30歳を過ぎたら、子育てをしながら専業主婦に専念したいと思っていました。
Kaizen Platform は、Webサイト改善のワンストップサービス(A/Bテストツール、サイト改善の企画提案、改善デザイン制作のクラウドソーシング)を提供している会社です。場所や時間にしばられない新しい働き方に積極的に取り組んでいます。社員はオフィスだけでなく、自宅やカフェなど、様々な場所で働いているそうです。
今回はKaizen Platformで、Customer Successを担当されている岡田奈津子さんに、Kaizen Platformで働くことになった経緯とワークスタイル(働き方)についてお話を伺いました。
目次
30歳までに、一生分働いたと思えるような
仕事をしたかったんです。
― まずは、現在のお仕事に就いた経緯を教えてください。
大学卒業後、大手ブライダルプロデュース会社に入社しました。入社後は、ウェディングプランナーとして、約100組の結婚式のお手伝いをしました。他のブライダル会社は、工程ごとに担当者が変わることが多いのですが、私の入社した会社は初めて会場を見学するときのご案内から、挙式・披露宴のプランニング、披露宴終了までの全工程を一人のウェディングプランナーが担当するという珍しいスタイルの会社だったので、最初から最後まで携わることができました。
実は、ウェディングプランナーになりたかったというよりは、ベンチャー企業を希望していたんです。
3社のベンチャー企業で迷っていて、社風をみてブライダル事業をおこなっている会社に決めました。
― 色々な企業や業種がある中で、ベンチャー企業を希望したのは何故ですか?
当時は、30歳までしか働く気がありませんでした。専業主婦の家庭で育ったこともあって、30歳を過ぎたら、子育てをしながら専業主婦に専念したいと思っていました。だから大学卒業から30歳までに、一生分働いたと思えるような仕事をしたかったんです。そう考えると、ベンチャー企業の方が「たくさん働けたと思えるかな?」「下積み時代だけでは終わらないかな?」と思いました。当時は良妻賢母になりたいという思いが、人一倍強かったので、色々経験をすれば、30歳以降、旦那さんや子供を支える時に、いい経験を積んだと思えるのではないかなと考えていました。
転職した当時、PVはプロモーションビデオの略だと思っていました。
― ウェディングプランナーから、転職しようと思ったのは何かきっかけがあったのですか?
ブライダル事業の会社から、26歳くらいで転職をしているのですが、ウェディングプランナーはすごく楽しいけど、社会の一部しか知らないなと思って、別の会社に行って色々見てみたくなったんです。
そして転職を考えた時に、お客様のニーズをヒアリングし、提案をして反映させるという部分が、一番面白くて楽しかったので、せっかく転職するなら会社全体の企画ができたら楽しそうだと思って、大手SNS運営会社に転職しました。
転職後の所属部署は、マーケティング部でした。入社したころの私は、インターネット用語も何も知りませんでした。例えば「PV(ペ―ジビュー※)」と言われても、PVは、プロモーションビデオの略だと思っていましたし、毎日業務についていくのが大変でした。
※ 特定のページが何回見られたかという数字。
― 確かにPVって、プロモーションビデオの略称ともとれますね。
ですから転職当初は、企画職の仕事は任せてもらえるものがありませんでした。
担当させてもらえた仕事は、芸能人事務所に行って、芸能人の方々にブログを書いてもらう営業の仕事でした。 その後、営業職を続けながら勉強して、念願の企画職に移ったのが28歳手前くらいでした。
お客様の気持ちが全く理解できず・・・
共感の限界がきてしまいました。
― 企画職になったきっかけは、何だったのですか?
上司の異動です。営業時代にお世話になった上司が、企画職に異動して、その時に一緒に連れて行ってくれました。そこに異動してからは、キャンペーンの設計をして、実際キャンペーンを回してみて、エクセルで分析をし、ピボットなども初めて組んでみたりしました。
― 企画職に就いてからは、誰かのアシスタントではなく最初から構成案まで全て担当していたのですか?
