気づかないうちにストレスがたまる在宅勤務! ストレスの原因や予防策、解消方法を解説
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、在宅勤務を導入する企業が急速に増加しました。それにより、通勤のストレスや職場環境のストレスなどから解放され、これまで以上に仕事がやりやすくなった方と感じる人も多くなりました。
一方で、在宅勤務はメリットも多い反面、これまで経験したことがない働き方であるためストレスがたまりやすいというデメリットがあります。本記事では、在宅勤務のストレスの原因と予防法、ストレスを解消する方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
在宅勤務でストレスがたまる主な原因
では、在宅勤務では具体的に何が原因となってストレスが発生してしまうのでしょうか。
それぞれ紹介していきます。
仕事とプライベートを切り替えにくくなる
在宅勤務でストレスがたまる主な原因の1つ目は、仕事とプライベートを切り替えにくくなることです。会社に出勤するのであれば、家を出たタイミングや会社に到着したタイミングで仕事モードに切り替えることができます。また、仕事が終わり退社した時点でプライベートモードに切り替えることもできるでしょう。
在宅勤務になってしまうと、「出社」という概念自体がなくなるため、仕事とプライベートの切り替えが難しくなります。また、スーツなど仕事用の服装に着替えることで仕事モードに切り替える人も多いなか、在宅勤務であれば私服での作業で問題ないため、気持ちの切り替えが難しい場合もあります。
このように仕事とプライベートの境目が曖昧になるため、切り替えが難しい。また、常に仕事をしている気分になったり、プライベートな時間に仕事をすることで憂鬱になったり、ストレスがたまる人が増加しています。
運動不足になる
在宅勤務でストレスがたまる主な原因2つ目は、運動不足になることです。
通勤が不要となり家から出る機会が減る在宅勤務では、どうしても運動量が減ってしまいます。オフィス内での移動やランチに行く飲食店までの距離など、意識せずとも歩いていたことも、テレワークではなくなってしまいます。
厚生労働省の令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」によると、1日の歩数の平均値は男性で6,793歩、女性で5,832歩となっています。
20~64歳を対象とした理想の歩数、男性9,000歩、女性8,500歩を下回る平均値ですが、コロナ禍以前は運動不足解消のため、最寄り駅からひと駅先の駅まで歩いて電車に乗る、もしくは勤務地の最寄り駅からひと駅手前で下車して歩くなど、通勤とセットで運動していた方もいるでしょう。
通勤がなくなり、かつ外出も控えることが推奨されるこのコロナ禍において、運動不足は多くの人のストレスの原因となっています。
コミュニケーション不足による孤独感
在宅勤務でストレスがたまる主な原因3つ目は、コミュニケーション不足に起因する孤独感です。在宅勤務という環境に身を置くと、コミュニケーションを取る手段の多くがチャットやメールになってしまいます。したがって、対面で話をする機会がほとんどなくなるため、コミュニケーション不足に陥り孤独を感じてしまいます。
厚生労働省の「テレワークを巡る現状について」の調査でも、「テレワーク環境下では、非対面のやりとりで相手の気持ちがわかりにくく不安、業務上の指示ややりとりに支障がある、会話が減って寂しさを感じる」という回答が多く寄せられていました。
仕事上でのやり取りに限らず、面白い話をしてくれる人や愚痴を聞いてくれる人、相談に乗ってくれる人と話をすることは、ストレス発散の観点で非常に重要です。またこのような話し相手はその多くが職場にいる、という人も多いでしょう。
特に話をすることが好きな人や誰かといる方が落ち着く人にとっては、話し相手がいない在宅勤務はつらい環境です。こちらも、在宅勤務の導入が引き起こすストレスとしては、多くの方が感じていることでしょう。
同居人によるストレス
在宅勤務でストレスがたまる主な原因4つ目は、同居人です。たとえば夫婦の場合、お互いの会社が在宅勤務を導入した場合、1日のうちほとんどの時間を近い距離で過ごすことになり、さまざまな摩擦が生まれストレスを抱え込むことにつながってしまいます。「コロナ離婚」という言葉が話題になりましたが、その理由はまさに一緒にいる時間が増えたことが要因の1つです。
ある不動産ポータルサイトの調査では、「今住んでいる家はテレワークに向いておらず、不満がある人は7割以上」という結果がありました。同居人の存在やワーキングスペースを確保できるかの問題、生活音の問題などが、テレワーク環境に影響を与えているという声もありました。
また、20代~40代の配偶者がいる男女1,200人を対象にした調査では、5割以上の女性が「家事・子育て」にストレスを感じていました。在宅勤務になり子供の面倒を見る時間が増えた人も、育児疲れでストレスがたまることもあります。
