20代、30代の「医療・介護職」のみなさん、100人に聞きました!「仕事のやりがい」「苦労・悩み」「人間関係のストレス」リアル調査
人々が健康な営みを続けていくために必要な医療業界、高齢化社会が進む我が国において重要性が増す介護業界。この両業界の職種が、今後ますます需要が増していくであろうことは想像に難くありません。
医療・介護の仕事は病院や介護施設に勤務するケースが多いと考えられますが、その職種は言わずもがな多種多様。看護師、介護士、医療事務といった職種だけでなく、例えば薬剤師、理学療法士、歯科衛生士、整体師、放射線技師といった職種など数多くあります。
医療・介護業界に憧れを抱いている方も多くいるとは思いますが、具体的にどのような働き方をしているのかは、実際に働いている人々の話を聞いてみないとわからない部分が多いのではないでしょうか。
そこで医療・介護職に就く20代、30代の男女100人を対象にアンケート調査(調査期間:2017年3月13日~17日)を実施しました。
医療・介護職の方々は、どのような業務に就き、どのようなやりがいを感じ、どのような悩みを抱えているのか、見ていきましょう。
医療・介護職のみなさんのやりがい調査
はじめに、医療・介護職に就いているみなさんが、自分の仕事にどのような“やりがい”を持っているかを聞いてみました。
100人に伺った中から50人のコメントを紹介します。
看護師
「患者さんが元気になって退院していく時に、大変なこともあったけど、よかったなと感じる」(33歳/女性/看護師)
「治療に拒否的だった患者さんが少しずつ心を開き、自分の内面を言葉にし始めた時、そして回復が少しでも実感できた時にやりがいを感じる」(39歳/男性/看護師)
「私は療養型病棟に勤務しています。急性期病院とは違い、自宅への退院数はとても少ないです。ですが、今勤務している病棟は退院支援を実施しており、実際に退院できた患者を見送る時はやりがいを感じます」(32歳/女性/看護師)
「『あなた優しいね』とかいろいろと患者さんに言っていただけると嬉しいです」(24歳/女性/看護師)
「患者様とのコミュニケーションがやりがい。今の勤め先は、おばあちゃんやおじいちゃんと会話を楽しんだり地域密着な感じがいいです」(33歳/女性/看護師)
「患者さんや家族が病気を乗り越えて成長する姿を見た時」(32歳/女性/看護師)
「看護師をしていますが、やはり患者さんが元気に退院されるとよかったなと思う。また、『ありがとう』や『あなたのおかげ』などと言っていただけた時は、この仕事だから言ってもらえることだと感じます」(28歳/女性/看護師)
「患者さんが生活相談員や他のスタッフには話していないことも相談してきてくれると、やりがいを感じる」(36歳/女性/看護師)
「医師のサポートや患者のサポートができてやりがいを感じる」(26歳/女性/看護師)
「夜勤明けで平日昼間から自由な時間になると、看護師をしていてよかったと思う」(27歳/女性/看護師)
医療事務
「患者さんに『お大事になさってください』と伝え、『ありがとう』と返された時」(38歳/女性/医療事務)
「医療の現場に携われること、患者さんと関われること、専門の知識を生かして仕事ができるところがいいです」(36歳/女性/医療事務)
「患者の不安を少しでも和らげられること。特に分かりやすく丁寧に説明することで、患者の表情が和らぐ時が一番やりがいを感じる」(32歳/男性/医療事務)
「専門外のこともいろいろ聞いて知識がつくと思うので」(38歳/女性/医療事務)
「医療事務をしていますが、患者さんとお話がたくさんできること。『安心する』と言ってくれた時や、患者さんのほうから世間話をしてきてくれた時に嬉しく感じます」(23歳/女性/医療事務)
「健診事務をしています。検査項目など勉強になることが多いのでやりがいを感じています」(29歳/女性/検診事務)
薬剤師
「患者さんに『説明がわかりやすい』、『親切ですね』とお褒めの言葉をかけられると薬剤師をしててよかったなと思える」(29歳/女性/薬剤師)
「医師が処方したものを、監査し、間違いを探せた時」(29歳/女性/薬剤師)
「患者さんの薬に対する疑問点や不安をスムーズに解消できた時は嬉しいです」(37歳/女性/薬剤師)
医療系専門職
「エコー検査で所見を見つけた時」(36歳/女性/超音波検査士)
「画像診断の補助をしておりますが医師と話す機会が多く、頼りにされています」(39歳/男性/放射線技師)
「非常勤なので時給制。週1、2回の勤務でそれなりの収入になっているのでやりがいを感じてやっています」(38歳/女性/診療放射線技師)