最初は全部一人でおこなっていました。キャンペーン規模が大きくなってきてからは、色々な人に手伝ってもらいながら進めていましたね 。あとは、サイト運用改善をメインでやっていました。その頃には、SNSとしてだけでなくゲームポータルサイトとしても成長していたので、ポータルサイトに「どんなゲームを掲載するか?」「どのタイミングでどのゲームをどのユーザーに見せるのが一番いいか?」など、効率を見てコンテンツなどを差替えたりしていました。
― ゲームのポータルサイト運用をおこなっていたということですが、ゲームはお好きだったのですか?
ゲームは、昔から苦手でほとんどやったことがありませんでした。
― では実際に働いているときは、担当しているゲームなどプレイをしてみましたか?
一応、やってみました。その後、会社を辞めた理由も結局そこにあって。当時仕事で、ユーザーによる表示内容の出し分けをかなり細かくやっていたのですが、本来はユーザーの気持ちがわかればわかるほど、「こういうものがいいだろう」というような発想が出てきて、それらを表示してみてユーザーの反応を見て、改善を繰り返すことで、最終的にお客様にいいものが届けられて喜んでいただける、というストーリーなのですが、途中までいくと数字をみて、判断できることが少なくなってくるんです。
でも私自身は、やっぱりゲームにそこまでの興味がもてなくて、全く理解できず・・・共感の限界がきてしまいました。
そんな時に、Kaizen Platformでクライアントのサイト改善の仕事をサポートする組織を立ち上げようとしていると聞き、好きなサイト改善の仕事がいろいろなサイトでできるなら、ぜひやりたいと手を挙げて、転職しました。
「わからない」と思い込んでいたのは、
自分の方でした。
― 確かにユーザーに共感できると、エンハンスや企画をする際も、改善イメージや発想が早かったりしますよね。
そうなんです。ただKaizen Platform入って、1年半経って思うのは、もっと想像できたなということです。例えばターゲットユーザーが、私とは対極にいるようなタイプの人や、一生関わることがないタイプの人だったとしても、想像してみると「こういうことなのかな?」とわかってくることもあって。
「わからない」と思い込んでいたのは、自分の方でもっと想像して、近づくことはできたのかなと、仕事を通じて思いました。だから当時の自分は、知る努力がプロとして欠けていたかなと思っています。本当はウェディングプランナーのときに、「相手の気持ちを想像して寄り添う」ということを一番学んだはずなんですけどね。
「この人がこう考えるのは素晴らしいな」
というリスペクトの心をもって、
話すことを心がけています。
― それではコミュニケーションについて質問させてください。現在Kaizen Platformでは、グロースハッカーというクラウドソーシングで働くデザイナーのネットワークを利用して、デザイン制作をしていると思います。恐らく知識やタイプの違うグロースハッカーの方たちが多いと思うのですが、やり取りで特に気を付けている点がありましたら、教えていただけますか?