特に1人の時間が好きな方にとっては、長い時間を同居人と一緒にいることが最大のストレスの原因となることも少なくありません。在宅勤務によって同居人に対する不満は、大きなストレスの原因といえるでしょう。
リフレッシュできる機会がない
在宅勤務でストレスがたまる主な原因5つ目は、リフレッシュできる機会が少なくなることです。週に1度だけ贅沢するランチ、職場の人たちと行く仕事終わりの飲み会、休憩時間に同僚とする愚痴話など、会社に出勤するからこそ取り入れやすいリフレッシュ方法はたくさんあります。
しかし在宅勤務では、出勤する時に比べて、リフレッシュできる機会は大幅に減ってしまいます。また新型コロナウイルスの感染を避けるために、ショッピングセンターや居酒屋、カラオケ、などこれまでリフレッシュに利用していた娯楽施設に行きづらくなったことも要因のひとつといえるでしょう。結果的に、平日だけではなく休日も在宅になってしまう方も多いでしょう。
ストレス社会とも称されるこの時代、何かしらの方法でリフレッシュしないとストレスは蓄積していきます。こちらも在宅勤務をするうえで、多くの方が感じているストレスの原因です。
在宅勤務のストレス予防法
このようにさまざまなことが原因となって在宅勤務のストレスは発生してしまいます。ですが、ストレスの発生を未然に防ぐことも可能です。ここからは、その予防対策を紹介していきます。
メリハリをつける
仕事にメリハリをつけることで、在宅勤務のストレスを予防することができます。
たとえば、「このタスクは13時から始めて15時まで終わらせる」「2時間働いたら10分間休憩を取る」「どんなにタスクが残っていても、19時以降は仕事をしない」などのように、あらかじめルールを定めるようにしましょう。
在宅勤務においては、時間的な制約が曖昧になりやすいです。その分、自己管理をすることで、前述した仕事とプライベートの切り替えによるストレス発生を予防できます。特に休憩時間は明確に定めることをおすすめします。在宅勤務では、ついついだらけてしまい、仕事が先延ばしになることも少なくありません。それは結果的にプライベートの時間が減ることになるため、仕事の時間と休憩の時間はきっぱりと分けて、メリハリをつけましょう。
「スマホや本など集中が阻害されるものはデスクから遠い場所に置く」「仕事部屋を設ける」「在宅勤務で人目がなくても、仕事用の服に着替える」などの工夫は、メリハリをつけるうえでは効果的です。自分に合ったメリハリのつけ方を見つけてみてはいかがでしょうか。
生活リズムを一定にする
また、生活のリズムを一定にすることで、ストレス予防につながるケースがあります。会社に出勤する場合であれば、毎朝起きる時間や仕事が終わる時間はある程度決まっているため、不規則な生活になることは多くありません。
しかし、在宅勤務の場合、始業直前に起きる日もあれば、取引先との会議があり準備が必要で朝早く起きる日もありバラバラです。このような不規則な生活はストレスの原因となってしまいます。
予防策としては、毎朝同じ時間に起床、食事、就寝をすることを意識しましょう。ただ、自己管理の要素が強いため、「自分に負けてしまって結局ギリギリまで寝てしまう」などの悩みをお持ちであれば、同居人などに協力を仰ぐのもいいかもしれません。
コミュニケーションの機会を作る
人とコミュニケーションを取る機会をあえて作ることも、ストレスの予防につながります。
前述したように、在宅勤務中は主なコミュニケーション手段がチャットになるため、他人と話をする機会が大幅に減り孤独を感じる人が増加します。
そこでおすすめなのが、チャットで完結する内容でもあえて電話やWebカメラを用いたオンライン会議の機会を増やし、対話というコミュニケーションを増やすことです。対面ではありませんが、誰かと言葉を交わすことが、孤独感解消の近道です。
コミュニケーションを取る際、注意すべき点も押さえておきましょう。
まずは、相手の都合を考慮することです。電話やオンライン会議では、「相手が今対応しても問題ないかどうか」の事前確認はするようにしましょう。
また、オンライン会議を開催するのであれば、オンライン会議のマナーを把握する必要があることです。通信環境を整えておくことも、オンライン会議のマナーのひとつといえるでしょう。
在宅勤務のストレスを解消する方法
前述した予防策をうっても、知らず知らずのうちにストレスがたまってしまうのはよくあることです。最後に、在宅勤務のストレスを解消する方法を紹介します。
体を動かす
1つ目の解消法が、体を動かすことです。
家の外に出てランニングやウオーキングをすることで、運動不足を解消させることが可能です。また家の中という閉鎖的な空間から出ることで、気分もリフレッシュできます。
ただし、コロナウイルス感染予防対策としてマスクは着用するようにしましょう。マスクを着けると昼間は熱中症の可能性が高まるため、外での運動は涼しくなる夜におこなうことをおすすめします。
