テレワーク下の新人教育、気を遣い過ぎている!? 部下・後輩社員、上司・先輩社員のそれぞれの本音
コロナ禍が続き、入社時からテレワークをおこなっている若手社員も多いと思います。慣れない環境のなか、仕事をどのように進めたらよいのか、上司・先輩社員とのコミュニケーションをどのようにとったらいいのか、困っている人もいるでしょう。一方で、上司・先輩社員も、部下・後輩社員に対してどのように教育したらよいか悩みを抱えている人も。
今回は、そんなお互いの立場から、テレワーク下おける仕事の進め方で困っていること、工夫していることについてアンケート調査をおこない、結果をまとめました。
目次
テレワークで仕事を進めるときに困っていることはありますか?
今回の調査では、テレワークで仕事を進めるときに、何かしらの困ったことがある人は、上司・先輩社員で77%、部下・後輩社員では79%いることがわかりました。それぞれの立場における「困っていること」について詳しく紹介します。
部下・後輩社員:「ちょっとした相談ができない」が50%以上
テレワークで働いている部下・後輩社員の困っていることの1位は、「ちょっとした相談ができない」(56.0%)でした。具体的には、「対面だと数秒で解決するような疑問を、気軽に聞くことができない」(男性/25歳)、「雑談をする時間もあまりないので先輩社員のみなさんとの距離を感じる。直接会って話せば5分で終わることがweb会議やメールになった途端、手間と時間がかかってしまう」(女性/23歳)といったことに困っているようです。
2位には、「話しかけたり教えてもらうタイミングがわからない」(41.0%)、3位には「上司や先輩がどう思っているかわかりづらい」(38.0%)が続いています。上位を占める悩みは、1位の「ちょっとした相談ができない」にも通じるもので、テレワーク下で、上司・先輩社員とうまくコミュニケーションを取れてないことが部下・後輩社員の大きな悩みになっているようです。
また、「チャットで相談や質問をするときの言葉の言い回しに悩む」(女性/24歳)、「わからないことを、文章化して丁寧な言葉で伝えるのが大変」(女性/22歳)と、相談内容を文章でまとめることを負担に感じている部下・後輩社員も見受けられます。
■部下・後輩社員の悩み(自由回答例)
・わからないことの相談が思うようにできず、解決が遅れることがある(女性/24歳)
・雑談をする時間もあまりないので先輩社員のみなさんとの距離を感じる。直接会って話せば5分で終わることがweb会議やメールになった途端、手間と時間がかかってしまう(女性/23歳)
・オンラインで教えてもらうには限界があると感じる。職場の人たちに置いていかれてるような気持ちになる時がある(女性/25歳)
・指示をすぐに聞くことができない。上司が今何しているのかが、会議などの組まれたスケジュールからしかわからない(女性/23歳)
・文面のやりとりのみで、相手の感情がよめない。質問するにも相手が今忙しいのかどうなのかわからずタイミングが難しい(女性/24歳)
上司・先輩社員:「一方通行のコミュニケーションになっていないか不安」が30%以上
上司、先輩社員に聞いた、「テレワークで部下や後輩の教育や指導するときに困っていること」でもっとも多かったのは、「一方通行のコミュニケーションになっていないか不安」(32.0%)でした。
具体的には、「直接会わないコミュニケーションは本音がわかりづらい」(女性/49歳)、「対面よりも実際、伝わっているかどうか、わからなくて困っている」(男性/45歳)といったことに悩んでいるようです。
2位は「部下や後輩の業務知識やスキルが身につかないのではないかと不安」(29.0%)、3位は「教えたり、指導するタイミングがわからない」(23.0%)、そして、「対面ではないので部下や後輩との距離が縮まらない」(21.0%)と続きます。
「厳しくして部下が辞めてしまわないか、きちんとついてきてくれるか」(男性/41歳)、「叱りたいがどう言ったらいいかわからない」(女性/23歳)、「直接話せば簡単で悪気のない言葉も、メールやSNSなどで伝えると冷たく感じてしまうのではないか」(女性/40歳)といった声から、文書で伝えることの難しさや、教育の仕方について、課題を感じている上司・先輩社員もいるようです。
一方で、「ちょっとしたことで相談できない」が部下・後輩社員が困っていることで1位だったのに対し、上司、先輩社員では、「『聞いてくれればいいのに』ということがよくある」(20.0%)が上位となっていることから、コミュニケーションの取り方・気遣いに、ギャップがあることがうかがえます。
■上司・先輩社員の悩み(自由回答例)
・会って話すわけではないので、細かく指示しないと伝わりづらい(女性/30歳)
・どこまで理解できているのかよくわからない点が不安(男性/48歳)
・具体的な業務をしながら教えることができない(女性/25歳)
・様子が見えないため、相手から報告が来なければ作業進捗がまったくわからない(女性/25歳)
・リモートで会話すると、相手の雰囲気が実感としてつかみづらい。理解しているかどうかの判断が難しく、どの程度丁寧な説明が必要か、コントロールするのが難しい(男性/53歳)
コミュニケーションの取り方で工夫していることはありますか?