現在、Kaizen Platformには約4,000人のグロースハッカーが登録していますが、地方に住んでいる方が多いので、ほとんどお会いしたことはないですし、顔も性格も性別すらもわからないこともあります。
だからこそ、「相手がなぜこういうことを言っているのだろう?」というのはいつも考えています。
私は企業とデザイナーの間にたって、仕事をしていますが、企業が求めていることと、デザイナーの角度が違って、話がかみ合わないことが多々あります。
そういう時は、とにかく前提として相手を尊重しています。「こう考えているのはなぜか?」ということを想像しています。そのうえで、どうやって求める方向にいったらいいか、最後まで丁寧に向き合う努力をしています。
前提にあるのは、それぞれ経験値があって、尊重すべきところだということです。「この人がこう考えるのは素晴らしいな」というリスペクトの心をもって、話すことを心がけています。
― ありがとうございます、とても勉強になりました。実はグロースハッカーは福岡在住の方が多いと聞いていたので、どうしても文字だけのやり取りが多くなってしまうのではないかと思っていました。これは効率が良い反面、テキストコミュニケーションだけでは、ニュアンスが伝わりづらく、認識齟齬などが起きやすくて、とても難しそうだなと思っていたので質問させていただいたのです。
そうなんです。実はそこに関しては、会社としても個人としても、かなり気を配っています。
私の場合は、一緒に仕事をするグロースハッカーのメンバーがある程度固定化されてきたので、グロースハッカーの顔がわかります。ですからクラウド上の人たちと働いているというよりは、チームメンバーが福岡などにいて、リモート(遠隔)で働いているという感じです。
社員たちも、リモートで働いているので、どちらにしても気を付けなければいけないことは同じなんです。
会社としてもコミュニケーションを取る時には、オープンで透明性の高い情報のやりとりをするように、すごく気を付けています。それとテキストコミュニケーションが多くなるので、社員は皆そのあたりのスキルは多少あるかもしれないですね。
「あなたのことを大切に思っています!」
というのを全身で、伝えるようにしています。
― もしコミュニケーションスキルで何か具体的な例があれば、教えていただけますか?
背景を必ず、伝えるようにしています。こういう背景があったから、こういうことをしたいと思っていて、そのためにこういうご協力を頂きたいです、という話をちゃんと丁寧に伝えます。
リモートで働くのは、遠距離恋愛とにていて、喧嘩をすると取り返しがつかなくなります。時差などがあると、特に。ですから無駄に喧嘩しないようなコミュニケーション、誤解されないようなコミュニケーションが、大切になります。
だから久しぶりに会う時は、「あなたのことを大切に思っています!」というのを全身で、伝えるようにしています。表情も含めて、とても気を遣っています。それから、テキストコミュニケーション中に「これは何か誤解しているかな?」と思った時には、すぐに電話をすることもあります。
「あなたのことを気にかけています。」という意思を出すのは、結構大事だと思います。
リモートで働く代わりに、
結果でお返しするという強い意志があります。
― つぎは、現在の岡田さんの働き方について教えていただけますか?
現在Kaizen Platformでは、未経験から学べる「ママ向けWebグロースハッカー養成講座」など、働き方の提案を積極的におこなっている印象がありますが、岡田さん自身は働き方で工夫している点は、ありますか?
特別工夫していることはありませんが、週2~3日はリモートで働いています。
Kaizen Platformでは、プロセスではなくて結果で評価をしていくというのを、大事にしています。
リモートで働いているので、実際はさぼっているかもしれない。でもそれを疑いだすときりがないから、それを結果でお返しするという、個人の強い意志と、結果を見ていくという、会社や組織としての意志があるから、上手くいっているのかなと思っています。
今は180度方針転換して、
ずっと仕事は続けたいなと思っています。
― それでは、今後の目標やプランについて教えてください。
海外で働いてみたいというのと、ウェディングのネットマーケティングのお手伝いをしたいと思っています。28歳ぐらいの時に、初めてマネージャーになってチームを持ったころぐらいから、「専業主婦になるよりも、仕事している方が面白い」と思うようになりました。それから、30歳までに一生分くらい働くのは、ようやく無理だと気付いたのもあります。今は180度方針転換して、ずっと仕事は続けたいなと思っています。
インタビューを終えて
岡田さんは、当時を振りかえりながら、「今になってみると、ウェディングプランナー時代に経験したことは、すごく価値のあることばかりだった」と話してくださいました。転職をした当時は、不安やご苦労もたくさんあったと思いますが、同期の方たちから「胸張って行って来い!」と言われたことを支えに、今も働いているそうです。
特別にウェディングプランナー時代、習得した笑声を披露していただきました。笑声は、文末に♪(音符)マークが付くイメージで話すそうです。
Kaizen Platform, Inc.社内の様子