「何らかの脳疾患を抱えていらっしゃる方や、失語症になられた方に対して、言葉がスムーズに出るように訓練をする仕事です。入院されてから3ヶ月くらいをかけてしっかりと治療をしていくので、患者様は元気になられて帰ります。私にとってそれが一番のやりがいだと感じています。また退院後にお手紙をくださる方もいますのでこの仕事に就けてよかったと思います」(38歳/女性/言語聴覚士)
「ニーズに応えて、リハビリをしていくのはご本人の生活の質の向上にもなり、回復を実感していただけるとやりがいを感じます」(32歳/女性/言語聴覚士)
「嚥下(えんげ/口中の物を飲み下すこと)に関われるのは、うちの病院では言語聴覚士だけなので、医師や看護師などから嚥下について頼りにされるのは嬉しい」(32歳/女性/言語聴覚士)
「視能訓練士として弱視の子供にメガネ処方をし、視力が上がっていくと嬉しい」(29歳/女性/視能訓練士)
「自宅退院が難しいと言われていた患者さんが、回復により自宅退院できることに。そんな退院時の嬉しそうな笑顔を見るとやりがいを感じる」(31歳/女性/理学療法士)
「さまざまな事象に対応しますが、無事に退院できる姿を見ると達成感とやりがいを感じる」(35歳/女性/理学療法士)
「患者さんがリハビリを受けることで、よくなっていく喜びを感じることができます」(37歳/男性/理学療法士)
「仕事としては毎日同じ業務の繰り返し。でも給料が少しでも上がるとやはり達成感を得られる」(36歳/男性/理学療法士)
「歩けなくなった方が歩けるようになるお手伝いができた時にやりがいを感じます」(31歳/女性/療法士)
「症状が治って感謝される事が一番のやりがいである」(39歳/男性/鍼灸師)
「患者が病院から自宅や施設に退院する際に、笑顔で安心して帰られるとやりがいを感じます」(37歳/男性/ソーシャルワーカー)
「食生活の改善でインスリンを打たなくてすんだと感謝された時」(32歳/女性/管理栄養士)
「病院内の保育室で保育士をしています。子供たちの成長を間近に感じることができることがやりがいになります」(32歳/女性/保育士)
歯科関連職
「治療効果による達成感」(35歳/男性/歯科医)
「パートという雇用形態ですが、自分のスキルを磨くことができることが楽しい」(34歳/女性/歯科衛生士)
「治療が終わった患者さんが定期健診にきた時はやりがいを感じます」(32歳/女性/歯科衛生士)
介護職
「利用者さんに感謝される時」(34歳/女性/介護福祉士)
「訪問すると喜んでくださり『あなたが来ると元気をもらえる!』など言ってくださる時に、やっててよかったなと思います」(34歳/女性/ホームヘルパー)
「お年寄りの笑顔や満足そうな表情を引き出せること。また、家族でもできないことをサポートしてあげられること」(32歳/女性/ホームヘルパー)
「グループホームで介護をしていますが、利用者さんたちと会話をしてて笑っている表情に癒されることがある。居室の床のワックスがけや掃除を行った際に大好評だったことも思い出」(36歳/女性/介護職)
「大好きなおばあちゃんとたくさんお喋りをして私も嬉しく思います」(26歳/女性/介護士)
「自分が関わったことで利用者さんが笑顔になる瞬間にやりがいを感じています」(35歳/女性/介護職)
「お年寄りからいろんな事を学ぶことが出来るから」(27歳/女性/介護施設スタッフ)
「介護職員としての立場では、利用者の方のADL(日常生活動作)の向上が見られるとやりがいを感じます。介護支援専門員の立場では、自分のプランが利用者や家族の希望に沿うものであり、それを介護職員が実行することで利用者の笑顔が見られる時。管理者の立場では、スタッフが働きやすい環境を整える事が少しでもできた時」(37歳/男性/介護職)
「訪問介護の仕事をしています。利用者様のお宅に伺い、決められた時間内でサービスを行います。段取りよく仕事をこなさないと、あっという間に時間がなくなります。一人の方へのサービスにはさまざまなヘルパーが入りますが『あなたが来てくれる日が一番楽しみ』『他の方は変わっても、あなただけは絶対来てね』と言われた瞬間に一番やりがいを感じますね」(38歳/女性/訪問介護)
「介護職です。利用者様とのコミュニケーションが楽しい。人それぞれ違いがあるので、いろんな話を聞ける」(37歳/男性/介護職)
「障がい者施設で働いています。利用者は知的障がいを持っているので、感謝とかはされないけど、きちんとやればいろいろな意味で“応え”が返ってくる」(39歳/女性/障がい者施設スタッフ)
「障がい者施設で生活指導員の仕事をしています。利用者さんは18歳以上を対象としています。みなさんとても純粋で一緒にいると心が和みます。なかなか心を開いてくれなかった利用者さんが自分に心を開いて頼りにしてくれたり、難しい利用者さんの対応がうまくいった時などに喜びややりがいを感じます」(39歳/女性/生活指導員)
みなさん、自分の仕事への矜持が滲み出ているコメントばかりですね!
