チョコレートで安眠効果? 眠れないときに試してみたいナイトチョコレート
睡眠不足は、高血圧や糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病の原因になるともいわれています。理想的な睡眠を得るにはどうしたらいいのでしょうか。睡眠の実態について紹介するとともに、睡眠効果を促進するといわれる「ナイトチョコレート」について解説します。
目次
日本人は睡眠を十分に取れていない!
人はいったい毎日何時間眠れば良いのでしょう?理想の睡眠とはどのようなものなのかを見ていきましょう。
最適な睡眠時間の目安
必要な睡眠時間は6時間以上~8時間未満といわれています。ただ、睡眠時間は個人差もあり、5時間未満の短時間の睡眠で快適に過ごせる人から、成人でも10時間以上の睡眠を必要とする人までさまざまです。年をとると睡眠時間は短くなっていきますし、長く寝たからといって健康になるともいい切れません。つまり、睡眠は年齢や体質など個人的な要因に影響されるため絶対的な基準はなく、日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が一番であるといわれています。
日本人は世界のなかでも特に睡眠時間が短いといわれています。経済協力開発機構(OECD)の調査では、平均睡眠時間のトップは南アフリカの9時間13分で、日本は7時間22分。調査対象となった33ヶ国中、日本はワースト1位という結果でした。
《参考》
厚生労働省:健康づくりのための睡眠指針 2014
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
睡眠に対して悩みを抱えている日本人
寝付きが悪い、寝ても何度も目が覚める、ぐっすり眠れない、寝起きが悪い、疲れが取れない、日中に眠くなってしまうなど、睡眠に関する悩みも人によってさまざまです。
江崎グリコが日本人男女10,000人(20代~60代)を対象におこなった睡眠実態に関する調査では、半数以上が睡眠に対して「悩みがある」(53.3%)と回答。特に、20代、30代の若い世代に悩んでいる人が多いことがわかりました。
さらに、睡眠に関する意識調査では、「リラックスした気持ちで眠りにつきたい」(90.8%)、「睡眠の質を向上させたい」(87.5%)、「食べ物や生活習慣から睡眠の質を上げたい」(80.1%)、「手軽に睡眠を改善できることがあれば試してみたい」(75.9%)といった回答が多く寄せられ、睡眠環境を改善し、より良いものにしたいと望んでいる人が多いことがうかがえました。
今日から試せるナイトチョコレートとは?
手軽に睡眠を改善できる方法のひとつとして、昨今「ナイトチョコレート」が話題になっています。ナイトチョコレートは1950年初頭、アメリカのホテルが宿泊客への心遣いとして、チョコレートを枕元に用意したものと伝えられています。
チョコレートの原料となるカカオには、GABAやテオブロミンなどの成分が含まれていて、就寝前にチョコレートを食べることはストレスを和らげて心身をリラックスさせ、睡眠の質を高める機能があるという研究結果も報告されています。
現在では、世界のラグジュアリーホテルの多くで、ターンダウン(ベッドメイキングなどの就寝準備)のサービスとしてチョコレートを枕元に用意するようになりました。これが「ナイトチョコレート」です。
チョコレートがもたらす効果
チョコレートがもたらす効果には、睡眠の質を高める機能以外にも、肌のアンチエイジング(抗酸化作用で活性酸素の除去や紫外線から肌を守る)、血管拡張作用・冷え性改善、動脈硬化の予防、便通改善、抗ストレス対策などもあるといわれています。
摂取量としては、日常的にチョコレートを20g(板チョコなら約1列)ほど摂るだけでも効果が違ってくるといわれています。ある日本の有名ホテルでは、2.5cm×2.5cmの薄めのもの2枚がナイトチョコレートとして置かれているようです。
また、江崎グリコがおこなったナイトチョコレートを実践している100人を対象にした調査では、「リラックスでき気持ちよく眠ることができる」など、8割以上の人が睡眠に関して良い効果を実感しているようです。
質のいい睡眠をとるために、気をつけたいこと
質のいい睡眠は、心身の健康を維持するための重要な要素のひとつ。睡眠で得られる効果には、疲労回復や生活習慣病の予防、肥満予防、ストレスやうつ症状の緩和、美容促進、美肌効果、運動のパフォーマンスアップなどがあげられます。ナイトチョコレート以外に質のいい睡眠を促進させるための方法をいくつか紹介します。
朝起きたときに太陽の光を浴びる
起床してから2時間以上室内にいると体内時計の同調が十分におこなわれず、就寝時刻が遅れやすいといわれています。体内時計をリセットするには、起床後なるべく早く太陽の光を浴びることが必要で、これが質のいい睡眠につながります。
夕食には消化が良いものを食べる
日本人は、夜にごちそうを食べる習慣がありますが、質の良い睡眠を求めるなら、夕食はタンパク質や脂肪分は少なめにして、消化の良い炭水化物を中心にするのがおすすめです。
食べてすぐ眠るのはNG
理想的には夕食後、3時間ほどあけてから眠るようにしましょう。胃腸が盛んに働いている間は深く眠れませんが、そのころには消化も一段落して、眠りやすくなります。
運動で得る疲労感が眠気を誘う
運動は夕食後1時間以上たっていて、寝床に就く2時間以上前までにおこなうのが理想的といわれています。適度な運動で得る疲労感は、眠りに就きやすくしてくれます。寝る直前に運動すると体温が高くなり過ぎて、寝付くことが難しくなりますから注意しましょう。
入浴はシャワーより湯船に浸かる
入浴は40度くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かるのが効果的といわれています。リラックス効果が得られるだけでなく、体温が上がったことで末梢(まっしょう)血管が広がって放熱が活発になり、深い睡眠を増加させることにつながると考えられています。風呂上がりに手首や足首を伸ばすといった軽いストレッチをおこなうのも効果的です。
寝床に就く前に少なくとも1時間は何もしない
眠る前に何もしない時間を確保するにも有効です。特に、パソコンやスマホの光(ブルーライト)は脳を覚醒する作用があるので、睡眠の質を下げることにつながります。寝る前のパソコンや携帯電話の使用は控えるようにしましょう。
カフェインに注意
眠る前に、カフェインが含まれるコーヒーやお茶などの飲み物を飲むのも控えましょう。カフェインは、脳の中にたまってきた「睡眠物質」の働きをブロックして、眠気を感じなくさせる働きがあるといわれています。栄養ドリンクにもカフェインが含まれているものが多くあります。今日の疲れを取ろうと思って飲む場合は、カフェインレスのものを選ぶようにしましょう。
※参考 厚生労働省 健康局「健康づくりのための睡眠指針2014」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
まとめ
ナイトチョコレートはじめ、質のいい睡眠をとるための方法をいくつか紹介しました。世界的に比較しても睡眠時間が短く、睡眠自体に悩みを抱えている人が多い日本人。眠りたいのに眠れないという人のなかには、努力そのものがプレッシャーとなり、睡眠の妨げになっていることもあるようです。睡眠不足、疲労感の残る睡眠は、健康障害を引き起こす原因にもなるといわれています。専門医にすみやかに相談するようにしましょう。