「50代からの派遣」派遣で働くメリット・おすすめの職種を解説
50代から派遣で働くチャンスは十分にあります。年齢に関わらず、自分に合った働き方を見つけ、これまでのスキルや経験を活かすことが重要です。今回の記事では、50代で派遣として働くメリットとデメリットを解説します。50代からのキャリアに悩んでいる方は、派遣も選択肢の一つとして考えてみてください。
目次
50代からでも派遣で働ける
50代から派遣スタッフとして働き始めるには、年齢を理由に難しいと考えてしまい、躊躇してしまう方がいるのが現状です。実際に、50代で派遣スタッフとして働いている方はどのような方で、どういう仕事をしている人が多いのかを解説します。
50代の派遣スタッフは多い
厚生労働省が調査した「令和4年派遣労働者実態調査の概況」によると派遣労働者の年齢階級別の割合では、「45~49歳」と「50~54歳」が15.8%と最も高いことがわかりました。派遣スタッフのうち、50代だけでも22.8%を占め、女性では「50~54歳」が20.3%で最も高くなっています。
年齢階級別では50代の割合が高いことから、中高年層が派遣労働市場で一定の割合を占めていることがわかるでしょう。
出典:厚生労働省 令和4年派遣労働者実態調査の概況(p.13)
未経験でも挑戦できる
スタッフサービスグループが全国の20~70代男女に就職・転職に関する調査をした結果によると、50代以上でも19.3%が業界・職種ともに未経験の転職先を希望していることがわかりました。
社会貢献や人とのつながりを求めて働きたいと考えている人が多く、未経験の仕事にも挑戦する人が増えています。実際に求人サイトでも、資格を必要としない職種を中心に、未経験者OKの求人があるため、自分に合った働き方を探したい方に適しています。
出典:スタッフサービスグループ「就職・転職活動中の人は約2割。そのうち未経験の仕事を希望する人は?」
50代が派遣で働くことが厳しいと言われている理由
50代から派遣で働く人もいますが、若い時に比べると体力面や将来性に不安を覚える人も多くいます。実際に働くことが難しいと言われている理由を3つに分けて解説します。
希望条件とマッチしないことがある
派遣で働く場合、今まで仕事で培ってきた業務経験やマネジメントスキル、ビジネススキルに適した求人を紹介してもらえると考えがちですが、必ずしもそうではありません。高いスキルに適した求人数は少ないため、希望条件と完全にマッチしないこともあります。自分の希望条件に合う求人が少なければ、働くことが厳しいと感じるでしょう。
体力的に負担がかかる仕事は選びづらい
50代は若い時と比較して、体力や物覚えが悪くなる傾向にあるため、体力的に負担がかかる仕事は選びづらい状況があります。
厚生労働省が公表した「令和5年の労働災害発生状況」によれば、事故で一番多い転倒において、20~30代と比較し、50代から発生件数が2倍以上になっていることがわかりました。特に女性労働者が多く、転倒が原因で会社を休む平均休業見込み日数は48.5日とされています。
こうした背景により、若い時と比較して体力を必要とする仕事を選びにくくなる要因の一つとなっています。
50代で派遣として働くメリット
家族の介護や自身の健康管理など、ライフステージに応じた働き方が求められる50代にとって、派遣は自分のペースで働ける点が魅力です。また、パートやアルバイトと比較して、時給が高い職場で働くことができます。次に、50代で派遣として働く具体的なメリットをみていきましょう。
ライフスタイルに合わせて働くことができる
派遣は正社員と比べて、働く時間や期間があらかじめ決められています。家族の介護や病気による通院で働く時間が限られる場合でも、時短勤務や週3~4日など働く時間も選べて、残業も発生しにくく働きやすいでしょう。
部署異動や転勤は基本的に発生しないため、引越しが難しい人でもおすすめです。短期から長期間の雇用契約まで、自分のライフスタイルに合わせて働き方を選べます。雇用契約期間満了を迎えると、新しい職場へ赴くことになる一方で、新しい環境・人との出会いが増えて、刺激を受ける機会も多くなります。
