
新卒で派遣社員になるメリットは?正社員との違い・キャリアプランを解説

新卒で派遣社員として働くことは、柔軟なキャリア形成やスキルアップのチャンスがある働き方のひとつです。派遣会社のサポートを活用することで、自分に合った職場環境を見極めながら働けるため、正社員としての入社後に「思っていた職場と違う」と感じるリスクの軽減にも繋がります。本記事では、新卒で派遣社員として働くメリットや注意点、新卒派遣のキャリアプランについて詳しく解説します。
目次
新卒で派遣社員になることはおすすめ?

新卒で派遣社員になることは、ワークライフバランスを重視する方やフルタイム以外の働き方を希望する方にとって、特に魅力的な選択肢です。本章では派遣の働き方がおすすめな人について紹介します。
色々な職場で仕事をしてみたい人
派遣社員は、契約終了後に異なる職場を選べるため、幅広い経験を積むことができます。新卒の段階でさまざまな業界や会社の雰囲気を知りながら、自分に合ったスキルや適性を見極められるのが大きな魅力です。また、派遣社員として働いた後に正社員登用の道が開かれるケースもあるため、慎重に会社選びをしたい人にとっても理想的なステップと言えます。
プライベートの時間を大切にしたい人
派遣社員は勤務時間の融通が利きやすいので、趣味や家族との時間を重視したい方に向いています。特に、フルタイム以外の働き方をしながらワークライフバランスを重視する方には魅力的です。
キャリアについて明確なビジョンが決まっていない人
社会に出る前の人は、自分がどんなキャリアを築きたいか明確でない場合があります。派遣社員として働くことで、さまざまな職場を経験し、自分に合った働き方や業界を見つけることが可能です。
派遣社員とは

派遣社員とは、派遣会社と雇用契約を結んだ上で、派遣先の会社で働く形態の働き方を言います。給料が支給されるのは派遣会社からですが、実際に仕事をするのは派遣先の会社になるという点をおさえましょう。
派遣の働き方にはいくつか種類があり、それぞれ特徴が異なります。自分の希望やライフスタイルに合った派遣の形態を選ぶことが大切です。
登録型派遣
登録型派遣は、派遣会社に登録し、自分のスキルや希望条件に合った派遣先で働く形態です。契約期間が限定的であることが多く、案件ごとに仕事を選べる柔軟性があります。
その一方で、契約が終了すると次の案件を探す必要があるため、安定的に働けるという保障はありません。
登録型派遣は特に、短期的な仕事を希望する人や、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方をしたい人に向いています。
紹介予定派遣
紹介予定派遣は、一定期間派遣社員として働いた後、派遣先企業と直接雇用契約(正社員、契約社員、アルバイト、パートなど)を結ぶことを前提とした派遣形態です。通常、派遣期間は最大6か月とされ、その間に派遣先企業の業務内容や職場環境を確認し、自分に合うかどうかを見極めることができます。
正社員への登用を目指す人にとって魅力的な選択肢ですが、登用が保証されているわけではない点には注意が必要です。
常用型派遣
常用型派遣は、派遣会社に無期雇用の社員または有期契約の社員として雇用され、派遣先会社で働く形態です。派遣先が決まっていない期間でも派遣会社から基本給(満額ではなく6割程度が一般的)が支給されるため、収入の安定性が高い点が特徴です。
ただし、派遣先の業務内容や条件に柔軟に対応する必要があるため、幅広いスキルや経験が求められることもあります。この形態は、安定した雇用を望みつつ、さまざまな職場で経験を積みたい人に向いていると言えるでしょう。
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お悩み解決!派遣コラム|派遣社員とは?正社員やアルバイトとの違いや仕事内容をわかりやすく解説
正社員と派遣社員の違い
正社員と派遣社員では、雇用形態や待遇にさまざまな違いがあります。主な項目別に比較してみましょう。
項目 |
正社員 |
派遣社員 |
雇用形態 |
会社と直接雇用契約を結ぶ |
派遣元会社と直接雇用契約を結ぶ |
雇用主 |
直接雇用の会社が雇用主になる |
派遣元会社が雇用主であり、給与や福利厚生などは派遣元会社が責任を負う |
雇用期間 |
基本的には無期雇用 |
登録型派遣の場合は有期雇用契約の場合が多く、更新があるかどうかは派遣先会社の状況次第。数か月単位の雇用期間となることが一般的 |
昇進・昇給 |
長期的なキャリアプランを前提としており、会社の就業規則等により昇進や昇給の機会が設けられているケースが多い |
昇給制度が設けられている場合もある。ただし、昇給や昇進制度の有無は派遣会社によって異なる |
社会保険 |
一般的にはすべての社会保険に加入 |
一定の条件(勤務時間や期間)を満たせば、派遣元会社の保険に加入できるもの |
同一労働同一賃金について
「同一労働同一賃金」とは、同じ仕事をしている場合に、正社員と非正規社員(派遣社員を含む)の待遇格差をなくすためのルールです。2020年にパートタイム・有期雇用労働法や労働者派遣法が改正施行され、派遣社員もこのルールの対象となっています。
派遣社員であっても、正社員と同等の仕事をしている場合には、同じ賃金が支払われることが原則です。
ただし、合理的な事情を考慮した上での待遇差は認められています。正社員との間に合理的な待遇差がある場合には、派遣社員へ待遇の違いや理由を明確に伝えることが法律で義務付けられています。
【参考】:厚生労働省|同一労働同一賃金特集ページ
新卒で派遣社員になるメリット

