ヘッドハンティングとは?メリット・デメリットや注目されている背景について解説
近年では採用方法の多様化が進んできました。日本でも導入する企業が増えてきた採用方法のひとつに「ヘッドハンティング」が挙げられます。ヘッドハンティングは、他社の人材をスカウトする採用方法で、転職潜在層に対してもアプローチをかけられる採用手法です。
ただし、ヘッドハンティングにはデメリットも存在します。本記事では、ヘッドハンティングの概要やメリット、デメリットとともに、ヘッドハンティング会社の種類について解説します。
目次
ヘッドハンティングとは
ヘッドハンティングとは、他社に勤務している優秀な人材を自社にスカウトする採用方法です。経営を担う能力や、専門スキルを持った人材にアプローチをかけます。以下のような人材をスカウトするのが一般的です。
● 経営者、取締役といった経営幹部
● 特殊な技術や資格を保有する人材
● マネジメントスキルを持った管理職
● 高い成果を上げている営業
求人を募集するよりも、優秀な人材に対するアプローチを確実にできる方法として注目を集めています。従来は外資系企業で導入されていました。近年では、雇用の流動化やビジネスのグローバル化が進んだことにより、日本企業でも導入する企業が増えてきました。
ヘッドハンティングの種類
ヘッドハンティングの種類には、登録型とサーチ型が存在します。登録型は、いわゆる転職エージェントを利用する方法です。転職を希望している人に、人材紹介会社のプラットフォームに登録してもらい、企業が求める条件と登録者の情報をマッチングさせます。
サーチ型は、独自のネットワークや人材データベースから、企業が求める条件に見合った人材に対して直接アプローチをかける方法です。自社の役員や採用担当からアプローチをかける方法や、人材紹介会社のサービスのひとつとしてスカウトを行うケースがあります。
このサービスを提供している人材紹介会社を「ヘッドハンティング会社」と呼びます。登録型のスカウト対象となるのは、転職意思があり人材紹介会社に登録している人のみであるのに対し、サーチ型は転職意思を持たない人材もスカウトの対象です。
スカウトの対象範囲の違いが、登録型とサーチ型の違いといえます。
ヘッドハンティングが注目されている背景
ヘッドハンティングが注目されている背景には、以下の変化が挙げられます。
● 人材不足
● 最新技術のニーズの高まり
● 転職志向が強くなっている
ここでは、ヘッドハンティングが注目されている背景について、それぞれ解説します。
人材不足
ヘッドハンティングが注目されている背景として人材不足が挙げられます。近年の日本では、少子高齢化の影響により、売り手市場となっています。思うように人材を採用できないため、人手不足になっている企業も少なくありません。
そのため、企業には応募者を待つだけの採用方法ではなく、人材獲得に向けて攻めの姿勢をとる必要がでてきたのです。そこで注目された手法が、ヘッドハンティングです。ヘッドハンティングは、現時点では転職活動を開始していない潜在層にもアプローチできます。
これまでの採用手法だけでは、人材獲得が困難になってきたことにより、ヘッドハンティングを導入する必要がでてきたのです。
最新技術のニーズが増加
最新技術のニーズが増加してきたことも、ヘッドハンティングが注目されている背景に挙げられます。近年では、ITやAIの進歩により、これらの技術に対応できなければ企業が生き残れない時代になってきました。
さまざまな業界で最新技術を持った人材が求められている一方、そのような人材は限られているため、簡単に獲得できるわけではありません。最新技術に対応できる人材を獲得するには、競合他社よりも早くアプローチをかける必要があります。
競合他社よりも早く最新技術を持った人材にアプローチをかける方法として、ヘッドハンティングに注目が集まっています。
転職志向が高くなっている
転職志向が高くなっていることも、ヘッドハンティングが注目されている背景に挙げられます。近年では、終身雇用制度の崩壊が叫ばれており、転職者数も増加しています。
総務省が発表した労働力調査によると、過去5年の転職希望者は以下の結果となりました。
2018年:834万人
2019年:848万人
2020年:865万人
2021年:897万人
2022年:968万人
この結果からも、転職志向が高まっていることが読み取れます。転職志向の向上を受け、企業側からアプローチをかけるヘッドハンティングが注目されました。
ヘッドハンティングと引き抜きの違い
ヘッドハンティングと混同される用語に「引き抜き」があります。ヘッドハンティングと引き抜きの違いは、スカウトする職種の範囲と仲介の有無です。一般的に、ヘッドハンティングでスカウトする対象となるのは、経営幹部や幹部候補などの企業内で上位階層に位置する人材です。一方、引き抜きは人材の階層に関係なくスカウトします。
また、ヘッドハンティングでは転職エージェントやヘッドハンティング会社などの仲介会社が、人材のスカウトをサポートするケースが一般的です。それに対し、引き抜きは自社の社員が知人に直接アプローチしてスカウトするのが一般的です。