参考:週4日以内のお仕事を検索
パート・アルバイトと比べて時給が高い職場で働くことができる
今までの仕事で培ってきたスキルを活かして、派遣でも高時給案件を得られます。厚生労働省が調査した派遣労働者の賃金に関する調査結果では、派遣労働者の時間給換算額は「1,250円~1,500円未満」が27.8%で最も高い結果となりました。平均賃金は1,510円で、性別でみると、男性が1,648円、女性が1,400円です。
地域によっては、パートやアルバイトの最低賃金が951円のところもあります。全国加重平均が1,055円としても、派遣スタッフの平均賃金が高い結果であることがわかるでしょう。
時給はスキルや経験によって変動しますが、事務に必要なOAスキルや営業・接客で得たコミュニケーションスキル、企画やマーケティング、人事・経理などの専門スキルなど、これまでの経験やスキル次第で、パートより高い時給の仕事に就ける可能性が高くなります。
出典:厚生労働省 令和4年派遣労働者実態調査の概況 p.3
出典:厚生労働省 令和6年度 地域別最低賃金 答申状況
多くの職種から仕事を選べる
派遣会社は幅広い業界の求人を扱っており、50代でも未経験の業界にもチャレンジしやすい環境が整っています。正社員では仕事の種類が限定されることも多く、幅広い仕事にチャレンジしたいと思っても、未経験の場合には難しい場合があります。
正社員の採用が難しく諦めていた業界でも、派遣社員から直接雇用も夢ではありません。ただし、採用されるためには、自身の経験してきた業種以外に挑戦する柔軟な心構えが重要です。新たに挑戦してみたい仕事がある場合は、仕事内容や職場の雰囲気、研修制度を事前に派遣会社に確認しておくと安心です。
50代で派遣として働くデメリット
50代で派遣として働くことには、多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。派遣の働き方は、柔軟な勤務スタイルや多様な職場を経験できる魅力がありますが、正社員とは異なる制約や不安定な部分も抱えています。具体的なデメリットについてみていきましょう。
スキルや経験が求められることがある
派遣の仕事は一定の業務スキルと経験が求められます。もし、未経験の仕事に応募した場合は、マッチングに至らないケースやマッチングされても思うような評価を得られないケースも少なくありません。
職種は違っても、職場経験がある業界であれば、採用されやすい傾向にあります。希望の職種に採用されない場合は、携わったことのある業界から探してみるのもおすすめです。
責任のある仕事は担当できないことがある
派遣スタッフは、業務内容が明確に定められているため、決められた仕事をこなすことが求められます。
派遣スタッフは就業先と直接雇用契約を締結していません。そのため、これまで管理職や社内教育などに携わり、そのスキルが備わっていても、組織全体を俯瞰して戦略を立てるような責任の大きい仕事を担当する機会は限られています。
派遣期間の上限がある
派遣スタッフは「同一の派遣先企業かつ同一業務だった場合、働き続けられる期間は3年まで」と労働者派遣法で定められています。働く期間は定められていますが、多様な仕事を経験に挑戦でき、自分の適性にも気づくことができるでしょう。
また、新しい派遣先企業で、新しい仕事も覚えて、職場ではゼロから人間関係を築くことに精神的な負担を感じるかもしれません。3年が経過すると、派遣先もしくは派遣元企業での直接雇用に切り替えてもらうか、同じ派遣先企業でも別の部署への異動や職種の変更が必要です。
50代から派遣として働くおすすめの職種
50代から派遣として働く際には、年齢や経験を活かせる職種を選ぶことが重要です。特に、人手が不足している業界では、スキルがなくても採用されることもあり、未経験でも挑戦しやすい環境が整っています。そうした職種を狙うことで、これまでの経験を活かしながら新たなキャリアを築くことが可能です。
介護・看護