テレワークにおけるコミュニケーションの取り方について何かしらの工夫している人は、上司・先輩社員で87%、部下・後輩社員85%となっています。8割以上の人が工夫しているようですが、どのような工夫をしているのでしょう。詳しく見ていきましょう。
部下・後輩社員:「要件をまとめて質問する」が50%以上
テレワークのなか、「上司や先輩社員に仕事の相談や質問するときに工夫していること」で、もっとも多かった回答は、「要件をまとめて質問する」(51.0%)でした。具体的には、「なるべくまとめて回数を減らす」(女性/22歳)、「時間に余裕がある時にまとめて話す」(女性/22歳)などの工夫が見られました。
2位には、「スケジュール表を事前に確認して話しかける」(42.0%)、このほか、「とりあえずメールやチャットを投げて返答が来るのを待つ」(39.0%)、「チャットなどで事前に確認して話しかける」(31.0%)、「打ち合わせの前後で質問する」(17.0%)と続きます。効率よく、上司・先輩社員の都合に配慮しながら質問しようとする部下・後輩社員の姿勢がうかがえます。
■部下・後輩社員の工夫(自由回答例)
・ひとつの業務の質問は一度にまとめてできるように、紙にまとめてから電話する(女性/25歳)
・相談は基本チャットで、相手の都合のいいタイミングで返信してもらう(女性/24歳)
・会話したい時はアポイントをとり、会話しなくてもいいときはチャットですます(女性/30歳)
・チャットの場合は、なるべく短文かつ具体的な文章になるよう考える(女性/24歳)
・わからないことがあったときは、自分なりに調査した事項をまとめて連絡する(女性/24歳)
上司・先輩社員:「自身のスケジュールを伝えている」が40%以上
一方、上司・先輩社員への「テレワークの中、部下や後輩とのコミュニケーションで工夫していること」で、もっとも多かったのは、「自身のスケジュールを伝えている」(42.0%)で、2位は、「打ち合わせ前後でコミュニケーションの場を設ける」(38.0%)でした。上位には、上司・先輩社員が自ら工夫している項目が並びます。
具体的には、「スケジュールを共有して相互に確認できる」(女性/54歳)、「自分から話しかける」(女性/25歳)、「朝昼夕と定期的に状況報告のタイミングを作っている」(女性/25歳)、「コロナ禍なので、しっかり寄り添って仕事への不満、不安を感じないように努力する」(男性/35歳)などの工夫が見られました。
また、実際に会話をする場面では、「最初に雑談を挟む」(男性/53歳)、「できる限りフランクに打合せできる雰囲気」(男性/59歳)、「何気ない談話や声かけを普段から意識するようにしている」(男性/46歳)と、話し方や雰囲気作りに配慮しているようです。
一方で、「要件をまとめてもらっている」(26.0%)、「メールやチャットで連絡してもらい、返事ができるタイミングで返す」(24.0%)、「チャットなどで事前に要件を知らせてもらう」(23.0%)など、部下・後輩社員からのアクションにゆだねている回答も2割以上を占めています。
■上司・先輩社員の工夫(自由回答例)
・気軽に質問できる雰囲気づくりに励む(男性/48歳)
・困っていることがないか適宜聞く(男性/41歳)
・毎日のコミュニケ-ション時間を特別に設ける(男性/59歳)
・なるべく多めにミーティング時間をとる(女性/26歳)
・まめにチャット等で連絡をとるようにしている(女性/49歳)
・一方通行にならないように(男性/48歳)
・リモート飲みなどをして懇親を深める(男性/42歳)
まとめ
コミュニケーションは一方が工夫しても成立するものではなく、お互いに工夫することが必要です。今回の調査からも、「スケジュール表を事前に確認して話しかける」(部下・後輩社員)、「自身のスケジュールを伝えている/公開している」(上司・先輩社員)といった気遣いや配慮が見られました。
一方で「ちょっとした相談ができない」(後輩社員)、「『聞いてくれればいいのに』ということがよくある」(上司・先輩社員)という結果も上位にありました。相手の様子や顔が見えづらい分、積極的にコミュニケーションを取っていくことも、テレワーク下における仕事の進め方のひとつかもしれません。参考にしてみてください。