新卒で派遣社員として働くことには、正社員とは異なるメリットがあります。キャリアを模索中の方や自分に合った職場をじっくり探したい方にとって、派遣という働き方は魅力的です。以下に、具体的なメリットを解説します。
派遣会社のサポートが受けられる
派遣社員として働く際は、派遣元会社からさまざまなサポートを受けることができます。特に新卒の方にとって、就職活動やスキルアップにおける手厚いサポートは大きなメリットと言えます。
具体的には、担当コーディネーターの就職サポートやスキルアップサポートがあげられます。派遣会社には経験豊富なキャリアアドバイザーが在籍しており、自分の希望やスキルに合った職場を一緒に探してくれることがありますので、社会人経験がない方でも安心です。
未経験でも働ける求人が多い
派遣社員の求人には、未経験者を歓迎する案件もあるが特徴です。たとえば、事務職や販売職、接客業など、初めての就労でもチャレンジしやすい職種が少なくありません。初めての職場環境でスキルや経験を積むことで、自分の適性や興味を確認しながら成長していくことが可能です。
様々な職場で実務経験を積める
派遣社員として働くことで、多様な業界や職場環境で実務経験を積むことができます。新卒の段階で幅広い経験を積むことは、その後のキャリアを考慮するうえで価値のあることです。異なる企業や業界で働くことで、事務スキル、コミュニケーション能力、問題解決力など、さまざまなビジネススキルを磨けます。これらのスキルは、派遣期間が終わった後のキャリアにおいても強みとなるでしょう。
異動や転勤がない
正社員の場合、部署異動や転勤が発生することがありますが、派遣社員では多くのケースでそのようなことがありません。決まった勤務地や希望した勤務地で働くため、生活リズムを安定させやすく、プライベートの予定も立てやすいのがメリットです。
新卒で派遣社員になる場合の注意点