介護や看護業界は人材不足が続き、「未経験可能」としている求人も多くあります。2025年を境に、1947~1949年生まれの団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり、少子高齢化や労働力不足が懸念されている問題が発生しています。今後、後期高齢者数が増加し、医療や看護の現場に対応できる人材の確保が急務です。
50代は対人折衝力や人生経験が豊富なため、介護や看護の現場でコミュニケーションを活かした仕事ができます。求人には、ケアマネジャーや介護福祉士など資格が必要な職種だけではなく、資格や経験がなくても応募が可能なものもあります。50代でも派遣会社の制度を利用して、資格取得を目指せるところもあります。介護や看護はシニア世代が活躍している職場も多くおすすめです。
エンジニア・プログラマー
50代になっても現役で活躍できるエンジニアやプログラマーは、派遣先企業でも魅力を持つ人材です。エンジニア歴が長いことも多く、プログラムの歴史や進化を目の当たりにしてきたため、業務への応用力も高いと判断されます。
株式会社矢野経済研究所が発表した「デジタル人材関連サービス市場に関する調査を実施(2024年)」によると、今後もデジタル人材関連サービス市場規模は増加が予想され、IT人材が世の中で求められていることがわかります。企業のDX推進やアナログ作業をデジタル化するデジタライゼーションの高まりにより、ITやデジタルスキルの習得に向けたリスキリングも盛んです。
今まで培ってきた経験を活かして、企業に貢献する仕事ができます。
出典:株式会社矢野経済研究所「デジタル人材関連サービス市場に関する調査を実施(2024年)」
設計・品質管理
設計・品質管理の分野では、長年の経験や専門知識が非常に重要視されます50代の方は、これまでのキャリアで培った技術力や業界知識を十分に活かすことができます。若手社員では得られない深い洞察力や問題解決能力が評価され、即戦力として重宝されるでしょう。
また、製造業は比較的規則正しい勤務体系が多く、仕事とプライベートのバランスが取りやすい環境が魅力です。
製造
製造の仕事は必ずしも体力が重要ではなく、業務内容によっては座って作業できるものもあるため、50代でもおすすめです。
作業を黙々とおこなうのが苦手ではない方や定型作業が好きな方、モノづくりが好きな方にはおすすめの分野です。多くの製造業の仕事では、PCのスキルは求められないため、PC操作に不安がある方でも安心して仕事ができます。
ピッキング
ピッキングは定型作業が中心で、複雑なスキルや専門知識が不要です。50代でも活躍できる環境が整っています。
基本的に作業に集中して取り組むため、静かな環境で働きたい方におすすめです。また、フルタイムだけでなく、時短勤務やパートタイムなど、柔軟な勤務形態を選べます。介護や病気の通院など、生活スタイルに合わせて働き方を選択できる点も魅力です。
事務職
50代は事務職の経験があり、雑務などをこなせる能力がある人は、事務職もおすすめです。一般事務、営業事務、金融事務、保険事務データ入力、人事・総務、経理・財務、貿易事務、英文事務など事務職経験者を対象とした派遣求人が多くあります。特に金融事務や英文事務はスキルが求められるため、高時給の傾向にあります。
幅広い業種で必要とされている職業のため、自分の趣味や経験に合った業界を選べるのも魅力の一つです。
コールセンター
コールセンターは企業の窓口として電話で顧客対応をおこないます。業務は電話受信専門のインバウンド、発信専門のアウトバウンドの2種類です。
インバウンドでは商品の問い合わせや申し込み、サポートなど顧客からかかってきた電話に対応、アウトバウンドでは顧客に電話をかけて、商品の紹介やアンケートをおこないます。コールセンターは、ほかの職種と比較し時給が高い傾向にあり、高いスキルがなくても、話をしたり聞いたりすることが好きな人におすすめです。
50代派遣社員に求められるスキル
