私らしく生きる。あたらしい働き方発見インタビュー ~Vol.3~自分の軸をしっかり持つことが、やりたい仕事への近道に
終身雇用、年功序列で発展した日本では長い間、転職回数は少ない方がいいという風潮がありましたが、最近では自分の価値を客観的に捉えて、転職しながらスキルを磨いている人も増えつつあります。自分の価値を高めるためにはどのように働いたらいいのか、悩んでいる方も多いことでしょう。そこで今回は、人材総合サービス会社からアプリ開発会社などの転職を経て、現在はバートンジャパン合同会社でデジタルマーケティングマネージャーとして活躍している佐藤繭子さんに、ご自身のキャリアの作り方、これからのことについて伺いました。
仕事でのこだわりは、やりたいことをやること
― 新卒で入った会社では、営業をやっていたんですね。
新卒で入社した会社は、人材系の会社でした。将来的にはサービスや商品などを売る力がないと、せっかくいいものを作っても日の目を見ないと思ったので、とにかく最初は売る力をつけたかったんです。
― なかでも人材紹介会社を選んだ理由は?
私が入社した頃は、人材業界とコンサル業界の2つの業界が就活生の人気トレンドでした。そこで、私は当時急成長を遂げていた人材業界を選びました。私は人材紹介部に配属されたので、新規顧客の開拓をするために企業へ訪問し、人材紹介サービスを利用してもらえるように営業をしていました。その後求人の依頼をいただいたら、候補者を推薦するのが主な仕事でした。その中でWeb系の企業に関わることで、技術進化が早く常に新しい刺激を受けられるWeb業界に魅力を感じ、次第に「この業界で働いてみたい」と思うようになりました。そこで、まったくの未経験でしたが、外資系のWebアプリケーション、エンタメ系ポータルサイト運営をおこなっている会社に転職をしました。最初は、プロデューサーとしてポータルサイトのコンテンツのバイイング(仕入れ)を担当していました。その後プロモーション、Webマーケティングなどを担当し、IT・Web系の企業をいくつか経験しました。これらの経験を活かして、昨年、スノーボードメーカーのバートンジャパンに転職しました。
― バートンジャパンを選んだ理由は?
私が転職活動をしているときに、日本のデジタルマーケティングチームを立ち上げるためのメンバーの採用を開始したところでした。これまで続けてきた卸売とフラッグシップストア(旗艦店)でアイテムを売るだけでなく、もっとデジタルを活用したダイレクトな販売を強化したいと考えていたようです。ゼロからの立ち上げというところが自分にとっては魅力的でした。
バートンは、スノーボード、バインディング、ブーツといったハードグッズのイメージが強くて、街でも気軽に着られるウェアの存在は意外と知られていません。この部分のマーケティングを私たちのチームで強化し、もっと多くのお客様に知っていただきたいと思っています。
― デジタルマーケティングとは、実際にどのようなことをしているのですか?
おおまかに言うとWebを使って、自分たちの商品やサービスを世に知らせていくことがデジタルマーケティングです。今、Web広告やSNSでコンテンツをアップしたり、キャンペーンに合わせて広告を出稿したり、自分たちのブランド認知を上げていくような施策を行っています。
― これから、どんなことをやっていきたいですか?
お客様は圧倒的に男性が多いのですが、女性にももっと知ってもらい、スノーボードやキャンプなど様々なアクティビティにチャレンジしてもらいたいと思っています。例えば、今まではコンテンツのビジュアルも男性がメインでしたが、女性にも興味を持ってもらえるコンテンツを増やしたいと思っています。キッズもあるので、家族みんなで楽しめるというメッセージもそのひとつです。今は、新しく考えて実践していくことがメインなので、大変ですが楽しいです。
― どんなところが大変ですか?
やっぱり日本とアメリカとでは商習慣が違うところでしょうか。例えば、日本では自社のアプリを作っているブランドが多くありますが、アメリカではスマートフォンでWebサイトを見て買うほうが主流のようです。日本でお客様とコミュニケーションの接点を増やすにはアプリが便利なので、そういう細かな日本の商習慣をアメリカ本社にしっかり説明しないといけないところが大変ですね。
― 仕事へのこだわり、大切にしていることは?