派遣社員として働くことにはメリットが多い一方で、正社員と比べた際のデメリットや注意点もあります。以下に、新卒の方が特に知っておくべき注意点をまとめました。
契約期間に制限がある
派遣社員として働く際は、労働者派遣法により派遣先企業の同一組織で仕事ができる期間は最長3年と決められています。そのため、契約更新を繰り返しても、同じ部署で長期間働き続けることはできません。3年が経過した後は、派遣元や派遣先の会社と相談し、新しい勤務先に移る場合があります。
ただし、派遣元会社と直接雇用契約を結ぶ無期雇用派遣は、3年ルールの対象外となっていますので、この点もおさえておきましょう。
責任ある仕事を任せてもらえないことがある
派遣社員は、正社員と異なり短期の契約が多いため、重要な業務や責任の重いプロジェクトを任されない場合があります。業務範囲が明確に決められているため、裁量の大きい仕事を求める人には物足りなく感じることもあるかもしれません。
昇給・昇進が難しい
派遣社員は、昇給や昇進が難しいケースが少なくありません。長期間同じ派遣先で働いても給与が変わらないことが多いため、スキルアップや待遇向上を目指す場合は、正社員や別の職場へのステップアップを視野に入れる必要があります。ただし、昇給や昇進については、雇用契約を結ぶ派遣会社による部分も大きく、昇給の制度を設けている派遣会社も存在します。
賞与制度がない場合がある
派遣社員は、賞与(ボーナス)の支給対象とされていない場合があります。賞与を重視する場合は別の雇用形態を検討することも必要です。ただし、賞与制度の有無は派遣会社によっても異なりますので、気になる場合は確認をとりましょう。
派遣が禁止されている業務がある
派遣社員として働ける業務には制限があり、法律で禁止されている業務も存在します。具体的には以下の業務が対象です。
● 港湾運送業務
● 建設業務
● 警備業務
● 医療関連業務(一部例外あり:看護師や医師など)
● 士業関連業務(弁護士や税理士などの専門職)
これらの業務を希望する場合は、正社員や契約社員等、派遣社員以外の形態で働く必要があります。
【参考】厚生労働省|労働者派遣事業を行うことができない業務は・・・
派遣社員の給与

派遣社員として働く際の給与水準等について解説します。
平均時給
2024年9月度の調査によれば、三大都市圏(関東・東海・関西)の派遣スタッフの平均時給は1,685円で、前年同月より50円増加しています。特に医療・介護職やクリエイティブ職など需要が高い職種で時給が上がっていることが分かります。地域ごとに時給の差があるため、自分のスキルや希望に合わせた職場選びが重要です。
ただし、すべての派遣形態が時給制を採用しているわけではありません。例えば、前述の常用型派遣(無期雇用派遣)という働き方の場合は、月給制が多くなっていますので、一概に上記給与水準ではない点をおさえておきましょう。
【参考】:
ジョブズリサーチセンター|2024年9月度派遣スタッフ募集時平均時給調査(三大都市圏)
正社員との比較
派遣社員の時給は、正社員の時間当たりの給与と比較すると高めに設定されている場合があります。これは、派遣社員が賞与や各種手当などの福利厚生を受けられないケースあるためです。一概には言えませんが、派遣社員と正社員は、それぞれの雇用形態に応じたコスト構造や採用目的等に基づき、諸条件が決定されています。
高度な専門技術や知識が求められる仕事では時給が高くなる
高度な専門技術や知識が求められる職種では、派遣社員の時給が他の職種よりも高く設定されることがよくあります。これらの仕事は専門性が高く、実務経験を活かした即戦力が期待されるため、その分が報酬に反映される傾向があります。特にIT分野や語学スキルを活用する職種では、派遣社員の時給が平均を大きく上回るケースが見られます。
派遣の登録から就業までの流れ

