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【アルハラ調査】こんな時どう対処している?会社のアルハラ問題

【アルハラ調査】こんな時どう対処している?会社のアルハラ問題

新入社員歓迎会、忘年会や送別会、懇親会など、職場の人と飲む場はコミュニケーションの場でもあります。ただ、飲み会だからといって参加者全員がお酒を飲めるわけではなく、お酒が苦手な人や飲めないという人にとっては苦痛に感じてしまうことも。酔った人からの迷惑行為に声を出せない人もいます。
今回は、会社員として働く男女300人を対象に、アルハラ(アルコール・ハラスメント)について調査しました。アルハラのエピソードや上手な断り方についてご紹介します。

「アルハラ(アルコール・ハラスメント)」の意味とは?

【アルハラ調査】こんな時どう対処している?会社のアルハラ問題_1

職場の飲み会で、飲めないお酒を無理にすすめられた経験はありませんか?それはアルハラです。アルハラとは、アルコール・ハラスメントの略で、飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為、人権侵害のことを指します。具体的には、以下の5項目が「アルハラ」にあたる行為と定義づけられています

1.飲酒の強要
集団ではやしたてたり、罰ゲームといった形で圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むこと。

2.イッキ飲ませ
一息で飲み干す「イッキ飲み」や早飲み競争などをさせること。

3.意図的な酔い潰し
酔い潰すことを意図して飲み会を行うこと。傷害行為にもあたる。

4.飲めない人への配慮を欠くこと
本人の体質や意志を無視して飲酒をすすめたり、飲めないことをからかったりすること。宴会に酒類以外の飲み物を用意しないことも該当する。

5.酔った上での迷惑行為
酔ってからむこと、悪ふざけ、暴言・暴力、セクハラ、その他のひんしゅく行為のこと

※ 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)による定義

アルハラを受けた人の半数以上が「断れなかった」と回答

【アルハラ調査】こんな時どう対処している?会社のアルハラ問題_2

会社員として働く男女300人を対象に「アルハラ」に関する調査を行ったところ、アルハラを受けたことがある人が全体の約3割を占め、さらに、断れなかった人については65.3%いることがわかりました。職場の飲み会でお酒をすすめられたら断れない、イッキ飲みを強要されても断れ切れない、そんな状況がうかがえます。

上司や先輩からすすめられると断れない人が66.8%

【アルハラ調査】こんな時どう対処している?会社のアルハラ問題_3

飲めない、飲みたくないのに、お酒をすすめられたら断り切れない。その一番の理由は、「上司や先輩からすすめられると断れない」(66.8%)という結果となりました。次いで、「周りの人たちも飲んでいるので自分だけ断れない」(42.9%)が続きます。飲み会でも職場の上下関係や人間関係を意識して、アルハラを断れない人が多いようです。また、「慣習行事なので仕方がない」とあきらめている人も、26.5%いることがわかりました。

約9割が上司からのアルハラを経験

【アルハラ調査】こんな時どう対処している?会社のアルハラ問題_4

誰からアルハラをされたか聞いたところ、最も多かったのが「上司」(86.7%)で9割近くを占めました。その中には、「人事評価・ボーナス査定に影響するので」(男性/46歳)、「上司からイッキ飲みの指示があった」(女性/29歳)といった日本の縦社会を表すようなコメントも。
「上司」のあとには、「同僚」(30.7%)、「取引先の企業」(13.7%)が続きます。少数ではありますが、「後輩・部下」からアルハラを受けた経験がある人も4.3%いることがわかりました。

アルハラ事例

▼上司からのアルハラ
自分はお酒(特にビール)が苦手で、飲み会ではほぼソフトドリンクしか飲まないが、注文していないビールを上司から渡されて飲むように言われた(女性/25歳)
転職したばかりで、年下の上司からの飲酒の強要がとてもつらかった(男性/36歳)

▼同僚からのアルハラ
みんなでイッキするのが恒例になっていて、当たり前のように飲む流れになった(男性/30歳)
断っているのに、同僚から無理に酒を飲まされた(女性/32歳)

