日光浴でストレスが消える!? 日向ぼっこ効果で仕事効率アップ
新型コロナウイルスの感染予防対策として、在宅勤務をする人が増え、外出を控えている人も多いでしょう。気が付けば家の中に閉じこもり、太陽の光を浴びてない!?ということも。最近、少し気分が晴れない、ちょっとしたことでイライラしてしまう、何となくストレスが溜まっている、と感じる原因は、太陽の光を浴びてないからかもしれません。今回は、ストレス解消など日光浴による効果と手軽にできる日光浴の方法について紹介します。
日光浴とストレスの関係
フィンランドやスウェーデンなどの北欧諸国では、日照時間が短くなる冬季になると、気分が落ち込む、体がだるい、疲れやすいなどの抑うつ状態となる「季節性うつ(SAD)」が古くから問題になっています。これは冬季うつ病とも呼ばれ、日本でも日照時間が減る梅雨の時期や冬になるとSADになる人がいます。一般的にSADは、脳内で分泌されるセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の不足で引き起こされるといわれていますが、日照不足により、皮下で十分なビタミンDが作られなくなることも一因と考えられています。
日光浴と密接な関係があるセロトニン、ビタミンDが、仕事をする上でどのように関係するのか見ていきましょう。
幸せホルモン「セロトニン」
人は、ストレスを軽減させるために脳内に神経伝達物質のセロトニンを分泌しています。セロトニンとは脳を活発に働かせる神経伝達物質のひとつで、別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。
セロトニンを増やすためには、日光浴をはじめ、適度な運動、バランスの良い食事を摂ることが必要になってきます。セロトニンが増えることで、ストレス解消や集中力アップ、気持ちが明るくなるなどの効果が期待できるといわれています。
逆にセロトニンが不足すると、慢性的なストレスや疲労、不眠、仕事への意欲低下、協調性の欠如、うつなどの症状がみられる人もいます。
日光ホルモン「ビタミンD」
日光浴をすることで、体内でビタミンDも作られます。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けて骨を強くし、骨粗しょう症の治療に使われることで知られています。免疫の機能を調整・維持するなど、体の中でホルモンのように働いて、体中の細胞にさまざまな指令を出す、重要な働きを担っています。
ビタミンDは、このように多彩な働きをすること、そして紫外線を浴びて皮膚で作られることから、別名「日光ホルモン」ともいわれています。
しかし、日本人のおよそ半数が、ビタミンDが欠乏している状態と推計されています。その理由としては、美白を意識して日焼け止めを塗ったり日傘を差したり、夏でも手袋をするなど、現代人は、紫外線の悪影響を恐れて、日光を過剰に避けるようになっているためです。また新型コロナウイルスの影響で外出を控える人が多くなり、さらに日光不足が心配されています。
個人によって異なりますが、ビタミンDの欠乏が関連していると考えられている疾患には、がんや認知症、アレルギー疾患、感染症、精神障害(うつ病、季節性うつ、自閉症、統合失調症)などが挙げられています。ビタミンDのサプリメントを摂取することで花粉症の症状が緩和される人が少なくないことも知られています。
心とカラダを元気に保つ日光浴のすすめ
日光浴の正しいやり方をマスターすれば、あらゆる効果が実感できる可能性があります。ストレスを感じている、仕事に対してやる気が出ない、イライラしがちなどを感じている人は、今日から日光浴の効果を意識して生活してみましょう。
■春・夏の日光浴は1日15分程度を目安に
時間帯は正午前後がおすすめ。午後は紫外線量が増えるので注意が必要となります。熱中症にならないよう気を付けながら、日陰での日光浴でも構いません。ただし、赤くなるまで日光浴をしてしまうのは、浴び過ぎている証拠。個人差もありますから、日焼けしやすい方は、短い時間からはじめてみるようにしましょう。
■秋・冬の日光浴は1日30分程度を目安に
秋冬は紫外線が少なくビタミン生成が難しい季節といわれています。春・夏よりも長く30分程度、日光浴をすることをおすすめします。
■日焼け止め
日焼け止めを塗ることで、ビタミンDは生成されにくくなりますが、気になる方は、面積が少ない顔だけ日焼け止めを塗るようにしましょう。どうしても塗りたい場合は、ビタミンD合成に必要な紫外線だけを通す、特殊な日焼け止めも開発されていますので、検討してみましょう。
■外出をして日光浴を
日光浴をして紫外線のUVB波に当たることで、ビタミンDは生成されます。ですから、日当たりがよくても窓際ではガラスで紫外線がブロックされてしまうので、ビタミンDは生成されないのでご注意が必要です。
ランチに出かける、休日にはウオーキングやガーデニングなど、外に出て日光浴をすることをおすすめします。
食事でセロトニンやビタミンDを補給
日光浴以外でセロトニンを補給する場合、乳製品、大豆製品、バナナなど、セロトニンの原料であるトリプトファンを多く含む食品を摂ることをおすすめします。
ビタミンDを含んでいる食品には、魚類、キノコ類などがあります。また、ビタミンDは、サプリメントから摂ることもできます。ただし、ビタミンDを高単位で摂取することにより、ビタミンAが欠乏してしまうケースがあります。ビタミンAが欠乏するとドライアイ、ニキビの原因になることもありますので、ビタミンAも一緒に摂取することを心がけましょう。食事では、レバーやうなぎなどに豊富に含まれていますが、こちらもサプリメントで摂ることができます。
ただし、心身の健康にはバランスの良い食事が基本となります。偏り過ぎず、補うようにしましょう。
まとめ
日光浴はカラダだけではなく心も健康にしてくれる効果があります。天気の良い日にはウオーキングなどで日光浴をする機会を作ってみましょう。春夏は15分、秋冬は30分の日光浴をおすすめしていますが、地域や季節によって紫外線の量が変わるので、体の負担にならないよう注意しましょう。また、水分補給をしながら熱中症予防もしっかりと。
監修
医師/⽇本機能性医学研究所所⻑
1973年⽣まれ。1998年、⽇本医科⼤学卒業後、産婦⼈科医に。その後、美容⽪膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確⽴。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「⽇本機能性医学研究所」を設⽴。著作に「サーファーに花粉症はいない」(⼩学館)、「慢性病を根本から治す『機能性医学』の考え⽅」(光⽂社新書)、「糖質制限+⾁⾷でケトン体回路を回し健康的に痩せる!ケトジェニックダイエット」(講談社)、「病気を遠ざける! 1⽇1回⽇光浴⽇本⼈は知らないビタミンDの実⼒」(講談社+α新書)など。
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