50代はこれまで培ってきた経験を活かすだけでなく、派遣先企業で求められるスキルを意識することが重要です。周囲との円滑なコミュニケーションや職場の環境に適応する能力は、職場での信頼関係を築き、契約更新や評価に大きく影響します。具体的に解説します。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、どの業界や職種でも、仕事を円滑に進めるために欠かせません。派遣スタッフは派遣会社から派遣されて勤務しているため、派遣先企業の指揮命令者に指示を仰いだり、周囲の社員と協力したりする際に必要です。
コミュニケーションが取れないことで、業務に支障をきたし、職場に馴染めずにいれば、派遣契約の更新をしてもらえなくなるリスクもあります。明るく笑顔で挨拶をする、報告・連絡・相談を徹底するなどの対策をしていきましょう。
協調性・柔軟性
派遣先企業では、柔軟性があり協調性がある人物は年上でも職場の人たちと仲良くやっていけると判断されます。多様な人材活用がすすんでいますが、実際には若い世代の社員と仲良くやっていけるのか疑念を抱く企業も多いため、自己都合よりもチームや組織全体を考える姿勢を示すといいでしょう。
協調性や柔軟性があれば、派遣先企業のやり方を理解した上で、適切な対処を求められる派遣スタッフは、職場の環境に合わせて行動できます。そうすることで派遣先企業からの信頼が積み重なり、高い評価につながります。
50代で派遣として採用されるには
50代で派遣社員として活躍するには、これまでのキャリアや経験をしっかりと活かすことが重要です。ただし、これまでの実績だけでなく、柔軟な姿勢や新しい挑戦に対する意欲も採用に大きく影響します。50代で派遣として力を発揮するポイントを詳しく解説していきます。
自分のスキル・強みを活かせる仕事を探す
50代から派遣スタッフとして仕事を始める際は、今まで培ってきたスキルや経験を振り返り、自己分析をしましょう。今までのキャリアを棚卸しすることで、あなたの強みがより明確になり、幅広い職種で活躍できます。
自己分析をする時には、以下を中心に考えていきます。
・今までやってきた仕事内容や役割
・身につけたスキルや知識
・特に意識して取り組んできたこと
・失敗して、改善したこと
できたことも大事ですが、何ができないことかを理解しておくことも大切です。
また、強みを活かせる仕事は、必ずしもこれまで経験した業種や職種に限りません。幅広い視点を持って、自分の強みを活かせる仕事を探していきましょう。
条件を絞りすぎない
50代は20~30代の若者と比較して、求人数は少ない傾向にあります。採用されるためにも、条件を絞りすぎずに、幅広い業種や職種に応募しましょう。幅の広い希望条件を持っている人は、積極的に求職している印象を持たれやすくなります。
応募が少ない求人は、競争率も低くなります。希望条件を整理し、譲れない条件と妥協できる条件を決めて、派遣会社の担当へ伝えましょう。
自分のスキルや経験をアピールする
派遣会社の担当者には、これまで得たスキルや柔軟に対応できる性格、新しいことへの学習意欲なども効果的にアピールしましょう。豊富な人生経験や高いスキルを持っていても、うまく伝えられないケースもあります。
スキルを十分にアピールできないと、好条件の求人の機会を逃してしまうかもしれません。十分にアピールできない方やブランクがあって心配な方は、派遣会社の担当者と一緒に今までのスキルや経験を棚卸しして、アピールポイントを整理していきましょう。
まとめ
50代から派遣として働くことは、難しいと思われがちですが、実際には多くの中高年層が派遣で活躍しています。派遣は自分のペースで新たなキャリアに挑戦でき、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。キャリアの棚卸しをおこない、自分にぴったりの仕事を見つけていきましょう。
50代からの派遣でも挑戦できる多様な求人が多くあります。未経験からでも始められるお仕事や、これまでの経験を活かせる専門職まで、あなたにぴったりの求人を探してみてください。
- ライター:小山真奈
- ITパスポート、日商簿記2級を保有。学生時代はパソコンのサポートスタッフ、その後中小企業の経理を経験して、フリーライター兼オンライン秘書へ。SEOやLPを中心にした集客のライティングと経理で培った強固な財務体制づくりで、お客様の事業加速のサポートをしている。