私が仕事を選ぶ上で譲れないことは、「自分がやりたいこと」が出来る環境に身を置き続けることです。自分がやりたいという気持ちがなければ、そもそも続かないと思うのです。そういう意味で、やりたい仕事をやらせてもらえる環境があるどうかを重視して転職先を決めています。
なんとなく転職したいと思っていると、いろいろな会社の面接を受けるだけ受けてしまって、自分が何を重視しているのか見失ってしまうこともあるかと思います。私の場合は、今までの経験を活かし、ドキドキする仕事ができるところと軸を決めて仕事を探すようにしています。
特にIT・Web業界はすぐに新しいサービスが生まれるなど変化が激しい業界なので、自分が一番興味のあるやりたいことを選んでいくべきかなと思います。
転職は人脈が広がり、新たな何かが生まれるキッカケに
― バートンに転職して得たものは?
今回初めて有形商材を扱う会社に入って、モノありきの仕事がいかに難しいかを知ることができました。また、転職によっても人間関係が広がりました。ある時、尊敬していた先輩が「僕と接点のある人を君は活用していいんだよ」と言ってくれたことがあります。人と人との繋がりから、新しい何かが生まれることが仕事の醍醐味だと思います。
― 仕事をしていて一番やりがいを感じる瞬間は?
特に今は、新しいチームを立ち上げて1年なので、チャレンジし、学びが多い日々です。実際にやってみてうまくいくこともあるし、うまくいかないこともあります。その中で例えば自分たちの施策が成功して売り上げが上がったなど、「これが正しい」という具体的な成果がでるものを自分で作りあげていけることが楽しいですね。本を読んで、マーケティングを勉強することも必要ですが、それが全てに当てはまることはないので、実際にやりながら自分なりの答えを見つけていくのがおもしろいです。
― 逆に悩むことはありますか?
たまに1年前や3年前を振り返った時に、あの時から成長していないんじゃないかと思った時は、「この先どうしようか」と悩むことはあります。成長しているかな?と考えて、「スピード感がちょっと足りないな」と思ったら、チャレンジしている方向性を変えて、ほかの道を探してみたりします。場合によっては、もっと自分自身を高めるために転職するという選択肢もあると思います。
― どんな時に、つらいと感じますか?
仕事でつらいと思ったことはすぐに忘れてしまいます。その分、楽しいことやおもしろいことのほうが勝ってしまうぐらい。マネージャーとして数年働いていますが、やっぱり組織がうまく回ってない時、みんなの活気ややる気がどんどんなくなっていく時はつらいと感じます。
― そういう時はどのように乗り切るのですか?
うまくいかない原因を分析します。相手に興味を持たず、自分の主張ばかりして威圧的になってしまうと雰囲気も悪くなってしまうと思うので、みんなの嫌なことと好きなことは何なのかを考えます。部下の得意なことや好きなことを知り、コミュニケーションを取ることで、徐々に距離が近くなって社内の空気が良くなっていきます。社内の「空気」をいい方向へ持っていけたと実感できると、メンバーのモチベーションUPに繋がっています。
― これからどういう働き方をしていきたいですか?
もともといろいろなことに興味があって、飽き性なところもあるので、スペシャリストよりは、オールラウンダーになりたいと思っています。たくさんの人の見方を理解して整理しながら仕事をできれば、ものすごく大きなことができますよね。それを俯瞰的に見られるビジネスパーソンになりたいです。
一般的な例で言うと、すごくプログラミングに長けているのに、コミュニケーションが得意ではないために結果が出ていないとか、自分勝手に営業し過ぎて、もっと大型の案件を取れるはずなのに取れていないとか。でも、他の人がその苦手な部分を補填すればきっと結果はより良い方向に向かいますよね。それぞれの得意なところはもっと伸びるように、苦手なところは得意な人がそれをサポートできるようにすれば最終的にいい方向に行くだろうなと思っているので、そういった意味で人と人をまとめるスペシャリストになりたいと思っています。