派遣社員として働くためには、派遣会社に登録することから始めましょう。以下で、具体的な5つの流れを見ていきます。
1. 派遣会社に登録
2. 仕事の紹介
3. 職場見学
4. 派遣先企業の決定
5. 就業
1.派遣会社に登録
最初のステップは、派遣会社への登録です。近年では、WEB登録が主流となっており、プロフィールや希望条件を入力するだけで手軽に登録が完了します。派遣会社によっては、登録後にオンライン面談やオフィスでの面談をおこなうこともあります。登録時に、自分のスキルや希望する職種・勤務地・勤務条件を具体的に伝えることにより、適した仕事を紹介してもらいやすくなります。
2.仕事の紹介・決定
登録が完了すると、派遣会社の担当者から希望条件に合った仕事が紹介されます。複数の求人が提案されることもあるため、仕事内容や条件を比較して最適なものを選びましょう。不明点があれば担当者に相談することで、より詳しい情報を得られます。
3.職場見学
派遣先会社での仕事が正式に決定する前に、職場見学が実施される場合があります。職場見学では、実際の職場環境や業務内容、職場の雰囲気の確認が可能です。
4.派遣先企業の決定務例
職場見学後、派遣先企業と派遣会社の間で合意が成立すれば、派遣先が正式に決定します。この時点で、勤務開始日や契約期間、仕事内容などの詳細が通知されます。契約内容をしっかり確認し、不明点があれば派遣会社の担当者に相談しましょう。
5.就業
契約内容の合意後に、派遣先会社での就業が始まります。派遣先での業務は、派遣先の指示に沿っておこないます。就業中に困ったことやトラブルがあった場合は、派遣会社の担当者に相談することもできます。
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スタッフサービスグループ|はじめてガイド
新卒派遣のキャリアプラン

派遣社員として働きながら、自分に合ったキャリアを築いていくためには、計画的なステップアップが重要です。以下では、新卒派遣で働く方におすすめのキャリアプランを解説します。
紹介予定派遣を活用する
紹介予定派遣は、前述のとおり、一定期間派遣社員として働いた後に派遣先会社と直接雇用契約を結ぶことを前提とした働き方です。派遣期間中に仕事内容や職場環境を把握できるため、入社した後のミスマッチのリスクを減らせます。新卒で職場選びに迷う場合や自分に合った企業を慎重に選びたい方にとって、紹介予定派遣はキャリア形成の有効な選択肢のひとつとなるでしょう。
常用型派遣(無期雇用派遣)で働く
常用型派遣(無期雇用派遣)は、派遣会社に正社員や契約社員として雇用されながら派遣先企業で働く形態です。この働き方では、派遣期間が終了しても派遣会社との雇用契約は続くため、次の派遣先が見つかるまでの間も給与(満額ではなく6割ほどの最低保障額)が支給されるというメリットがあります。また、派遣会社から安定したサポートを受けつつ、異なる職場で幅広い経験を積むことが可能です。特に、安定した収入を確保しながら、さまざまな職場でスキルを磨きたい新卒の方におすすめです。
自分で転職活動をする
派遣社員として働きながら、自分で転職活動をすることも選択肢のひとつです。派遣の仕事を通じて得たスキルや経験を活かして、より高い条件の正社員や契約社員のポジションを目指すことができます。ただし、転職活動に充てる時間を確保するため、派遣の契約内容や勤務スケジュールを調整することが必要です。派遣元・派遣先会社に迷惑をかけることがないよう、計画的に進めましょう。
まとめ
新卒で派遣社員として働くことは、柔軟な働き方やキャリア形成の選択肢を広げるステップのひとつです。派遣の特徴や注意点を理解し、自分に合った働き方を選ぶことが成功への鍵となります。紹介予定派遣や常用型派遣などを活用すれば、経験を積みながら安定性も確保できます。派遣社員としての経験を活かして、正社員や次のステップへの道を切り開くことも可能です。
- ライター:川西 菜都美(監修兼ライター)
- 結喜社会保険労務士事務所代表。貿易事務や人事部門、経理など複数の企業でさまざまな部署を経験し、部門ごとのスタンスの違いについて深い理解も持ち合わせている。多様な現場で培った経験を活かし、複雑な労務問題にも柔軟に対応。クライアントと共に成長できる仕事にやりがいを感じている。