活躍できるため、時給水準は高めです。派遣先としても教育コストをかけずに専門スキルがある人材を獲得できるメリットがあります。

また、同じ職種でも「Excelスキルがある」「英語対応ができる」といった追加スキルがあることで、時給アップが提示されることも少なくありません。自分のスキルが時給にどう反映されるかを知ることで、派遣先の選び方やキャリアアップ戦略にも役立ちます。
 

派遣社員が時給アップを実現するには

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派遣社員として働きながら、時給アップを目指すことは十分に可能です。ここでは、実際に時給を上げていくための具体的な方法を紹介します。

専門スキルや資格の取得を目指す

時給アップにつながる最も有効な方法は、専門的なスキルや資格を身につけることです。特に、派遣市場では即戦力となるスキルを持つ人材が高く評価されるます。資格や専門知識のが必要なお仕事にチャンレンジできるようになるため、時給に直結することも多くなります。

具体的には、以下のようなスキルがあげられます。

●    ITスキル(Excel・Word・PowerPointの応用、データ集計)
事務系の派遣では必須といえます。MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)資格もおすすめです。
●    語学スキル(英語・中国語など)
外資系企業やインバウンド関連の求人で高時給につながりやすくなります。
●    簿記資格(日商簿記2級・3級)
経理・会計系の仕事では、資格を有していれば実務未経験でも時給が高くなる可能性があります。
●    介護・医療系資格(介護職員初任者研修、看護助手、医療事務など)
専門職系は資格保持者の採用優遇がある案件もみられます。長期的なキャリア形成にも有利です。
 

複数の派遣会社を比較検討する

同じ職種や勤務地でも、派遣会社が違えば時給や待遇に差が出ることは珍しくありません。各派遣会社が持つ企業とのつながりや得意分野が異なるためです。

例えば、「大手企業の事務系求人に強く、高時給案件が多い」や「介護・医療系に特化しており、資格保持者向けに好条件を提示できる」などがあげられます。

このように、派遣会社の特徴や取り扱い求人を比較することで、より自分の希望にあった案件に出会える可能性が広がります。派遣会社への登録は複数していても問題ありませんので、「自分に合う仕事を探す」という視点で使い分けるのも有効です。

時給だけでなく、交通費の有無や残業代の計算方法、更新のしやすさなど、トータルで比較してみることが、賢い選び方といえるでしょう。

また、目先の時給だけでなく、数年先まで見据えて収入アップを図ることも大切です。派遣は多様な業務にチャレンジしやすい分、自分のキャリアを主体的に設計する力が求められます。育児や介護に多忙な時期は短期派遣を選択するのも有効ですが、長期案件は「安定性」と「経験値の積み重ね」によって、次のキャリアにもつながりやすくなります。

そのほか、無期雇用派遣や紹介予定派遣は、安定志向の方におすすめの選択肢です。どちらもキャリアアップと収入安定の両立がしやすい働き方で、派遣として経験を積んだ方にとって自然なステップアップになりえます。

派遣社員の時給に関するよくある質問

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本章では、派遣社員として働く際によく寄せられる時給にまつわる質問をQ&A形式でわかりやすく解説していきます。

Q1:派遣社員はアルバイト・パートと比べて時給が高いですか?

A:一般的に、派遣社員のほうがアルバイト・パートよりも時給が高くなる傾向があります。

派遣社員は企業が求めるスキルを備えた即戦力となる人材として採用されることが多く、そのスキルに対する「付加価値」が時給に反映されているためです。
また、未経験でも派遣会社による研修やサポートを通じて、一定以上の時給が提示されるケースも多く見られます。

参考として、上記「主要エリアごとの平均時給比較」にあるように、2025年4月時点の三大都市圏の平均時給が1,760円なのに対し、同機関の発表では2025年4月のアルバイト・パートの平均時給(三大都市圏)は1,260円です。

このように、同時期・同エリアで比較しても、派遣のほうが500円ほど高い水準となっています。希望の働き方やライフスタイルに加えて、こうした賃金水準もひとつの判断材料として活用するとよいでしょう。

【参考】:JBRC ジョブズリサーチセンター|2025年4月度 パート・アルバイト募集時平均時給調査(三大都市圏)
 

Q2:未経験からでも高時給の派遣に就くことはできますか?

A:可能です。ただし業務に必要なスキルを身につけることがポイントです。

未経験でも、適切なスキルを身につければ、高時給の仕事に就くことは可能です。例えば、簿記や医療事務の知識など、特定のスキルが評価される分野では、未経験からでも高時給を狙える可能性があります。
また、派遣会社によっては、以下のようなスキルアップ支援が用意されているケースもあります。

●    パソコン研修(Word、Excelなど)
●    資格取得支援制度
●    ビジネスマナー・接客研修
●    キャリアカウンセリングなど

また、スタッフサービスでは、学習アプリや通信教育講座や提携スクールといった研修・講座が用意されていますので、あわせてご確認ください。

※関連リンク:スタッフサービス|スキルアップ

こうした制度を積極的に活用することで、未経験からでもより高待遇の仕事に就ける可能性が高まります。
 

まとめ

派遣社員の時給は、雇用形態や職種、地域、さらには市場の動向やスキルの有無によっても大きく異なります。
時給の相場を知ることは、単に金額を比較するだけでなく、「自分の強みは何か」「どんな働き方をしたいのか」を考えるきっかけにもなります。高時給を目指すためには、スキルアップや派遣会社の比較検討などが効果的です。ご自身にあった働き方や時給水準を見極めて、納得のいく選択をしていきましょう。

ライター:川西 菜都美(監修兼ライター)
結喜社会保険労務士事務所代表。お母さんと子どものための社労士。自身の経験から、子育てと仕事の両立に悩む女性の相談にもあたっている。金融、製造、小売業などさまざまな業界を渡り歩いた経験を活かして、クライアントごとのニーズにあわせたきめ細やかな対応を心がけている。

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