「いい人」をやめて職場の人間関係を築く方法
困っていることがあったら助けてくれる、残業していたら手分けしてくれる、そんな「いい人」、あなたの職場にもいませんか。優秀でよく気がつき、真面目で思いやり深い人たち。
ただ、職場を支えているこんな「いい人」たちのなかには、周りに気を遣いすぎてしんどい思いをしている人もいるかもしれません。もしかしたら、あなた自身にもあてはまるかも? そんな心あたりがある方に向けて、「いい人」をやめて職場の人間関係を築く方法を紹介します。
目次
「いい人」ってどんな人?
業務スキルが高く、よく気がつき、真面目で思いやりがある。それゆえ、周囲の人から頼られることが多く、また頼られるとなんとかして期待に応えようとしてしまう。もしかして、あなたもそんな「いい人」のひとりではありませんか?
「いい人」のこうした特徴は、本来なら美点となるものですが、そのせいで、面倒な仕事を押し付けられて、本来の自分の業務に遅れが出てしまったり、心身に無理がかかったりするようなことがあれば、少し問題です。もし、「いい人」でいることに疲れてしまっているなら、この機会に意識や行動を少し変えてみませんか?
あなたも「いい人」になっていない? 「いい人」チェックリスト
ただ、自分のことは、なかなか客観的に見られないものです。「モヤモヤすることはあるけれど、働いていたら、これが普通なのかもしれないし……」。そんな気持ちを抱えている人は、まずはこのチェックリストを試してみましょう。
□頼まれると断れない
□誰かが困っていると、つい手伝ってしまう
□手伝わないと、自分が悪いことをしているような気持ちになる
□誰かのために、自分の予定を変更することがしばしばある
□自分の意見を強く言えない
□人からどう思われているか気になる
□几帳面で細かいことが気になる
□真面目で責任感が強い
□人と対立することが苦手だ
□自分の欲求は後回しにすることが多い
0~3個チェックが入ったら……
適度に自分の意見を主張し、聞き入れられているようです。100%満足とはいかなくても、比較的ストレスが少ない状態と言えるでしょう。
4~7個チェックが入ったら……
黄色信号です。ときどき割り切れない思いを抱えているかもしれません。この状態が長く続くと、ストレスが溜まりそうです。
8個以上チェックが入ったら……
「いい人」に陥っている可能性があります。上司や同僚から理不尽な仕事を押し付けられていませんか? ストレスが爆発する前に、「いい人」から脱却する必要がありそうです。
あなたが「いい人」になってしまう原因
上のチェックリストで、黄色信号以上の人は、なぜ「いい人」になってしまうのか、立ち止まって考えてみましょう。たとえば、次のようなことに心あたりはありませんか?
人からよく思われたい
人間は社会的動物ですから、周囲といい関係を築いていくのは生きていく上で必要なことです。ですから、人からよく思われたいというのも、自然な気持ちでしょう。ただ、それが強くなりすぎると、自分を犠牲にしてでも、他人に尽くす方を選んでしまいがちです。
自分に自信がない
自分に自信がない人は、人から何かを頼まれると、「こんな私を頼りにしてくれているのだから期待に応えるべきだ」と感じてしまいます。また、断れば嫌われてしまうのではないかという不安から、無理な依頼も引き受けがちです。
主体性がない
自分の意思や判断に基づいて行動する経験が乏しく、人から指示されて動くことに慣れてしまっています。そのため、無理な指示に対しても従順に対処しようとします。
生まれ育った環境
親や兄弟・姉妹から頼られることが多い環境で育ち、自他ともに認めるしっかり者。誰かが困っていたら、つい助けてしまう面倒見のよさが、行動パターンに染み付いてしまっている人もいるでしょう。
「いい人」から脱却する方法
いきなり「いい人」をやめることはできないかもしれませんが、手始めに次のようなことを始めてみましょう。あなたの変化を受けて、次第に周囲の人たちも変わっていくかもしれません。
「お願い」を断ったらどんなデメリットがあるか、書き出してみる
「お願い」を断ったら、相手の機嫌を損ねてしまうのでは? と心配なのかもしれません。しかし、機嫌を損ねたところで、それだけのこと。不機嫌はいつまでも続きませんし、何回かお断りが重なれば、相手も他の「いい人」を探すようになるでしょう。
相手が上司や先輩など上の立場の人であった場合も、自分の業務を正しく遂行しているならば、多少の気まずさがあったとしても、本来問題はないはずです。もし、それ以上のことを要求され、従わないと不利益を被るようなことがあれば、ハラスメント相談窓口に相談することも考えましょう。
「お願い」を断るフレーズを用意しておく
「いい人」は断ることが苦手です。断ることに慣れていない人は、その場で断りの言葉がスッと出てこないこともしばしばです。あらかじめ、断りの鉄板フレーズを何パターンが準備しておきましょう。
「今日はこのあと先約があるので、お手伝いできそうにありません。お力になれず申し訳ありません」
「今は○○の業務を急ぎでやっていますので、その仕事は他の方にお願いしてもいいでしょうか?」
「その手の仕事は得意ではないので、お引き受けすると、かえってご迷惑をかけてしまうと思います」
などは、汎用性が高い断りフレーズです。
ほかには、
「○○さんのご依頼をお断りするのは心苦しいのですが」などのように、相手の名前を入れて断るのも、誠意を表す効果があるのでおすすめです。
これまで快く引き受けてくれていたあなたが断れば、相手は驚くかもしれませんが、もちろん、どちらに非があるわけでもありません。自分も相手も、断る・断られることに慣れていき、少しずつその頻度を上げていきましょう。
自己主張をする癖をつける
自己主張といっても、声高に自分をアピールするということではありません。意見を聞かれた時、「どちらでもいい」「みんなと同じでいい」などと言うのをやめることです。他の人と同意見であったとしても、「私も○○さんと同じ意見です」と、意思を明確にします。いつも「どちらでもいい」と言っている人に対しては、周りの人たちも気持ちを確認しなくなる傾向があります。
得意分野をつくる
根拠のない自信も困りものですが、その反対に自信のなさも、さまざまな場面でマイナスに作用します。ていねいな仕事ぶりや細やかな気遣いは、派手さはなくとも称賛に値するものです。もっと自分に自信を持ちましょう。
それができないから悩んでいるのに……という人は、他の同僚にはない得意分野をつくるといいかもしれません。パソコンスキルや、デザインのセンスなど、比較的楽しんで取り組めそうなことを探し、その分野のスキルを高めてはいかがでしょうか? 自分の立てた目標に向かって努力していくことそのことが、自信になっていきます。
まとめ
最後に、誤解がないように言っておきたいのは、「いい人」は仕事を円滑に回すために大切な働きをしているということです。だからといって、あなたがいつも「いい人」でいる必要はありません。自分の気持ちを優先して、できない時はできないと、はっきりと意思表示しても大丈夫。その方が、周囲もあなたを尊重するようになり、結果的に自分の望む人間関係が築けるようになるでしょう。