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無期雇用派遣とは? メリットやデメリット、雇用条件、正社員との比較を解説

無期雇用派遣とは? メリットやデメリット、雇用条件、正社員との比較を解説

無期雇用派遣という言葉をよく見かけるようになってきましたが、これまでの派遣サービスと何が異なるのでしょうか?
本記事では無期雇用派遣とは何か、有期雇用派遣や正社員雇用との違い、無期雇用派遣のメリット・デメリットなどをまとめて紹介します。「優秀な派遣スタッフに、ずっと長く働いていてほしい」と考えている企業の担当者は参考にしてください。

無期雇用派遣とは

無期雇用派遣とは、一言でいえば派遣会社が派遣スタッフとの契約終了期間を決めずに雇用契約を結ぶ制度のことを指します。
雇用期間の期限がないため派遣期間制限の対象外となり、派遣先での就業期間の制限を受けずに働くことができるのが特徴です。

背景には、2013年の改正労働契約法「有期契約労働者の無期転換ルール」の施行があります。無期転換ルールとは同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換されるルールです。

《参考サイト》
厚生労働省|平成27年 労働者派遣法改正法の概要

有期雇用派遣と無期雇用派遣の違い


派遣には、「登録型派遣」と「常用型派遣」の2種類があります。

登録型派遣
派遣会社と派遣スタッフが有期雇用契約を結ぶ雇用形態で、一般的に、派遣先での業務が終了したら雇用契約も終了となります。派遣という働き方でイメージされやすいのは、この登録型派遣という方が多いでしょう。

常用型派遣
派遣会社と期限を設けずに(※)契約を結び、派遣スタッフはそれぞれの企業に派遣会社の社員として勤務するというかたちになります。無期雇用派遣とは、常用型派遣の一種になります。
(※)ただし、契約内容によっては有期の場合もあります。

「登録型派遣」と「常用型派遣」の違いをまとめると、下記表になります。

(図表内※1)働く期間で比べると、「登録型派遣」には派遣期間に制限があります。労働者派遣法によって、同じ職場・部署で派遣スタッフとして働ける期間は最長3年までと規定されています。

(図表内※2)すでに、無期雇用派遣として派遣元(ここではスタッフサービスの場合)に雇われている派遣スタッフの場合、3年を超えての就業が可能になります。


「登録型派遣」も「常用型派遣」も雇用元は派遣会社であるものの、派遣期間制限の有無に違いがあるので、人事担当者は理解しておくことが必要です。

無期雇用派遣への転換条件

派遣会社との契約が通算5年を超えると、派遣スタッフは「無期転換ルール」(※3)を使って派遣会社と無期雇用派遣(常用型派遣)契約を結ぶことが可能になります。また、派遣会社の選考で採用されれば、有期雇用を経験しなくても無期雇用派遣となることが可能です。

(※3)労働契約法18条で定められた「有期労働契約が通算5年を超えたときは、労働者の申し込みによって期間の定めのない無期労働契約に転換できる」というルール。また、無期雇用契約転換の申請を受けた場合、就業先の企業は申請を拒否することはできない制度となっています。
(派遣スタッフのみが対象になる「期間制限」と違い、「無期転換ルール」は契約社員・パート・アルバイトなど、すべての有期契約労働者に適用されます。また、「期間制限」は労働者派遣法に関するものですが、「無期転換ルール」は改正労働契約法を指しています)

《参考サイト》
無期限労働契約への転換|厚生労働省

無期雇用派遣と正社員雇用の違い

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正社員と無期雇用派遣の共通点として挙げられるのは、どちらも雇用期間に定めがないこと、月給制で会社によっては賞与があること、正当な理由なく解雇できない点などがあります。それでは、正社員と無期雇用派遣は、どのような点が異なるのでしょうか。

大きな違いは、雇用元が異なる点です。正社員は就業先が雇用元、無期雇用派遣は就業先ではなく派遣会社が雇用元になります。それにともなって、労働条件も正社員とは異なります。正社員は就業先の雇用元の労働条件に従い、無期雇用派遣は派遣会社の労働条件に従うことになります。

無期雇用派遣のメリット

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次に、企業側から見た無期雇用派遣のメリットを紹介します。

・長期間働いてもらえて人材採用のコストを抑えられる
有期雇用派遣では、雇用期間終了にともない派遣スタッフの入れ替えが発生します。そうなると、後任の人材を探したり、業務内容を説明したりするために、人的・時間的コストがかかります。無期雇用派遣では雇用期間に定めがなく、派遣期間制限の対象外であるため、長期間働いてもらえるケースが多く、このようなコストを抑えられる点が、まずメリットとして挙げられるでしょう。

