52.5%の人が「わたし、定時に帰れません!」残業を減らすための仕事術とは
政府の重要政策のひとつ、「働き方改革」が進むなか、「定時で帰る!」がモットーの女性社員が主人公のテレビドラマが話題になっています。2019年4月に施行された働き方改革関連法案では、長時間労働に対する企業への罰則も含まれるなど、世の中の働き方に対する意識も高まりつつあります。そこで今回は、正社員で働く300人男女を対象に、定時で帰れない理由や労働時間内で働くために工夫していることなど、残業に対する意識を調査しました。
目次
定時で帰れている人、帰れていない人の割合はおよそ半々
まず、毎日定時に帰れているのか聞いたところ、定時に「帰れている」(52.5%)、「帰れていない」(47.5%)とその割合は、およそ半々で、若干定時に帰れている人のほうが多いという結果でした。そこで今回は、定時で帰れている150人、帰れていない150人を対象に、それぞれの実態について調査することにしました。
定時で帰れない理由1位は圧倒的に「仕事量」
定時に帰れていない150人を対象に、なぜ定時に帰れないのか、その理由を聞いてみたところ、「仕事量が多い」(82.7%)が他の理由と大きく差をつけて多いことがわかりました。次いで、「業務効率が悪い」(18.0%)、「他の人が残っているから帰りにくい」(17.3%)、「会議が多い」(14.0%)、「人の仕事を手伝ってしまう」(12.0%)、「残業代を稼ぎたい」(10.0%)といった理由が10%台で続きます。
業務効率の問題、残業代を稼ぎたいなど、個人的な理由も見られますが、「仕事量」の問題が残業につながる大きな要因であることがわかりました。定時で帰れない人の月の平均残業時間は26.9時間ということから、1日あたり1時間超の残業をしている計算になります。
定時で帰れている人に聞く!定時で帰るための仕事術とは
定時で帰れている150人には、定時で帰るために工夫していることを聞きました。上位の回答には、「業務に優先順位をつける」(53.3%)、「業務にかかる時間を設定し、意識して終わらせる」(42.0%)、「始業時間よりも早めに出社する」(32.0%)、「スケジュール管理を徹底する」(30.0%)といった、業務の効率化における工夫が見られます。
その他、「定時に帰る意思表示をする」(20.0%)のように、周囲に定時で帰る人であることをわかってもらうことも工夫のひとつのようです。また、少数派ではありますが、「自分にしかできない仕事を減らす」(6.7%)といった「仕事量」の根本的な問題解決も、定時で帰るための有効な手段といえそうです。具体的にどのような工夫をしているのか、詳しく見てみましょう。
▼業務に優先順位をつけている
・やるべきタスクを紙に書き出し、常に優先度を考えている(31歳・女性/商社・卸売業)
・納期の早い取引先ごとに優先順位を決めている(41歳・男性/物流業)
・優先順位の低いものは、隙間時間にこなす(48歳・男性/製造業
▼業務にかかる時間を設定し、意識して終わらせる
各タスクにかかる時間を想定して、業務に取り掛かる(31歳・女性/商社・卸売業)
この入力なら何時までと決めると集中できる(35歳・女性/金融業・保険業)
定時に終わるスケジュールを立てる(44歳・男性/製造業)
▼定時で帰るために始業時間よりも早めに出社する
情報収集をするなど、すぐ仕事に取り掛かれるように準備する(35歳・女性/社会保険・社会福祉・介護事業)
始業前に、メールの確認などを済ませておく(48歳・女性/製造業)
早く来て早く帰る(24歳・女性/医療業)
▼スケジュール管理を徹底する
締切を明確にする(25歳・女性/社会保険・社会福祉・介護事業)
締切前日までに、あらかたの数字を出して、当日すぐに締められるようにしている(35歳・女性/金融業・保険業)
一カ月ごとに週次、月次処理の運行日、通常業務の内容を決めておく(46歳・男性/情報通信・広告業)
▼その他
保管しているPCのフォルダ分けや書類の整頓を後回しにしない(男性・48歳/製造業)
気分が乗らない時は気分転換をする(男性・41歳/社会保険・社会福祉・介護事業)
就業後に予定を入れる。楽しいことがあると頑張れる(女性・27歳/製造業)
他の人でも対応できるものは割り振り、自分の負担を減らしている(女性・31歳/商社・卸売業)
仕事の平準化のため、割り振りを平等にする(男性・43歳/製造業)
残業に賛成?それとも反対?
残業することに対して賛成か反対かを聞いてみたところ、「賛成」(38.3%)、「反対」(61.7%)と、反対派が半数を上回りました。また、定時で帰れている人で「賛成」と回答した割合は32.7%、定時で帰れていない人で「賛成」と回答した割合は44.0%と、定時で帰れていない人ほど、残業を許容する傾向にあるようです。賛成派の理由としては、仕事に対する責任感や、成果を出すために必要な努力である、と考える人がいる一方で、「残業代がなくなると給料が減る」というように、生活費のために残業に賛成している人も少なくないようです。
▼賛成派
業務に責任感を持って取り組んでいる証拠だと思う(31歳・女性/商社・卸売業)
相手のあることなので必ずしも定時に帰れるとは限らない。残業代をもらえるのであれば文句はない(41歳・女性/サービス業)
ある程度成果を出すには時間が必要(43歳・男性/金融業・保険業)
残業代をもらえないと生活が厳しい(47歳・男性/情報通信・広告業)
▼反対派
無駄な残業が多い気がする(47歳・男性/サービス業)
残業をすることを前提にするのはおかしい(49歳・女性/製造業)
毎日残業に追われるのは疲れる。家族との時間を大切にしたい(41歳・男性/物流業)
「残業している人が仕事をしている」という考え方は時代遅れ。コストがかかり会社としてもデメリットが多くなると思う(39歳・女性/社会保険・社会福祉・介護事業)
定時で帰るには企業の方針も大きく影響
今回の調査では、働き方改革が浸透しつつある昨今でも、約半数の人たちが定時で帰れていないことが明らかになりました。その大きな原因となっているのが「仕事量」。定時に帰るために、業務に優先順位をつける、始業時間よりも早めに出社するなど、定時までに仕事を終わらせる工夫している人が多くいましたが、「他の人でも対応できるものは割り振り、自分の負担を減らしている」(女性・31歳/商社・卸売業)といった、仕事量に対する根本的な問題を解決する工夫も必要不可欠といえるでしょう。
一方で、残業賛成派も約4割を占めていることから、残業に対して必ずしも全員がネガティブにとらえているわけではないようです。
残業をなくすには、仕事内容の見直し、人員の見直し、給料面の問題など、それぞれの企業の方針も大きく関わってきます。転職を考える際には、企業の残業に対する考え方や社風など、事前に確認しておくといいでしょう。