他にも、家の中でできる簡単なストレッチをすることもストレスの解消につながります。デスクワーク中に、上半身ストレッチや下半身ストレッチをすることも可能です。いくつか紹介しましょう。
・体側伸ばし
椅子に座ったまま、左右それぞれの体の側面を伸ばします。脇腹の筋肉も使うので、ウエストを引き締める効果もあります。
・胸の前で合掌
胸の前で両手のひらを合わせ、押し合うことで胸筋を鍛えることができます。バストアップの効果が期待できそうです。
・かかとの上げ下げ
足首を動かすことで血流も良くなります。デスクワーク中でもできますね。
また、夜寝る前やお風呂上り、ちょっとした休憩などで2~3分ストレッチをする時間を取るのも有効です。気が付いた時に運動を取り入れるのもいいですが、決まった時間に体を動かすことをルーティン化すると、仕事とプライベートのメリハリをつけることにもつながります。
環境を変える
2つ目の解消法が、環境を変えてみることです。
仕事をする時は長時間座っていても負担にならない椅子に変えるのも方法のひとつです、また、仕事をする部屋をたまに変えてみるのもいいですが、近くに、インターネットの環境が整ったコワーキングスペースやレンタルスペースなどがあったら、利用することを検討してみましょう。
日光が当たる場所で仕事をするのもおすすめです。日光を浴びることでストレス軽減の効果があるセロトニンが分泌されます。セロトニンは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、ストレス軽減だけでなく集中力の向上効果もあるとされています。
薄暗い部屋が仕事部屋になっているようでしたら、定期的に日光が当たる部屋に移動して作業をしてみてはいかがでしょうか。
プライベートの時間を充実させる
3点目の解消法が、プライベートの時間を充実させることです。在宅勤務は通勤時間がなくなる分、プライベートに使える時間が多くなるというメリットがあります。
たとえば、余分にできた時間を使って普段やらない趣味にチャレンジすることも良いかもしれません。DIYや筋トレなどは家の中でもできる趣味なので、これまで知らなかった新しい世界を発見できる可能性も高いでしょう。
ある調査では、テレワークになってから、「家族と過ごす時間が増えた」「趣味の時間が増えた」「家事・育児や介護を両立できるようになった」「『資格取得などの勉強する時間が増えた』といった回答が多く寄せられていました。
在宅勤務によって自宅で過ごす時間が増えたことで、プライベートの充実につながるメリットを感じている人も多いようです。
在宅勤務を支える便利グッズの利用
4点目の解消法が、在宅勤務を支える便利グッズの利用です。
職場であれば、デスクやチェアなど必要最小限の仕事環境がそろっているため、作業をするうえでのストレスを感じることはそう多くありません。一方で在宅勤務の場合、マウスではなくタッチパッドで仕事をしていて作業効率が悪い、床に座って仕事をすることで体が痛くなるなど、仕事環境が悪くなっている人もいるかもしれません。
そんな時は便利グッズを利用してみてはいかがでしょうか。たとえば高機能マウスの導入、体に負担のかからない椅子の導入など、利用するだけで仕事効率が格段に上がる場合もあります。結果的にストレスの解消にもつながります。
また便利グッズは、会社が在宅勤務の環境整備として費用を負担してくれる場合もあります。会社のルールによっては自費で支払わなければならないこともあるため、まずは上司などに確認するようにしましょう。
まとめ
在宅勤務は、コミュニケーション不足になるなどストレスの原因となる要素もありますが、それだけではありません。通勤がなくなりプライベート時間が増えるなど、メリットもあります。そして、そのメリットを活かせば出社することよりも良い生活環境をつくることも可能です。
また、ストレスチェック制度など利用して自身の状態を把握することも大切です。
「ストレスチェック」とは、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。労働者数が50人以上の企業では年に1回実施することが義務化されており、対象となるのは全ての労働者(契約社員、パート、アルバイト、派遣スタッフも含む)です。
※ただし、契約期間が1年未満の場合と、勤務時間が所定労働時間の4分の3に満たない場合は対象外となります。
また、派遣スタッフの場合、派遣元(派遣会社)のコーディネーターに相談するようにしましょう。それでも、ストレスが限界を超えそうな場合は、無理をせずメンタルクリニックなどで医師に相談をすることも検討しましょう。
- ライター:Ayako(ライター)
- 就職氷河期に社会に出たのち、技術専門誌の雑誌編集やインタビュー記事の執筆を経験。現在は、ライフスタイルやサブカルチャーなどに関するライティングと動画編集に携わっています。