・有期雇用派遣では任せられなかった業務もお願いできる
有期雇用派遣で、派遣スタッフに依頼する業務は契約終了を見据え、決められた期間内で作業可能で、引き継ぎやすい業務が中心となるでしょう。
無期雇用派遣の場合、長期的に勤務してもらうことが可能になるため、積み重ねやレベルアップがあってこそできる業務も担当してもらうことも可能となるでしょう。

・意欲の高い人材に出会える可能性が高い
無期雇用派遣では、「同じ職場で長期にわたり働く」というポテンシャルの高さを持った人材と出会える可能性が高いでしょう。多くの派遣会社では、ビジネスマナーやヒューマンスキルに関する研修をおこなっており、派遣スタッフのスキルアップをサポートしています。

無期雇用派遣のデメリット

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無期雇用派遣のデメリットも把握しておきましょう。

・有期雇用派遣よりコストが上がる場合がある
2020年に施行された「同一労働同一賃金」(例:正社員と同等の仕事の場合、正社員と同等の賃金を支払うべき)や、福利厚生で賞与がある場合などは、これまでの有期雇用派遣とは異なりコストがかかる可能性があります。正社員と大きな違いがないからこそ、コストがかかってしまう可能性があることは念頭に置いておきましょう。

・雇用元が派遣会社という理由で自社への帰属意識が低い場合がある
無期雇用派遣のスタッフが自社の正社員とほぼ同じ働き方をしているとはいえ、雇用元が派遣会社である以上、正社員と同等の帰属意識を求めるのは難しい可能性があります。工夫次第で帰属意識を醸成するのは可能かもしれませんが、「自社の正社員と無期雇用派遣は雇用元が異なる」という前提を理解したうえで接するように、注意しましょう。

無期雇用派遣のポイント

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無期雇用派遣のスタッフに働いてもらう際に、押さえておきたいポイントを紹介します。
派遣会社側が対応すべきことも含め、押さえておきましょう。

企業側の対応

・無期雇用の働き方を念頭に置いた要員計画を立てる
最適な雇用関係を実現するためにも、要員計画を作成し、ポジションごとにどのような雇用形態がフィットするのかを確認しておく必要があります。短期か長期か、スキルが必要か否かによって、雇用形態を選ぶことが重要です。そのうえで、無期雇用派遣を検討するなら、無期雇用派遣の働き方を念頭に置いた要員計画を立てることが重要です。

・従業員募集の情報は派遣スタッフへも開示する
労働者派遣法では「派遣先に雇用される労働者の募集に係る事項の周知」(第40条の5)が定められており、1年以上受け入れている派遣スタッフがいる場合、自社で正社員を募集する際は、派遣スタッフに対してもその情報を周知することが義務となっています。※無期雇用派遣のスタッフの場合は努力義務とされています。

・専門性の高い業務などは自社で育成する必要がある
雇用元の派遣会社でもキャリア育成支援をおこなっているもの、専門性の高い業務に関する育成をおこなっているとは限りません。長期的な計画での育成とは別に専門性を求めるのであれば、自社で専門性を高められるような研修をする必要があります。

派遣会社側の対応

・3年の派遣期間制限を迎える派遣スタッフに意向を確認
派遣会社側の対応になりますが、3年の派遣期間制限を迎えることが確定したスタッフに対して、雇用主の派遣会社は雇用安定措置としてスタッフの意向を確認する義務があります(派遣先の企業が確認することではありません)。
そこで、派遣スタッフが無期雇用を望まない場合、就業を継続することができなくなります。企業側としては、欠員によって業務の滞りが起きないように、派遣会社に相談するなど対策を講じる必要があります。

・業務内容や待遇を派遣先(就業先)の社員と同等にすることも検討
正社員と無期雇用派遣では雇用元や雇用形態が異なるとはいえ、正社員とほぼ同じ働き方となる可能性もあります。そのため、雇用元の派遣会社は業務内容・待遇・対応など、派遣先の社員と同等にする検討も必要になります。

まとめ

無期雇用派遣の概要について、有期雇用派遣や正社員との違い、メリット・デメリット、無期雇用派遣受け入れのポイントなどを紹介しました。
無期雇用派遣は、「若年層の募集をしているが集まらない」「長期的に働いてくれる人材がほしい」などの課題をお持ちの企業様におすすめのサービスです。
本記事を参考に、興味を持たれたらスタッフサービスにご相談ください。

▼「常用型派遣(無期雇用派遣)」についてのお問い合わせ
https://www.staffservice.co.jp/client/service/joyo/


<ライタープロフィール>
高下真美/ライター
人材派遣・紹介会社、求人広告会社での営業を経てフリーランスのライターとして活動中。派遣・新卒・中途の就職関連メディア、企業採用ホームページの取材・執筆、人事コンサルティングを行う。