▼取引先からのアルハラ
取引先が開催した飲み会の席で、断れない雰囲気の中、イッキ飲みをさせられた(男性/44歳)
取引先の会社がお酒を飲めない社員に、好き嫌いは飲めば治ると飲酒を強要された(男性/40歳)

▼後輩・部下からのアルハラ
周りから強引にコールをかけられ飲まされる(男性/41歳)
酔っぱらった後輩に思いっきりかみつかれた(男性/32歳)

最も多いアルハラは「飲酒の強要」

【アルハラ調査】こんな時どう対処している?会社のアルハラ問題_5

どんなアルハラを受けたことがあるか聞いたところ、「飲酒の強要」(55.3%)が半数以上を占めて最も多い結果となりました。その中には、「会社の上司に無理に飲まされた」(男性/49歳)、「飲めなきゃ社会人としてダメだと言われた」(女性/29歳)といったコメントがありました。
次いで、「お酒を飲めない人への配慮を欠いた行為」(37.3%)、さらに「酔った上での迷惑行為」(36.7%)、「イッキ飲ませ」(35.7%)、「意図的な酔い潰し」(16.7%)と続いています。

みんなの「アルハラ」対処法 ~飲めない理由を伝える、はっきり断る~

【アルハラ調査】こんな時どう対処している?会社のアルハラ問題_6

これまでの調査結果から、アルハラを受けても断れない事情がうかがえます。アルハラにあった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。アルハラを受けた人の中には、「車の運転をするから」といった法的な事情や、「医者から止められている」といった体調面の事情など上手に伝え、断っている人もいます。みんなの「アルハラ対処法」を参考にしてみてください。

▼法的に飲めない事情を伝える
・「車の運転をするので」などと言う(女性/28歳)

▼体調面の事情を伝える
・「医者から止められている」と言っている(男性/33歳)
・「体質的に飲めない」と言って断った(女性/37歳)
・「過去に倒れた」と言った(女性/26歳)

▼その場から離れる
・「気分が悪くなった」と言って席を立った(男性/34歳)
・「トイレに行く」と言って逃げて、その人の近くには絶対に座らない(男性/42歳)

▼助け舟を出してもらう
・別の先輩が代わりにお酒を飲んでくれた(女性/25歳)
・席を変えてもらった(男性/29歳)
・他の上司から断ってもらった(女性/36歳)

▼普段からコミュニケーションをとる
・普段からよく話す上司だったので、説明したら納得してくれた(男性/28歳)
・付き合いの長い上司だったので、「これ以上は飲めない」ときっぱり伝えたら、渋々あきらめてくれた(女性/34歳)

▼明日の仕事への影響を伝える
・「明日の仕事が早いので酔うわけにはいかない」と断った(男性/49歳)

・「明日仕事にならないから無理」と断った(男性/46歳)
▼うやむやにする
・「女性に嫌われますよ」と言ったら、おとなしくなった(女性/49歳)
・お酒の話題から話をそらせて、そのままうやむやにした(男性/43歳)
笑ってごまかした(女性/22歳)

▼はっきり断る
・「アルハラですか?」と言い返した(男性/27歳)
・真顔で「もう無理です」と断った(男性/37歳)
・「今日はあまり体調が良くないのでもう飲みません」ときっぱり言った(女性/28歳)

お酒は自分のペースで飲んで楽しむことが大切

アルハラについてリアルな体験談を紹介してきましたが、いかがでしたか?もしかしたら、あなた自身も無意識にアルハラをしてしまっている、ということがあるかもしれません。お酒を強要した場合は、飲酒の強要等から派生して様々な民事責任や刑事責任に問われることもあります。アルハラの被害者にも加害者にもならないよう、お酒の席のマナーには十分気をつけましょう。

アルハラを受けてお悩みの方は、会社や労働組合の相談窓口、厚生労働省などハラスメント窓口、派遣スタッフの場合は派遣会社などに相談してみましょう。

【調査概要】
調査タイトル:飲み会についてのアンケート
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2020年1月6日~1月8日
調査対象:20~49歳の会社員男女300人(事前調査2,197人)