引き抜きよりも戦略的要素が高いスカウト方法が、ヘッドハンティングといえるでしょう。
ヘッドハンティングを利用するメリットとデメリット
ヘッドハンティングは、優秀な人材や転職潜在層を採用できるというメリットがあります。その反面、デメリットとして採用コストがかかることや、アプローチ開始から採用が決まるまでに時間がかかることが挙げられます。
メリットとデメリットを理解したうえで、戦略的に取り組むことが大切です。ここでは、ヘッドハンティングを利用するメリットとデメリットについて解説します。
メリット:優秀な人材や転職潜在層を採用できる
ヘッドハンティングを利用するメリットとして、優秀な人材や転職潜在層を採用できることが挙げられます。企業で上位階層にいる人材や、高いスキルを持った人材は、すでに他社で活躍していることでしょう。
そのため、経営幹部や高いスキルを持ったエンジニアを獲得しようとしても、転職サイトや人材紹介会社で見つけるのは簡単ではありません。しかし、ヘッドハンティングであれば、転職を考えていない人材や転職に向けて動き出していない人材といった「転職潜在層」へのアプローチが可能です。
転職希望の有無にかかわらず、求める人材に対してアプローチできる点が大きなメリットといえるでしょう。
デメリット:採用コストと時間がかかる
ヘッドハンティングを利用するデメリットとして挙げられるのは、採用コストと時間がかかることです。ヘッドハンティングの対象となるのは、他社で活躍している優秀な人材です。自社が求める人材が見つかったとしても、その人材が転職を考えていないケースも考えられます。
そのため、候補者に対し、コミュニケーションをとりながら自社への入社を促す必要があります。スカウトする人材が所属している企業との交渉が必要になるケースもあるでしょう。
日本では、職業選択の自由が保証されているため、本来であれば本人に転職意思があれば転職できます。しかし、どの企業も優秀な人材の流出は回避したいものです。スカウトした人材の企業が自社と取引関係にある場合、関係性が悪化する可能性も考えられます。
優秀な人材を流出したくない思いから、好条件を提示するといった引き止めをするケースも珍しくありません。そのため、交渉に時間を要し、アプローチをかけてから入社までに数年を要するケースもあるようです。
また、採用に至った場合、転職エージェントやヘッドハンティング会社への報酬も発生します。報酬は理論年収の40%に設定するところも存在します。この場合、理論年収1000万円の人材を転職エージェントやヘッドハンティング会社を利用してスカウトした場合、報酬は400万円になります。
ヘッドハンティングには時間と労力、コストが必要なことを理解しましょう。
ヘッドハンティング会社の種類
ヘッドハンティング会社は企業によって特徴があり、主に以下の3つに分けられます。
● 欧米型(エグゼクティブサーチ)
● フルサーチ型
● 業界特化型
ここでは、それぞれの特徴について解説します。
欧米型(エグゼクティブサーチ)
欧米型は、エグゼクティブサーチともいわれ、経営幹部クラスのスカウトに特化したヘッドハンティング会社です。欧米ではヘッドハンティングの歴史が長く、経営幹部を他社からヘッドハンティングしてくることは一般的でした。
その流れを受け、外資系ヘッドハンティング会社は経営幹部クラスのヘッドハンティングを得意としています。
フルサーチ型
フルサーチ型は、経営幹部だけではなく、中間管理職や専門的なスキルを持った人材の発掘やマッチングを得意とするヘッドハンティング会社です。幅広い職種や階層の人材がスカウト対象となるため、企業が求める条件を持った人材を獲得できます。
ただし、スタウト対象が幅広いことにより、リサーチにも時間が掛かります。デメリットを理解したうえで、利用しましょう。
業界特化型
業界特化型とは、IT業界や不動産業界、広告業界といった特定の業界に特化した人材のスカウトを専門とするヘッドハンティング会社です。特定の業界出身者をスカウト担当にすることにより、業界の人脈を駆使したマッチングができます。
ただし、あくまでもヘッドハンティング会社が持つ人脈の範囲内でのスカウトになるため、アプローチできる範囲は広くありません。求める条件によっては、紹介にすらたどりつかないケースがあることを理解しましょう。
まとめ
ヘッドハンティングとは、他社で勤務する優秀な人材をスカウトする採用方法です。経営幹部や特殊な技術や資格を保有する人材、高い成果を上げている営業といった人材にアプローチをかけます。求人を募集するよりも、優秀な人材に対するアプローチを確実にできる方法として、日本企業でも導入する企業が増えてきました。
ヘッドハンティングは、優秀な人材や転職潜在層を採用できるメリットがある反面、採用コストや時間がかかることがデメリットです。メリットとデメリットを理解し、自社の状況と照らし合わせたうえで、採用方法を決めることが大切です。
<ライタープロフィール>
田仲 ダイ
エンジニアリング会社でマネジメントや人事、採用といった経験を積んだのち、フリーランスのライターとして活動開始。現在はビジネスや教育関連の分野を中心に幅広いジャンルで執筆を手掛けている。