医療・介護職での苦労・悩み調査
医療・介護職のみなさんが仕事で苦労していること、悩んでいること(複数回答)
続いて、医療・介護職のみなさんが苦労していること、悩んでいることについて調査。先ほどの調査結果のように仕事にやりがいを感じていたとしても、ストレスを抱えてしまうことはありそうですからね。
複数回答OKという形式で調査したところ、このようになりました。
「給料面(給与が不満足)」44人
「職場の仲間(上司・先輩・同期・部下・後輩)との人間関係」38人
「仕事量の多さ」27人
「患者さん(入所者さん)やそのご家族との人間関係」25人
「将来(暮らしが安定するか)への不安」24人
「業務の複雑さ(難しさ)」22人
「休日の少なさ」20人
「残業の多さ」13人
「その他」8人
最も票を集めたのが「お給料面(給与が不満足)」で44人。次に「職場の仲間(上司・先輩・同期・部下・後輩)との人間関係」で38人。この2つに共通しているのは“実際の業務内容には直接関係ない部分”という点でしょうか。
例えば、27人が挙げた「仕事量の多さ」、25人が挙げた「患者さん(入所者さん)やそのご家族との人間関係」、22人が挙げた「業務の複雑さ(難しさ)」といった項目は、医療・介護業界の業務の根幹に関わることですが、それらを上回って給与面や職場の人間関係が悩みのタネだという方が多いということですね。
医療・介護職で人間関係のストレスの原因相手調査
医療・介護職のみなさんの人間関係でストレスの原因となる相手(単一回答)
お次は、医療・介護職のみなさんの人間関係について調査します。
先ほどのアンケート内容の人間関係部分にフィーチャーし、より深く掘り下げる形で、職場でストレスの原因となる相手について伺いました。仕事のパフォーマンスを下げてしまうこともあるだろう“人間関係の悩み”の実態に迫ります。
単一回答で調査したところ、このようになりました。
「上司・先輩」35人
「患者さん(入所者さん)」22人
「同僚(役職や立場が近い人)」19人
「患者さん(入所者さん)のご家族」5人
「部下・後輩」4人
「その他」15人
他を引き離して一番票を集めたのは「上司・先輩」。3人に1人以上の人が「上司・先輩」を挙げていることになりますね。
やはり指導されたり叱られたりする相手である上司・先輩に、委縮してしまう人が多いのかもしれません。もちろん目上の立場の方々からすると、「早く一人前になってほしい」と思い、あえて厳しく接していることもあるのでしょうが…難しい問題ですね。
「上司・先輩」に次いで票を集めたのが「患者さん(入所者さん)」。言うまでもなく医療・介護職は患者さんや利用者さんらに寄り添い、人と人の関係が常に存在する仕事なので、大なり小なりストレスを感じてしまうのは致し方ないことなのかもしれません。
──さて、「20代、30代の『医療・介護職』のみなさん、100人に聞きました!」シリーズは、本記事のほかにも公開しています。
「医療・介護職の満足/不満調査」、「医療・介護職のみなさんの貯金額調査」を紹介している記事など盛りだくさんの内容となっていますので、ぜひご覧ください。
>20代、30代の「医療・介護職」のみなさん、100人に聞きました!
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